循環型社会の実現(水・廃棄物など資源関連)
考え方・取り組み方針
当社は、製造業として水や鉱物、エネルギーといったさまざまな資源を活用し世の中に製品を送り出しています。社会全体として天然資源の恩恵を受ける一方で、その枯渇は製造業である当社のみならず、地球規模で捉えるべき大きな社会課題です。循環型社会の実現は責任をもって取り組むべき重要な経営課題として捉えています。
レゾナックグループは、限りある地球の資源・エネルギーを長く利用し続けるため、資源を循環的に利用するとともに、資源生産性の向上が必要と考え、 「持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の開発・実装」、 「廃棄物の再資源化と資源の効率的な利用」、「製品の設計・開発から廃棄まで製品ライフサイクル全体に配慮したものづくり」、「バリューチェーンのさまざまなステークホルダーの皆さまとの共創」に取り組みます。
目標と進捗状況
1. 製品における資源循環
当社は製品の設計・開発から廃棄までの製品ライフサイクル全体に配慮し、各事業および研究開発部門での活動を推進し、廃棄物の再資源化と資源の効率的な利用に取り組んでいます。循環型社会の実現に向けては下記の観点で取り組み、今後は具体的な目標およびKPIの設定を進めていきます。
設計/開発:鉱物・化石由来などの資源の使用量削減、循環型原材料の使用、廃棄物の発生抑制、リサイクルの容易性向上、製品寿命の延長、製品のライフサイクル環境影響の定量化
製造:製造・製品のライフサイクル全体に関わるエネルギー、水その他の資源の最小化
バリューチェーン:サプライヤーやお客さま、行政、自治体、国際団体などのさまざまなステークホルダーとの共創
水の効率的な利用・使用量の削減
当社では、水資源に関するグループ年間目標を定めています。各事業場において、それぞれの特性を考慮しながら水の効率的な利用や使用量の削減を積極的に進めるとともに、排出する水質の維持・向上にも取り組んでいます。
重要項目(KPI)の目標と実績
2. 水関連リスクへの取り組み
当社は事業活動における水リスクの把握と低減に向け、製造拠点を対象に調査および対応を進めています。World Resources Institute(WRI)のAqueduct(https://www.wri.org/aqueduct) の”Aqueduct 4.0 framework”を活用したスクリーニングにより高リスク拠点を特定し、深掘調査やヒアリングを通じて各地域の水利用状況やリスク要因を詳細に分析しました。これらの結果を基に、流域ごとの特性を踏まえたロードマップを策定し、持続可能な水利用の実現と事業の安定的な継続を目指しています。2024年に製造拠点を対象に実施した、Aqueductを用いての水リスクの評価結果を基に、特に水リスクの高いインド・タイ・中国の15拠点を対象に、水リスクの深掘調査およびアンケートを用いたヒアリングを行いました。ヒアリングでは、水利用や干ばつ・洪水の発生、規制などの現状や、実施している目標や取り組みを確認しました。また、ヒアリングから得られた情報を基に、流域ごとにリスク・取り組みを整理し、水に関するロードマップを策定しました。

特にリスクが高いインド、タイ、中国の各拠点が位置する流域を対象に深掘調査およびヒアリング調査を実施し、水資源対応に関するロードマップを策定しています。現在は、リスク評価結果および既存の取組内容を踏まえ、当該ロードマップに基づく今後の取り組みの方向性について検討を進めています。
優先地域:インド・中国-水リスクの詳細評価と水資源対応のロードマップ
水リスクが高い流域について、リスク評価結果と現在の取り組みを整理しました。以下では、インドおよび中国の事例を紹介します。
※地域ごとに、評価結果およびヒアリング結果を踏まえ、特に重要と考えられるリスク項目を抜粋して記載しています。

