サステナビリティの考え方

当社グループは、パーパスに基づき「化学の力で社会を変える」には、経営の根幹にサステナビリティの概念を据える必要があると考え、執行体制の強化を進めています。その一環として、「サステナビリティビジョン2030」を設定するとともに、長期ビジョンの主要戦略を実行するためのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し、社内浸透を進めています。

サステナビリティビジョン達成までの道すじ

2023年の統合新会社スタート前年である2022年をサステナビリティビジョン達成に向けた仕込みの年と位置付け、社内で議論を重ねてマテリアリティを中期目標に落としこむなど体制を構築しています。2023年からは実践を繰り返し、社内外のステークホルダーとのエンゲージメントを通じて取り組みを進化させ、2026年以降を目途に私たち“らしさ”を開花させることを目指します。
サステナビリティビジョン達成に向けて、①サステナビリティマネジメントの強化による経営戦略・事業戦略との一体化、②サステナビリティを軸に据えた事業・技術の開発による成長の源泉の創出、③カーボンニュートラルをはじめとする組織横断的な課題の解決による価値創出、④ステークホルダーエンゲージメントの強化による価値創造、⑤社内のサステナビリティマインドの醸成、の5つを重点領域と設定し、2022年1月に始動したサステナビリティ部を中心に全社での活動を推進しています。

サステナビリティ重要課題(統合新会社としてのマテリアリティ)

2030年を見据えた3つのマテリアリティとその構成要素を特定し、長期ビジョンの戦略へ反映するとともに、2025年を目途とする非財務KPIに落とし込んでいます。なお、3つのマテリアリティは同じく2030年までの長期ビジョン(①世界で戦える会社、②持続可能なグローバル社会に貢献する会社、③国内の製造業を代表する共創型人材創出企業)と関連しており、当社長期ビジョンの達成と社会からの期待の両面をカバーしたものとなっています。また、KPIはおかないもののマテリアリティと同等の重要性を有するグローバル経営の共通基盤として、コーポレート・ガバナンスとステークホルダーエンゲージメントにも力を入れていきます。

また、当社は事業を通じたSDGsへの貢献を目指します。当社の企業活動の中心を、循環型社会を目指す共創型化学会社としての12番と17番への貢献と位置付けました。事業・製品を通じて貢献するゴールを上の半円に、企業基盤を通じて自らが貢献するゴールを土台におきました。既に事業を通じて貢献している領域を超え、そしてその先の「化学の力で実現したい未来」への貢献を目指します。

マテリアリティ検討のステップ

マテリアリティの特定に当たっては、社会からの期待と当社における重要度の両面から長期ビジョン達成に資する課題を抽出しました。現在、マテリアリティとそれに紐づく戦略と施策や全社レベルの非財務KPIの策定を開始しており、今後、事業部レベルのKPIの設定を含め、取締役会との議論やステークホルダーとの対話を通じて進化させていく予定です。

マテリアリティと非財務KPIについて

2030年を見据えたマテリアリティとそれに紐づき設定する中期の非財務KPIは、策定から実行、進捗確認、そして取締役会による監視監督に至る一連の全社マネジメントサイクルにのせることで、達成への確度を高めていきます。

下表は3つのマテリアリティに基づく主なコーポレートレベルのKPI(一部抜粋)です。今後は各事業部単位に落とし込むと同時に、引き続き社内で議論を重ね、社員のモチベーション向上につながるように具体的な取り組みも決定していきます。これらKPIは進捗に応じて、また様々な社内外ステークホルダーの意見や期待を受け止めて、不断の見直しをしていきます。

