カーボンニュートラルへの挑戦

基本的な考え方・方針

世界的な気候変動が頻発し、科学的に温室効果ガス(GHG)がその原因であると認識されています。「パリ協定」において、地球の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して2℃未満に抑える「2℃目標」が設定され、さらに今後その対応が加速されていくと予測されます。
レゾナックは長期ビジョンでの目指す姿「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」として2050年に向け、カーボンニュートラルに挑戦します。

指標と目標

「2050年カーボンニュートラル」に向けて、統合新会社発足にあたり2021年に2030年のGHG排出量削減目標を見直し、「2013年比30%削減」を目標としました。低炭素社会実現に向けた各事業の中長期計画の見直し、2030年におけるGHG排出量削減目標の達成に向け排出量の削減とさらなる省エネルギーを推進していきます。また、長期ビジョンで目指す姿「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」として2050年のカーボンニュートラルに挑戦します。2022年は、一部の生産量減少や再生可能エネルギーの調達があり、2013年比で7.3%削減しました。

重要項目(KPI)の目標と実績

重要項目(KPI) 2030年目標 2022年実績
温室効果ガス排出量の削減 温室効果ガス排出量 2013年比30%削減(Scope1+2)(連結) 温室効果ガス排出量 2013年比7.3%削減(Scope1+2)(連結)

* 統合に伴い、排出量実績の見直しを実施しています。また、Scope3については上流側の算定・開示から実施し、目標設定を検討しています。

GHG排出量削減ロードマップ

「2050年カーボンニュートラル」に向けて、2030年までは徹底した合理化、高効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換(高効率コージェネレーションシステム)を進めます。加えて、持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の開発および新たなCO2の分離回収・利用技術を推進します。2030年以降は2050年に向けて、アンモニア・水素への燃料転換・混焼、生産プロセスの電化も積極的に推進するほか、自社の水力発電や再生可能エネルギーを活用した製品製造に移行していきます。そして、持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の実装および革新的なCO2分離・回収技術と回収CO2の化学品原料としての利用によりカーボンニュートラルを達成していきます。また、目標達成に向けては各事業部での目標設定・削減施策立案・実行を進めています。

カーボンニュートラルへの道筋

2013実績基準年 4,620kt-CO2 2022実績 4,289kt-CO2 2013年比7.2%減 2030目標 3,234kt-CO2 2013年比 30%減 大分コンビナート・川崎事業所改革、その他の事業での削減 2050目標 ネットゼロ イノベーションによる新たな技術体系により解決
 

カーボンニュートラルに向けた具体的な施策

高効率コージェネレーションシステム

化学プラントでは製造プロセスでの加熱や蒸留など、用途に適したエネルギーを利用するため、当社は化石資源から効率よく電気と熱(蒸気)エネルギーを取り出せるよう、ボイラーと蒸気タービンを組み合わせた火力自家発電設備を所有しています。また、自家発電設備は化学プラントでの停電防止機能としても不可欠です。

このため、当社が所有する火力自家発電システムにおいて、第1ステップとして、最新鋭の高効率ガスタービンでのコージェネレーションシステムなどの導入によるエネルギー総合効率の向上を図り、併せて、単位発熱量当たりのCO2発生量の低い燃料への転換による低炭素化にチャレンジします。固体燃料からガス燃料への転換による大幅なCO2排出量の低減が可能となり環境負荷低減が期待できます。
また第2ステップとして、カーボンフリー燃料であるアンモニアなどの混焼やCCUなどによるカーボンリサイクルの組み合わせによるカーボンニュートラルを目指します。

ケミカルリサイクルの更なる推進に向けて

化学産業のカーボンニュートラル化に向けては、エネルギー使用の効率化とともに、プラスチックを含む多くの化学製品の原料として用いられる化石資源の使用量削減が求められます。また、国内の使用済みプラスチックの約7割が、燃料利用も含めて何らかの形で焼却処理され、CO2として排出されているといわれています。これらの課題に対し、廃プラスチックを化学品原料として再利用するケミカルリサイクルが注目を集めています。

当社では既に、使用済みプラスチックを原料として水素やアンモニアを製造するケミカルリサイクル事業を行っていますが、ここでの運転実績で培った使用済みプラスチック活用ノウハウを活かし、廃プラスチックの原料化をさらに進めるための研究開発に取り組んでいます。

TOPICSケミカルリサイクル技術の知的財産

ケミカルリサイクル技術の一つである、KPR(Kawasaki Plastic Recycle)は、知的財産活動も積極的に行っています。例えば「スラグを低粘度化するガス化炉の操業方法(国際出願番号PCT/JP2020/047249)」を一つとして全体に渡る特許網を構築していくなど、持続的な発展を支える知的財産に対する投資に取り組んでいます。