カーボンニュートラルへの挑戦
基本的な考え方・方針
世界的な気候変動が頻発し、科学的に温室効果ガス(GHG)がその原因であると認識されています。 「パリ協定」において、地球の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して2℃未満に抑える「2℃目標」が 設定され、さらに今後その対応が加速されていくと予測されます。
レゾナックグループは長期ビジョンでの目指す姿 「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」として2050年に向け、カーボンニュートラルに挑戦します。

- 2030年までは徹底した合理化、高効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換(高効率コージェネレーションシステム)を進める。
- 新たなGHGの分離・回収・利用技術および持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の開発を推進する。
- 2030年以降は2050年に向けて、アンモニア・水素への燃料転換・混焼、生産プロセスの電化を積極的に推進する。
- 自社の水力発電を活用することに加え、再生可能エネルギーを活用した製品製造に移行する。
- 革新的なGHG分離・回収技術と回収GHGの化学品原料としての利用、および持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の実装によりカーボンニュートラル達成を目指す。
石油化学、化学品事業を中心としたカーボンニュートラルへの道筋
当社のケミカルセグメントでは社会に必要不可欠な製品を提供しておりますが、製造工程でのGHG排出量は他のセグメントと比較して多いため、石油化学・化学品事業をカーボンニュートラルへ向けた取り組みの中心となる事業として位置付けています。2030年までは省エネ、エネルギー転換を中心とした既存技術の延長線上の取り組みを行います。また、2050年に向けた研究開発強化として「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」計画がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択されました。


カーボンニュートラルに向けた具体的な施策
高効率コージェネレーションシステム
化学プラントでは製造プロセスでの加熱や蒸留など、用途に適したエネルギーを利用するため、当社は化石資源から効率よく電気と熱(蒸気)エネルギーを取り出せるよう、ボイラーと蒸気タービンを組み合わせた火力自家発電設備を所有しています。また、自家発電設備は化学プラントでの停電防止機能としても不可欠です。
このため、当社が所有する火力自家発電システムにおいて、第1ステップとして、最新鋭の高効率ガスタービンでのコージェネレーションシステムなどの導入によるエネルギー総合効率の向上を図り、併せて、単位 発熱量当たりのCO2発生量の低い燃料への転換による低炭素化にチャレンジします。固体燃料からガス燃料への転換による大幅なCO2排出量の低減が可能となり環境負荷低減が期待できます。
また第2ステップとして、カーボンフリー燃料であるアンモニアなどの混焼やCCUなどによるカーボンリサイクルの組み合わせによるカーボンニュートラルを目指します。

ケミカルリサイクルの更なる推進に向けて
化学産業のカーボンニュートラル化に向けては、エネルギー使用の効率化とともに、プラスチックを含む多くの化学製品の原料として用いられる化石資源の使用量削減が求められます。また、国内の使用済みプラスチックの約7割が、燃料利用も含めて何らかの形で焼却処理され、CO2として排出されているといわれています。これらの課題に対し、廃プラスチックを化学品原料として再利用するケミカルリサイクルが注目を集めています。
当社では既に、使用済みプラスチックを原料として水素やアンモニアを製造するケミカルリサイクル事業を行っていますが、ここでの運転実績で培った使用済みプラスチック活用ノウハウを活かし、廃プラスチックの 原料化をさらに進めるための研究開発に取り組んでいます。

TOPICSケミカルリサイクル技術の知的財産
ケミカルリサイクル技術の一つである、KPR(Kawasaki Plastic Recycle)は、知的財産活動も積極的に行っています。 例えば「スラグを低粘度化するガス化炉の操業方法(国際出願番号PCT/JP2020/047249 )」を一つとして全体に渡る特許網を構築していくなど、 持続的な発展を支える知的財産に対する投資に取り組んでいます。