イノベーションと事業を通じた競争力の向上と社会的価値の創造

当社の思い 私たちの思い 私たちの成長の源泉は、技術力を活かし、化学のカで社会を変える事業活動です。
社会的価値創造に向けて、イノベーションと事業を通じた競争力向上を目指します。
2030年目標 社会課題の発見から技術開発、新たなビジネスモデルを通じたソリューションの提供という一連のプロセスと、共創を通じたイニシアチブの発揮により、事業を通じて社会的価値を創出します。
マテリアリティ実現に向けた重要な構成要素
  • 事業を通じた社会的価値の創出
  • マーケティングを通じた社会課題の発見と顧客価値の提供
  • オープンイノベーション&協業の促進
  • 社会課題を解決するR&D・知財戦
  • SDGsに貢献する製品・事業戦路
  • 社会的価値創造を強化、加速するデジタル変革
KPI
※今後、ステークホルダーと対話し確定予定
重要項目
  • サステナビリテイ事業・製品評価指標の確立と目標設定
  • LCA(Life Cycle Assessment)への取り組み
2025年目標
  • 事業あるいは主要製品ごとの目標設定、実行・モニタリング
  • 主要製品のLCAの算出、研究開発段階での評価手法の導入
2021年実績
  • 新たな社会・環境側面を含む事業評価指標策定に向けた検討開始
  • CFP(Carbon Footprint)算定スキームのパイロット運用開始
価値創造 社会的価値
環境的価値
  • さまざまな産業の起点である化学メーカーとしての直接的かつ間接的な社会および環境価値を創出
  • 全ての事業において「つくる責任 つかう責任」の徹底を通じた社会および環境へのポジティブインバクトの最大化とネガティブインパクトの最小化
経済的価値
  • 社会的・環境的価値の提供を通じた事業成長により経済的価値を創出し、企業価値の向上に貢献
  • 事業を通じたパーパス実現の実感による従業員のモチベーションの向上

責任ある事業運営による信頼の醸成

当社の思い 私たちの思い 化学メーカーとして、安全・環境・品質などの視点から、全ての事業において責任ある事業運営を行い、サプライヤーや顧客などのステークホルダーと共にサステナブルな社会を実現します。加えて、法令遵守を超えたソフトローベースのコンプライアンスを徹底し、多様化・複雑化するリスクのマネジメント体制を強化し高度化していきます。
2030年目標 安全文化の醸成と各種事故などの根絶に加え、戦略・オペレーション・ハザードなど広範囲にわたるさまざまなリスクの最小化と対応準備を図り、変化する経営環境・事業環境に柔軟に対応して当社らしい価値を提供し続けることで、ステークホルダーの信頼を獲得します。
マテリアリティ実現に向けた重要な構成要素
  • 全ての人が安心して働ける環境の提供
  • 顧客価値最大化のための品質・安全の提供
  • 製品ライフサイクル全体の環境負荷低減
  • サプライヤーと共にサステナブルな社会を実現
  • 法令遵守を超えたソフトローベースのコンプライアンスの徹底
  • 多様化・複雑化するリスクのマネジメント体制の強化
KPI
※今後、ステークホルダーと対話し確定予定
重要項目
  • 安全文化の醸成および労働災害、設備事故、環境事故、製品事故、品質コンプライアンス違反の根絶
  • 事業活動を通じた環境負荷の低減
  • サステナブル調達の推進
  • 統合的なリスクマネジメントの強化と法令遵守を超えたコンプライアンスの徹底
2025年目標
  • 5つのゼロを達成
  • 温室効果ガス排出量の削減
  • サプライヤー自己診断票を活用したコミュニケーションの質の向上
  • グローバルコンプライアンススタンダードと行動規範のグループ内浸透
  • 統合的リスクマネジメント体制の構築と運営、リスクマネジメントシステムの高度化
2021年実績
  • 重大労働災害、重大設備事故、環境事故、品質コンプライアンス違反発生件数ゼロ
  • 新サステナブル調達ガイドラインの検討開始(2022年に策定・開示見込み)
  • 新リスクマネジメントシステム、グローバルコンプライアンススタンダード、行動規範の検討開始(2022年に導入策定・開示見込み)
価値創造 社会的価値
  • 責任ある事業運営を通じた化学メーカーとしての社会課題への貢献と責務の両立
環境的価値
  • 温室効果ガス排出量削減と廃棄物削減を通じたリサイクル率向上などによる環境負荷の低減
経済的価値
  • 各種事故などの根絶や社内プロセスの効率化によるモチベーション向上、生産性向上、コスト削減、ブランド価値向上

