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対象業種受動部品メーカー、基板メーカー、半導体ファウンドリーメーカー
用途想定パワーインダクタ
スマートフォン等のモバイル端末や自動車に搭載されるECUといった電子機器では、高性能化や多機能化にともない、構成部品の点数は増加傾向にあります。それらを限られた空間に配置するため、各構成部品には小型化が求められています。
電源回路に組み込まれるインダクタでは、小型化と同時に所望のインダクタンスを達成することが求められます。また最先端のCPUやGPU向けの電力供給では、インダクタをパッケージ基板に内蔵し小型化しつつ、ノイズ低減や消費電力の高効率化が図られています。
インダクタはコイルと電極から成り、特性向上のためコイル内部に磁性コアを配したり、コイルを磁性材で被覆したりする構成が取られます。インダクタの小型化にともないコイル内外に配される磁性材料には、磁気特性と同時に、インダクタ部品に対しては微細で複雑な形状への追従、パッケージ基板内蔵型に対しては狭ギャップの埋め込み性といったプロセスへの適合が求められます。
磁気特性とプロセス適合性の両立という課題に対し、当社は磁性ペーストを提案します。
ペーストの高透磁率化には磁性粒子の高充填が有効ですが、流動性は低下するため、狭い間隙の埋め込みに課題がありました。当社開発品では、磁性粒子とバインダー樹脂の適正化により、磁気特性を満たしつつ、流動性を両立し、プロセスへの適合を図りました。それにより、狭い間隙でもボイドなく埋め込みが可能で、均一な磁性体層を形成することができます。
磁性ペーストの外観
表1. 開発品の基本特性
開発品を用いて、直径0.35 mm、高さ1.2 mmの間隙を埋め込んだ加工例を示します。高アスペクト比の間隙でも、開発品ではボイドなく磁性体層を形成することが可能です。
図1.磁性ペーストを埋め込んだ間隙の断面像
高アスペクト比の間隙に形成した磁性体層について、-65℃~150℃の温度範囲で冷熱衝撃試験を実施しました。1000サイクルでもクラックの発生は見られなかったことから、高い信頼性が期待できます。
図2.冷熱衝撃試験結果
磁性フィルムも開発中です。プロセス中でハンドリング性ではフィルム形状が適当な場合があります。詳しくは、お問合せ下さい。
更新日:2024年9月4日
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