3. 廃棄物の削減・有効利用
当社では廃棄物発生量の削減、有効利用・再資源化による最終埋立量の削減を推進しています。
重要項目(KPI)の目標と実績
LCAの活用
ライフサイクルアセスメント(LCA)は製品・サービスのライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する手法です。
当社は、LCA評価手法をベースに、製品ごとの温室効果ガス排出量の算出(カーボンフットプリント(CFP)算出)の取り組み体制を構築しています。また、製品開発時点からライフサイクル全体の環境への影響を配慮した製品設計を行っています。今後はCFP以外の環境影響評価についても進めていきます。
具体的な取り組み(資源循環)
1.川崎プラスチックリサイクル(KPR)を活用した資源循環取り組み
環境問題の中でもとりわけ関心の高いごみ処理問題。特に使用済みプラスチックは、一般廃棄物の60%を占め、さらに種類や材質が多種多様なことから、その処理方法が社会的課題とされてきました。
当社は2003年からは、使用済みプラスチックを利用する「プラスチックケミカルリサイクル事業」(当社では「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」と呼称)を開始しました。KPRでは、家庭や企業からごみとして排出される使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素(H2)と二酸化炭素(CO₂)を取り出しています(ガス化ケミカルリサイクル)。KPRで使用される低炭素水素を原料の一部に使用した当社のアンモニアは、2015年、製造プロセスとして世界で初めてエコマークを取得し、「エコアン(ECOANN)」と呼んでいます。一方、CO₂は大気中に放出することなく株式会社レゾナック・ガスプロダクツにおいてドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用するなど、資源循環を実現しています。なお、ガス化ケミカルリサイクルプラントを約20年にわたり安定運転しているのは、KPRが世界で唯一です。
使用済み店舗ユニフォームのガス化ケミカルリサイクル
当社は株式会社ローソンとエムシーファッション株式会社(MCF)と連携し、全国のローソン店舗で発生する使用済みユニフォームを対象に、ガス化によるケミカルリサイクルを開始しました。
本取り組みでは、従来焼却処分されていたユニフォームを高温で分子レベルまで分解し、炭酸ガスなどへ再資源化します。生成された炭酸ガスは冷凍・冷蔵ケースの冷媒や農業用途などに活用され、市場に供給されます。ユニフォームの焼却を回避することでCO₂排出量を約8割削減し、環境負荷低減に寄与します。
今後も各社と連携し、CO₂排出量の削減を図るとともに、循環型社会の実現を目指してまいります。
使用済み容器包装プラスチックのガス化ケミカルリサイクル
当社は株式会社ロッテと日本ウエストグループと連携し、ロッテ狭山工場で排出される使用済み容器包装プラスチックを対象に、ガス化によるケミカルリサイクルを2025年10月より開始しました。本取り組みでは、ロッテを排出元とし、日本ウエストによる運搬・中間処理、レゾナックによるリサイクル処理までの一連の流れについて、第三者認証によりトレーサビリティを確保しています。従来、複合素材で構成されるプラスチックは分離が困難であり、主にRPF化によるサーマルリサイクルが行われてきましたが、本取り組みによりガス化ケミカルリサイクルへ転換し、分子レベルで分解・再資源化することで、水素やアンモニア等の化学品として市場に供給します。
今後も各社と連携し、資源循環の高度化と環境負荷低減の両立を図り、サーキュラーエコノミーの実現に貢献します。
コンビニエンスストア業界初、使用済み店舗ユニフォームをガス化ケミカルリサイクル
2.ケミカルリサイクル技術のスケールアップ
従来の技術では資源としての直接利用が難しかった混合プラスチックを、エチレンやプロピレンなど社会的に有用な基礎化学品原料に転換・再生するケミカルリサイクル技術の研究開発に取り組んでいます。この取り組みは、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO₂等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択されています。ラボでの基本的な技術確立に目途が付き、現在はベンチ設備を用いたスケールアップを進めています。今後は、さらにパイロット設備を経て、2030年頃の大規模実証へと繋げていく予定です。引き続き社内関係部署、アカデミア、省庁・公的機関等との共創を通じて、社会実装を見据えた研究開発成果の創出を目指します。

共創の舞台(神奈川県横浜市)にあるベンチ設備
3.廃棄シリコンとCO₂からSiCパワー半導体材料を作る技術を共同研究
当社は東北大学と連携し、シリコンウェハー製造時に発生するシリコンスラッジとCO₂を原料とし、炭化ケイ素(SiC)を生成する技術の本格検討を開始しました。本技術は、CO₂を固体と反応させる「鉱物化」を応用したカーボンリサイクルであり、廃棄物と温室効果ガスを同時に再資源化し、有価なSiC原料を創出する点に特長があります。生成されたSiCは、パワー半導体材料であるSiC単結晶の成長原料としての活用を目指しており、製品の省エネルギー性能に加え、製造工程におけるCO₂排出削減にも寄与します。従来高温・高エネルギーを要していたSiC製造プロセスの環境負荷低減を実現する可能性があり、SiC粉末100 tあたり約110 t-CO₂の削減効果が見込まれています。
今後は応用検討を通じて技術確立を進め、資源循環と脱炭素を両立する次世代材料の普及基盤構築を目指します。こうした取り組みを通じ、産業プロセスの高度化と環境価値の両立を新たな競争力へとつなげていきます。
4.スクラップ由来のアルミ原材料を活用したアルミサスペンション
当社は、スクラップ由来アルミ原材料の使用率を最大90%まで高めたアルミサスペンションを開発しました。本技術では、AIによる成分予測を活用し、スクラップ中に含まれる不純物の影響を最適化・無害化することで、従来は困難とされていた高強度部材への適用を可能としました。これにより、従来のアルミ製サスペンションと比較して温室効果ガス排出量を約60%削減することを確認しています。本取り組みは高度なリサイクル技術により、スクラップ由来アルミ原材料の活用を拡大し、資源循環と脱炭素に貢献しています。

アルミサスペンション
具体的な取り組み(水)
1.RHMSH社における水資源の循環活用
中国・上海で高分子製品・合成樹脂材料の製造・販売を行うResonac Highpolymer Materials(Shanghai)Co., Ltd.では、貯槽の冷却方法の見直しや再利用の仕組みを導入し、散水による冷却から水に依存しない方式へ転換しました。あわせて蒸気の回収・再利用も進めた結果、年間約7000m³の水使用量削減を実現しています。

冷却水を使用せず貯蔵タンクの温度管理を実現
2.RMSZ社における雨水活用
中国・蘇州で電子部品向け封止材などの高分子製品の製造を行うResonac Materials (Suzhou)Co., Ltd.(RMSZ)第二工場では、防火用水槽へ雨水を貯留し、利活用しています。貯留した雨水は、平常時には工場内の緑地への散水に利用し、環境影響評価で想定される緑化用水(年間約1,000m³)の一部を代替しています。雨水収集池(容量155m³)により、月平均約80m³の雨水利用が見込まれています。

RMSZ第二工場における雨水再利用設備