自律的で創造的な人材の活躍と文化の醸成

当社の思い 私たちの思い お客さまや将来世代を含むさまざまなステークホルダーと、共感・ 共鳴で自律的につながり、共創を通して、創造的に課題を解決する「共創型人材の創出」 「企業文化の醸成」こそが、当社の価値の源泉です。
2030年目標 自律的、創造的な共創型人材の育成と企業文化の醸成を通じ、「当社で働いているような人が欲しい」と言われる人材創出企業になることを目指します。
マテリアリティ実現に向けた重要な構成要素
  • 互いへの信頼と尊重から生まれる共創文化の醸成
  • 自律的・創造的なプロフェッショナル人材の育成と獲得
  • 従業員エンゲージメントの強化
KPI
※今後、ステークホルダーと対話し確定予定
重要項目
  • 経営理念の実践
  • タレントマネジメントの強化
  • 個人と組織の持続的な成長
  • ダイバーシティ&インクルージョンの深化による人材の活躍、心理的安全性の確保
2025年目標
  • グローバルアワードにおける共創事例の進化と深化
  • 自律的なキャリアの構築に寄与する社内公募の成立数増
  • エンゲージメント関連スコアの向上
  • 女性管理職比率の向上による経営幹部の多様性の向上とインクルーシブな企業文化醸成
2021年実績
  • 統合新会社のグローバルアワード(パーパス・バリューの体現を加速する場)の設計と始動
  • 統合新会社の社内公募の運用設計
  • 女性管理職比率(国内4.5%、グローバル11.5%)
価値創造 社会的価値
環境的価値/th>
  • 自律的創造的な共創型人材の成長、活躍と企業文化の醸成により、社会課題解決に向けた社内外の共創によるイノベーションを推進
経済的価値
  • 経営陣が全社最適視点でリーダーを育成し、戦略的なジョブローテーションを通じて人材の競争力を高めることにより、モチベーションの向上と高い生産性を実現

サステナビリティ推進体制

当社のサステナビリティは、CEO、CSOが推進責任を担い、経営陣、コーポレート部門、事業部・事業所、グループ会社が一体となって組織横断プロジェクトや社内連携を推進しています。サステナビリティに関する方針や計画をはじめとする重要事項については、経営会議での審議・決定の上、取締役会に討議・報告する体制としています。

また、月に1回、CEOを含むグループCXOが集まるサステナビリティ推進会議を実施し、中長期の戦略や非財務KPI、ステークホルダーとのエンゲージメントなどについて議論する場としています。また、同会議の分科会として、委員会やプロジェクトを設置し具体的な課題に対して機動的かつ組織横断的に対応する体制としました。また、さまざまな所属、属性の役員や社員が意見交換を行う社内コミュニケーションの場を設定し、サステナビリティマインドの醸成に努めています。

過去のマテリアリティ(2015年~2021年)

旧 昭和電工の2015年~2021年のマテリアリティは以下の通りです。

中核課題 中長期方針 マテリアリティ
事業活動を通じたSDGs貢献

当社グループが有する製品・技術・サービスを効果的に活用して、豊かさと持続性の調和した社会の創造に貢献します。

  • SDGs視点での研究開発推進
  • 事業活動を通じたSDGs貢献のモニタリングと公表
  • 製品・技術・サービスの提供
  • 必要不可欠なサービスへのアクセス
  • 消費者の安全衛生の保護
  • コミュニティへの参画
環境課題への取り組み

「つくる責任、つかう責任」を強く意識したレスポンシブル・ケア活動を通じて、地球規模の環境課題解決に貢献します。

  • 汚染予防
  • 持続可能な資源利用
  • 気候変動への対応
  • 汚染予防
  • 持続可能な資源利用
  • 気候変動への対応
持続可能な人材、
労働環境づくり

会社と共に成長し、持続可能な社会に貢献する多様な人材を育成するとともに、一人ひとりが健康で、安心して働ける企業風土をつくります。

  • 人材の育成・成長支援
  • ダイバーシティの推進
  • 人材育成・訓練
  • 労働条件・環境の整備
  • 設備安全
  • 労働安全衛生
  • 企業倫理の徹底
  • 知的財産権の尊重
  • 意思決定のプロセス・構造