環境マネジメントシステム

価値創造への使命

当社は、各種製品の製造工程で化石原燃料を使用しており、温室効果ガス(以下、GHG)を排出する一方、省エネルギー・資源循環・生物多様性に貢献する製品・サービスも数多く有しています。そのため、環境への対応を機会・リスクの両面より重要な経営課題と捉え、取締役会の監督のもと、企業価値向上に向けて中長期的に取り組みます。

グループ環境方針

レゾナックは、2024年6月にレゾナックグループとして新たに環境方針を定め、当社が取り組むべき重要な環境課題、および課題解決に向けた行動指針を示しています。

レゾナックグループ(株式会社レゾナック・ホールディングス及びその連結子会社)は、“化学の力で社会を変える”という存在意義(パーパス)のもと、グローバル社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。 レゾナックグループは、持続可能な社会の実現に向けて、事業を展開するあらゆる国や地域において、「レゾナックグループが取り組むべき重要な環境課題」と「課題解決に向けた行動指針」を定め環境課題に取り組みます。 こうした考えや姿勢を明確にし、ステークホルダーの皆さまへのお約束として、ここに環境方針(以下、本方針)を策定しました。

環境方針の適用範囲

本方針は、レゾナックグループに適用します。また、レゾナックグループのサプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーに対しても、本方針の内容を理解・支持いただくことを期待するとともに、本方針が尊重されるよう、継続して働きかけます。

レゾナックグループが取り組むべき重要な環境課題

1. 気候変動への対応

レゾナックグループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、「徹底した合理化・高効率化・省エネルギー 化と燃料転換」、「水力発電や太陽光などの再生可能エネルギーを活用した製品製造」、「低消費電力製品や環境配慮型製品の開発・製造」、「排出した温室効果ガスを活用するための革新的なCO2分離・回収技術の開発と回収CO2の化学品原料としての利用」などにより、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に取り組みます。

2. 循環型社会の実現

レゾナックグループは、限りある地球の資源・エネルギーを長く利用し続けるため、資源を循環的に利用し、資源あたりの生産性向上が必要と考え、 「持続可能なプラスチックケミカルリサイクル技術の開発・実装」、 「廃棄物の再資源化と資源の効率的な利用」、「製品の設計・開発から廃棄まで製品ライフサイクル全体に配慮したものづくり」、「バリューチェーンの様々なステークホルダーの皆さまとの共創」に取り組みます。

3. 環境リスクへの対応

レゾナックグループは、「私たちのビジネスが環境に対して与えている影響の適切な評価」と、「その結果に基づいた環境負荷低減と地球環境保全活動」に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献します。

4. 生物多様性の保全

レゾナックグループは、生物多様性を保全することが、生態系の生み出す自然回復力にとって重要であるとの認識のもと、「事業活動が生態系に与える影響の評価とその影響の低減」、「失われる危機のある生物多様性の回復」、「森林・土壌・水・大気・生物資源などの資源資本の持続可能な活用」に取り組み、ネイチャー・ポジティブの実現に貢献します。

課題解決に向けた行動指針

ガバナンス

レゾナックグループは、取締役会の監視・監督のもと、本方針に基づいた取り組みと環境パフォーマンスの改善を行います。この環境取り組みと改善にあたっては、各事業部門及び本社機能部門の責任者が環境対応を推進し、重要事項については、取締役会で議論のうえ決定します。また、本方針が事業活動に適切に組み込まれるよう、関連する方針手続き・業務に反映します。

法的及びその他の要求事項の遵守

レゾナックグループは、製造業としての法的要求事項の遵守に加え、社会動向を捉え自律的に環境課題に取り組みます。また、環境リスクの把握のためにデューディリジェンスを実施し、その結果に基づいて適正な対応を行います。

ステークホルダーの皆さまとの共創・対話及び情報開示

レゾナックグループは、環境課題解決に向けて、様々なステークホルダーの皆さまと共創し、化学の力でよりよい社会の実現に取り組みます。また、顧客、投資家、政府、サプライヤーをはじめとする様々なステークホルダーの皆さまとの対話を重視し、TCFD提言などの国際的な情報開示基準に則り定期的な情報開示を行います。

環境意識の向上

レゾナックグループは、適切な教育・研修などを社内で実施することによりすべての役員及び従業員(嘱託・契約社員を含み、以下役職員。)の環境意識の向上を図り、役職員のひとりひとりが環境課題を解決し、化学の力でよりよい社会を実現することに取り組みます。

環境方針の見直し

本方針は、ステークホルダーの皆さまとの対話などを通して社会動向や事業環境に応じて定期的に内容を見直し、取締役会にて議論し、改定を決議します。基本的事項にかかわらない変更については、サステナビリティ担当部門の立案に基づき、サステナビリティを管掌する最高職務責任者が行うことができるものとします。

