気候変動への対応
考え方・取り組み方針
当社は気候変動を重大なリスクおよびイノベーションや新規事業創出の機会であると捉えています。また、当社製品はその製造過程で化石原燃料の使用などにより、温室効果ガス(GHG)を排出していることから気候変動を事業継続の上で重要な課題の一つと認識しています。
レゾナックは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、「徹底した合理化・高効率化・省エネルギー化と燃料転換」、「水力発電や太陽光などの再生可能エネルギーを活用した製品製造」、「低消費電力製品や環境配慮型製品の開発・製造」、「排出した温室効果ガスを活用するための革新的なCO2分離・回収技術の開発と回収CO2の化学品原料としての利用」などにより、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に取り組みます。
目標と進捗状況
GHG排出量削減ロードマップ
「2050年カーボンニュートラル」に向けて、2030年までは徹底した合理化、高効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換(高効率コージェネレーションシステム)、再生可能エネルギーを活用した製品製造などを進めます。2030年以降は2050年に向けて、アンモニア・水素への燃料転換・混焼なども積極的に推進していきます。目標達成に向けては各事業部での目標設定・削減施策立案・実行を進めるほか、カーボンニュートラルプロジェクト主導のもと、全社横断施策も実行し、科学的根拠に基づく削減目標の設定も進めていきます。また、自社の事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標に、新たに使用電力の再エネ化のロードマップも作成しました。加えて、CO₂分離・ 回収技術と回収CO₂の化学品原料としての利用など、CCUS※の実現により、カーボンニュートラルを達成していきます。
- ※ CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・貯留技術

- ※ Scope3については上流側の算定・開示から実施し、目標設定を検討しています。
具体的な取り組み
Science Based Targets(SBT)の認定取得に向けた取り組み
当社は2025年6月にSBT認定を取得することを宣言しました。世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)ことを目指した、科学的根拠に基づく温室効果ガス中長期排出削減目標の策定に取り組んでいきます。
再生可能エネルギーの活用
使用電力の再生可能エネルギーへの切り替えは、2020年にパッケージングソリューションセンター(新川崎)で先行して実施しました。これに続き、先端融合研究所(つくば)、共創の舞台(横浜)、および2023年に移転した汐留本社でも切り替えを完了しました。さらに、黒鉛電極を生産するResonac Graphite Austria GmbH(オーストリア)では、2023年に風力発電由来の電力への切り替えを実施しました。
また、2024年には、レゾナックグループ全体で196.7千MWhの再生可能エネルギー由来の電力を購入しています。
大分コンビナート*1排出のCO₂回収とマレーシア沖貯留を検討
当社は三井物産株式会社(以下、三井物産)と、当社大分コンビナートで排出されるCO₂を回収してマレーシア沖の地下へ貯留するCCS*2に関する共同検討の実施について、覚書を締結しました。三井物産は、マレーシア国営石油会社などとマレーシア沖でのCCSプロジェクトを共同で進めており、本覚書の締結は、同プロジェクトを貯留地として想定し検討するものです。プロジェクトを通じ、当社におけるCO₂の回収、CO₂貯留サイト*3での貯留(CCS)および輸送などを含むバリューチェーン構築を目指します。当社は大分コンビナートで排出されるCO₂の分離・回収と液化・貯蔵、輸送事業者への引き渡しを、三井物産はマレーシアまでの液化CO₂の海上輸送とマレーシア沖での地下貯留を担い、それぞれで必要な技術的要件の検証およびコストの概算などの検討を進めていきます。
- * 1. 2024年8月1日付で当社石油化学品事業はクラサスケミカル株式会社として分社化しました
- * 2.Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素(CO2)の回収・貯留
- * 3.マレーシア国営石油会社Petroliam Nasional Berhad(ペトロリアム・ナショナル・ブルハド)のCCS事業会社PETRONAS CCS Solutions Sdn Bhd(ペトロナス・シーシーエス・ソリューションズ)および仏総合エネルギー会社TotalEnergies(トタール・エナジーズ)のCCS事業会社TotalEnergies Carbon Neutrality Ventures(トタール・エナジーズ・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズ)と2023年6月から共同開発を進め、2030年ごろまでの貯留事業開始を計画するマレーシア沖のCO2貯留サイト
Scope3: 社用車(ガソリン車)の非化石燃料化
自社の排出量(Scope1,2)の削減に加え、Scope3を含むサプライチェーン全体でのGHG排出量削減にも取り組んでいます。2023年には社用車(ガソリン車)対象機種全てをエコカーに変更することを決定しました。今後2年間で日本国内の対象車60%以上の切り替えが完了する見通しです。今後は、FCV(燃料電池自動車)化なども検討し、社用車の使用に伴うGHG排出量の削減を加速させ、2030年には海外拠点も含めてEV/FCV化に取り組む予定です。また、事業所内で使用するフォークリフトのEV化も推進し、化石燃料由来のGHG排出削減にも取り組んでいきます。
高効率コージェネレーションシステム
化学プラントでは製造プロセスでの加熱や蒸留など、用途に適したエネルギーを利用するため、当社は化石資源から効率よく電気と熱(蒸気)エネルギーを取り出せるよう、ボイラーと蒸気タービンを組み合わせた火力自家発電設備を所有しています。また、自家発電設備は化学プラントでの停電防止機能としても不可欠です。
このため、当社が所有する火力自家発電システムにおいて、第1ステップとして、最新鋭の高効率ガスタービンでのコージェネレーションシステムなどの導入によるエネルギー総合効率の向上を図り、併せて、単位発熱量当たりのCO2発生量の低い燃料への転換による低炭素化にチャレンジします。固体燃料からガス燃料への転換による大幅なCO2排出量の低減が可能となります。
また第2ステップとして、カーボンフリー燃料であるアンモニアなどの混焼やCCU※などによるカーボンリサイクルの組み合わせによる環境負荷低減を目指します。
- ※ Carbon Capture and Utilization:二酸化炭素を回収し、利用する技術

ケミカルリサイクル技術の知的財産
ケミカルリサイクル技術の一つである、KPR(Kawasaki Plastic Recycle)は、知的財産活動も積極的に行っています。例えば「スラグを低粘度化するガス化炉の操業方法(国際出願番号PCT/JP2020/047249)」を一つとして全体に渡る特許網を構築していくなど、持続的な発展を支える知的財産に対する投資に取り組んでいます。
カーボンニュートラルに向けた若手の交流会実施
当社の大分コンビナート、川崎事業所、共創の舞台(横浜)では、カーボンニュートラル(以下、CN)に貢献する技術の研究開発を行っています。そうした中、CNに関する勉強会や各拠点の開発内容・保有技術などへの理解を深めることを目的として、20代と30代の若手技術者を中心としたCN若手交流会を2023年から定期的に開催しています。2024年6月には大分コンビナートで工場見学やポスター討論会を行い、CO₂や廃プラスチックを活用する技術などに関して活発な意見交換を行いました。これからもCN若手交流会を通じて、社内外での共創を生み出し、CNに貢献する革新的技術の開発を目指します。