ゼロから分かるレゾナック 2024

パーパス「化学の力で社会を変える」

レゾナックのパーパス(存在意義)は「化学の力で社会を変える」です。何十年後かの世の中では「当たり前」になったことについて、「これはレゾナックがいなかったらできなかった」と言われるような会社になりたいと考えています。

例えば、AIはこれからの社会を大きく変えていくと見込まれます。そのAI用半導体部品は、より多くの情報を速く処理できるものにするために、より複雑な構造にしていく必要があり、そのためには材料も革新が必要です。当社はこうした進化に貢献する新材料 を多く提供・開発しており、AIの進化に材料面から大きく貢献し、社会を変えていくことができます。

化学の力はあらゆる産業の起点となるもので、「レゾナックがいなければ」と言われるような可能性を持つ領域は広がりがあります。レゾナックは、幅広い研究開発力・技術力で「化学の力で社会を変えていく未来」を実現していきます。

パーパス:化学の力で社会を変える

「レゾナックらしさ」とは

後工程で圧倒的なシェアを誇る半導体材料の会社

2023年1月、昭和電工と日立化成が統合し、レゾナックが誕生しました。昭和電工は分子設計までさかのぼることができる「素材」の会社、日立化成は素材を使って機能を生み出す「材料」の会社です。それぞれの強みを活用し磨いていこうとするのが、統合の大きなコンセプトです。

昭和電工は素材の技術に強みを持っていた一方、日立化成は半導体材料に強く、特に後工程分野で圧倒的なシェアを持ちます。この両者の技術を組み合わせて、レゾナックは「素材」を「機能性を持たせた材料」にしています。川中から川下までの長いバリューチェーンを持ち、後工程で圧倒的なシェアを誇る半導体材料の会社。しかもそれぞれの材料の技術力が極めて高い会社。これが、事業ポートフォリオから見た「レゾナックらしさ」です。

企業文化のトランスフォーム

もう1つの「レゾナックらしさ」はパーパス・バリューを徹底して浸透させ企業文化の醸成に取り組んでいることです。日本の伝統的な大手企業は優秀な人材を擁しているにもかかわらず、その従業員の潜在能力が解き放たれていないという弱点を持っています。その高いポテンシャルを解き放つためには、会社ごとカルチャーから変革しなければならないと考えています。古い体質の大手日本企業からの脱却を早急に必ず成し遂げるという強い思いの下に、新しい企業文化の醸成に力を入れています。

4つのバリュー:プロフェッショナルとしての成果へのこだわり、機敏さと柔軟性、枠を超えたオープンマインド、未来への線形成と高い倫理観

「企業価値=戦略 × 個の力 × 企業文化」3つの要素でのレベルアップ

企業価値の最大化のために、「戦略」「個の力」「企業文化」の3つ要素でのレベルアップを図っています。

1.戦略「半導体材料でより大きなシェアを取りに行く」

今後も半導体材料において一定以上の地位を確保するために、必要な事業・周辺技術への積極的な投資を行っていくことが大事だと考えています。これまで半導体の性能向上は前工程の微細化に依存してきましたがその限界が見え始め、現在では後工程における技術革新がこれまでになく注目を集めています。半導体後工程材料で圧倒的なシェアを持つ当社としては、これを追い風にして成長につなげていく考えです。

その半導体材料事業のコアコンピタンスは「開発力」であるため、開発人員の適切・継続的な確保と育成に特に注力しています。例えば最新の半導体製造装置を揃えた新川崎の開発拠点「パッケージングソリューションセンター」、そこで設立したコンソーシアム「JOINT2」では半導体製造装置・材料・基板メーカーと組み、技術革新に挑んでいます。さらに、その第2弾である「US-JOINT」を米国シリコンバレーにも新設し、米国でのレゾナックの存在感、活動を増やしていこうと考えています。シリコンバレーの地の利を活かし、GAFAMなどとの関係を強化していくことが大事だと考えています。

jOINT 2

次世代半導体の高密度実装を実現するために、半導体装置・材料・基板メーカー12社*とのコンソーシアム「JOINT2」を設立し、技術や情報の相互活用などを通じた技術開発に取り組んでいます。参画企業同士の材料・技術を組み合わせ、お客さまにとって最適なワンストップソリューションを提供します。

  • * 味の素ファインテクノ、上村工業、荏原製作所、新光電気工業、大日本印刷、ディスコ、東京応化工業、ナミックス、パナソニック コネクト、メック、ヤマハロボティクスホールディングス、オーク製作所、2023年7月時点。
US-JOINT

日米の材料・装置等の企業10社*によるコンソーシアム「US-JOINT」を米国・シリコンバレーに設立します。半導体の製造装置・材料メーカーの枠を超えて日本で進めてきた半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「JOINT」、及び「JOINT2」の取り組みを、米国企業も交えて海外に展開する計画です。

  • * Azimuth Industrial、KLA Corporation、Kulicke and Soffa Industries、メック株式会社、Moses Lake Industries、ナミックス株式会社、東京応化工業株式会社、TOWA株式会社、株式会社アルバック、株式会社レゾナック (2024年7月8日時点)