  レゾナックの環境取り組み全体像

当社は、「気候変動への対応」「生物多様性の保全」「循環型社会の実現」「環境リスクへの対応」の4つを環境取り組みの柱としています。それぞれの取り組みは相互に関連しているため、取り組みが急務となっている「気候変動への対応」を実現するためにも、「生物多様性の保全」や「循環型社会の実現」も同時に進めなければなりません。当社は、従来以上に環境全体を社会課題として捉え、化学の力で社会を変えることにチャレンジしていきます。また環境取り組み全体にまたがる「環境リスクへの対応」を通してリスクを管理し、機会を捉える取り組みも強化していきます。

推進体制

気候変動をはじめとする環境に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取り組み施策については、CEOが統括、CSuOが推進責任を担い、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定するとともに、進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて対応策・是正策を検討します。取締役会は、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、企業価値の最大化の観点から議論・監督を行っています。また、各事業場では、事業場長と環境安全責任者が中心となって、環境安全行動計画として立案された内容を基に、環境保全管理に関する活動を推進しています。

環境マネジメントシステムの運用

レゾナックでは拠点ごとに“環境マネジメントシステム”の認証を取得し、事業場内の環境に関するリスクを適切に低減・管理するとともに、マネジメントシステムを継続的に改善することで、環境汚染発生の可能性やそれに伴う経営リスクの低減を図っています。このシステムは、外部認証機関による定期的な維持・更新審査を受審し、最新化を図っています。また運用に当たっては、事業場一体となってPDCAを回すことにより、活動をより活性化させるように取り組んでいます。

課題と目標

取り組むべき課題

短期~中期(2024~2026年)

  • 統合/ポートフォリオ変更によるデータ整備/精度向上
  • グローバルでのScope3下流の算定/Scope3削減検討
  • 目標レベルの再検証(科学的根拠に基づいた目標レベル検証)

短期~長期(2024~2030年)

  • カーボンニュートラルに向けた技術の開発、削減施策の増加
  • TNFDに基づく生物多様性取り組みの推進/開示
  • 循環型社会に貢献する事業/企業価値への転換
  • 環境リスクへの継続的な対応/開示

非財務KPIの目標と実績

レゾナックは、サステナビリティを全社戦略の根幹と位置づけ、3つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を定義しています。環境においては「責任ある事業運営による信頼の醸成」に紐づく非財務KPI・施策を定め、重点的に取り組むことで長期ビジョンの達成を目指します。

重要項目(KPI) 2025年目標 2023年実績
温室効果ガス排出量の削減 2013年比30%削減(Scope1+2)(連結)( 2030年目標)  2013年比8.8%削減
廃棄物埋立量の削減 廃棄物埋立量を2024年比で削減(連結) 産業廃棄物発生量の0.1%(国内連結)
環境事故 環境事故発生件数ゼロ(連結) 1件


2024年度の目標と施策は下記のとおりです。

KGI(Result of KPI) 施策① (KSF*1 施策②(SKSF*2
2030年目標 2024年目標
環境異常ゼロ 環境異常ゼロ 環境リスクの管理 リスク及び機会の決定と取組み計画の運用
(環境活動の優先順位付けの仕組み)
老朽化設備の更新、監視計器の維持・増設(投資計画の策定と運用)
順守義務の特定と順守評価 法定報告(省エネ法、温対法、フロン排出抑制法等)
環境関連法令違反
ゼロ
環境関連法令違反
ゼロ
環境関連法順守の強化 法定資格者、後継者の育成
(教育計画の策定・運用)

GHG排出量(Scope1&2)
2013年度比30%削減

GHG削減に関して、法令や顧客からの要求への十分な対応

エネルギー使用量原単位:2023年比1%減 ビジネスユニット単位でのGHG削減施策の推進 活動計画の設定と進捗管理
天然資源の消費削減による持続可能な循環型社会の実現への貢献 廃棄物発生量原単位:2023年比1%減 廃棄物発生量の正確な把握とリサイクルの推進 活動計画の設定と進捗管理
淡水取水量原単位:2023年比1%減 取水量、水リスクの把握と効率的利用の推進 活動計画の設定と進捗管理
有害物等の排出による環境汚染、環境負荷の増大の抑止 化学物質(特定30物質)大気排出率:2023年比1%減 化学物質取扱量・排出量の把握と大気排出量の低減 活動計画の設定と進捗管理
  • *1 KSF=Key Success Factor
  • *2 SKSF=Sub Key Success Factor

環境教育

レゾナックでは、国内の全グループ会社を対象としたさまざまな環境関連教育を計画し、実施しています。グループディスカッションを中心としたコミュニケーション重視の研修を行い、理解度を確認しながら進めています。

本社主催 2023年:環境関連研修会

開催日 研修会名 対象者 出席者数
2023年11月 ISO14001内部監査員フォローアップ研修 事業場希望者 3名
2023年3,9月 ISO14001内部監査員研修(オンライン形式) 事業場希望者 56名
2023年5,12月 環境法令研修会 事業場希望者 180名

 

環境管理に関するコミュニケーション

各事業場の近隣住民の皆さまには、事業場見学会や意見交換会、事業場版CSRレポートなどを通じて運営状況をお知らせし、定期的に対話を行っています。近隣住民の皆さまからのご指摘、ご意見はレゾナックグループほっとラインでも受け付けています。