2.個の力「エンゲージメントの向上で個の力を解放、社員を自律させる」

2つ目は「個の力」です。レゾナックが大事だと考えているのは、従業員が楽しくニコニコ働ける会社になることです。従業員のエンゲージメント向上は企業価値最大化の根源にある課題であり、小手先の収益改善策を重ねるよりはこの根本問題に働きかける方が有効であると考え、様々な施策に取り組んでいます。

経営を統合して1年目、まず「タウンホールミーティング」や「ラウンドテーブル」で経営トップが年間1,000人以上の従業員と会い、当社のパーパスとバリューを語りかけました。その結果「経営層と双方向のコミュニケーションを取りたい」という意見が多く出たことを受け、2年目は「モヤモヤ会議」を開催しました。これは若手従業員を集めてモヤモヤしていることを言い合い、バリューを使って解決策を経営層と議論するというプログラムです。モヤモヤを起点に気付きや共感が生まれ、解決策を模索するプロセスはを以て、小さな「共創」を実現してきました。

パーパス・バリューの理解がある程度進み共創文化が定着し始めた3年目は、従業員が自分自身を見つめる「パーパス探究カフェ」を始めています。過去を振り返り、現在を見つめ、将来どういう状態になっていたいかを語ってもらい、自分のパーパスを考えてもらう取り組みです。

こうして段階を踏んで、「会社に依存せず自律してパーパス・バリューを体現する人材」を育成しています。従業員へのエンゲージメントサーベイでも「パーパス・バリューを実践している」と回答した割合が大幅に向上しており、私たちが目指す「国内の製造業を代表する共創型人材創出企業」に着実に近づいていることが伺えます。

 

みんなでバリューを考える「モヤモヤ会議」

CEOとCHROが各拠点を訪問し、従業員が日頃抱えているモヤモヤについて、バリューや共創で解決できるかをみんなで考える「モヤモヤ会議」。参加者がお互いの「モヤモヤ」にバリュー視点でアドバイスし合い、さらにそのモヤモヤに対して経営層や拠点長がその場で意思決定するプラグラムです。

モヤモヤ会議の様子

パーパス研究カフェ

自分の過去を振り返り、対話により他者からフィードバックをもらうことで、自分が本当に大事にしていることは何かについて考えを深め、自身のパーパスの自覚・深掘りする取り組みです。自身のパーパスとレゾナックのパーパスの重なりについても考えることで、パーパス実現に向けた第一歩を踏み出すきっかけとしています。

パーパス探求カフェ

3.企業文化「カルチャーの革新で共創型イノベーションを加速させる」

3つ目は「企業文化のトランスフォーメーション」です。企業文化のトランスフォーメーションは、人材の育成と併行して特に力を入れているテーマです。共創型人材の育成に加えて、それらの人材が自発的に動き出すカルチャー革新を組み合せることで、「共創型イノベーションの創出」を加速させています。

例えば、従来は半導体材料を作る拠点の要望に沿って別の拠点が素材を開発して届ける、という「点と点」のシナジーにとどまっていました。これを粉を作る拠点の開発の人を材料を作る拠点に配置することで、「面と面」の共創関係にレベルアップさせていこうとしています。さらに次の段階では、粉と樹脂、モノマーなど素材・技術ごとの研究・開発拠点をそれぞれ作っていくことで「共創型イノベーションの創出」へレベルアップさせていきます。

さらに、マーケティングから開発につなげていこうという動きが自発的に起こりつつあります。例えば「6Gに必要な材料は何か」から出発し、そこで必要な材料特性をどう出していけばよいのかを考え、どこの研究開発拠点が担当するのが最適かを決めていく。そうした流れが生まれ始めています。

加えて、「計算科学情報研究センター」では、シミュレーションによる開発時の実験回数の大幅削減を図っています。従来は数多くの実験を繰り返していた内容をAIでシミュレートし、有望と思われる実験に絞り込むことで、発期間の大幅な短縮につなげています。センターの人材がいろいろな現場に出向いて「シミュレーションにかけたいものはないか」と聞いて回ることで、社内での共創の機会も増えています。

このようなパーパス・バリューを体現する活動は、いろいろな拠点で自主的に多く立ち上がっています。人材と企業文化こそ企業価値最大化の核心であり、粘り強く取り組んでいきます。

AI・ディープラーニングを活用したシミュレーション

数字で見るレゾナック

グローバルに戦える会社としての規模を目指し、日本国内にとどまらずグローバルにビジネスを展開しています。

売上高の推移
売上高比率:52.9%(2023年12月決算値)
営業利益と売上高営業利益率の推移
連結従業員数の推移
海外従業員比率:50.0%
地域別会社数

幅広い分野で活躍するレゾナックの製品

半導体・電子材料を中心に、幅広い分野で事業を展開しています。特に半導体・電子材料セグメントでは世界No.1シェアの製品が多数あり、この分野を中心として成長する長期戦略としています。

セグメント別売上高比率(2023年12月決算値)

 

世界No.1製品を生み出すレゾナックの技術群

レゾナックには、幅広い製品群を支えるさまざまな技術「考える化学」「作る化学」「混ぜる化学」があります。これらの技術の融合により新たな機能や価値を生み出し、世界No.1製品を提供していきます。

「考える化学」「作る化学」「混ぜる化学」の融合による新たな機能・価値の創出