コンプライアンス

コンプライアンスの考え方

レゾナックが事業を展開する国や地域には独自の慣習が存在し、法規制も国ごとに異なっています。ある国では適法だが他の国ではそうではない、といったことも起こり得ますが、レゾナックは「世界で戦える会社」であるために、いつ、どこであっても、仮にルールで明確に定められていなくても、法令遵守を超えた「高い倫理観」を持ってグループ従業員一人ひとりが行動することで、「持続可能な社会に貢献する会社」の実現を目指しています。
当社のパーパス(存在意義)である、「化学の力で社会を変える」を実現するためには、全てのステークホルダーに対して責任を果たすとともに、常に価値を提供し続けていく必要があります。その基盤となる重要な要素のひとつが、コンプライアンスの徹底です。

コンプライアンスに関する基本方針

レゾナックは、「法令遵守を超えたソフトローベースのコンプライアンス」が経営理念の実現に欠かせない事業継続の原則であると考え、各国・地域の法令・社会規範の遵守はもちろん、正直・公平・誠実を基礎とした倫理的価値観の浸透を徹底するための体制整備や活動に努めています。コンプライアンス部門は、グループ全体が整備すべき枠組みをグローバル・コンプライアンス・スタンダード(以下「GCS」という)として定めました。当社は経営陣が先頭に立ってGCSを展開しており、すべての従業員がいかなる不正も許容しない風土を醸成しています。

グループ行動規範

2023年1月、新しく誕生したレゾナックグループで働く全ての人が守るべき“道しるべ”とし て「私たちの行動規範」を制定しました(経営陣や社内ワーキンググループで検討の上、取締 役会の承認を経て決定)。パーパスを実現するためにグループの役職員が日々どのように行 動すべきかを具体的に示しており、作成にあたっては当社のバリューやサステナビリティ重要 課題との関係性、そしてステークホルダーの視点を考慮しています。日本後・英語・中国語版 を作成し、国内外のグループ拠点への説明会を開催するなど、浸透活動を計画的に進めてい ます。 また、従業員一人一人が行動規範をより深く理解し、日々の業務と社会生活にその内容を 反映させ遵守するために、2023年中に「行動規範ハンドブック」の作成や関連する教育を計 画しています。

グローバル・コンプライアンス・スタンダード(GCS)

GCSは、レゾナックが法令遵守に加え、国際社会から求められるコンプライアンス水準を満たすために整備すべき体制、および対応すべき枠組みを規定したものです。個別のルール・手続き等については、規程類を定めて具体的に日々の業務に反映しています。当社のコンプライアンス部門は、GCSに加えて、腐敗防止の方針を含む私たちの行動規範の遵守状況を定期的に監視しています。また、内部監査チームが定期的にグループ全体を監査し、コンプライアンス手続きの遵守状況を監査しています。
不正行為の予防や早期発見だけでなく、万が一、不正行為が判明した際に速やかに対応できるよう、GCSの適切な設計、および有効な運用に取り組んでいます。

目標

マテリアリティに対するKPIとして、下記を掲げて取り組みを進めています。

重要項目(KPI)の目標と実績

重要項目(KPI) 2025年目標 2022年実績
私たちの行動規範の浸透 浸透度向上(サーベイによる調査)
  • 新しい行動規範の取締役会決議と英中翻訳版の公開
  • 社内イントラを活用した全社展開
グローバルコンプライアンススタンダード(GCS)の徹底
  • 重大な法令違反件数減少
  • 内部通報の周知による通報件数の増加
  • GCSの取締役会決議と英中翻訳版の公開
  • 内部通報の周知による通報件数81件

教育と周知活動

レゾナックでは、行動規範およびGCSの浸透・実践を図るために、すべての役員・従業員に対して、さまざまな教育および周知活動を継続的に実施しています。
10月の企業倫理月間には、グループCEOメッセージを国内・海外のグループ従業員に発信しています。また、2023年に改定した行動規範を使って、所属する部署に関する身近なテーマについて、日頃の業務を通じて感じたことや、今後留意したいことなどを職場単位で討議します。また、グループの全役員、全従業員を対象に、行動規範の教育を実施します。この教育内容には、腐敗防止に関するリスク分野が含まれており、コンプライアンス部門が定期的に見直します。
当社では、グループ行動規範やGCSに基づいて、コンプライアンスの徹底や、誠実な業務遂行ができるよう、その内容理解を促進しています。またルールの文言のみならず、なぜルールが必要なのか、背景や理由も含めて十分に理解できるよう、社内勉強会やコミュニケーションを計画的かつ継続的に実施しています。

コンプライアンス・リスクの管理

コンプライアンス部門により、事前にコンプライアンス・リスクの特定やリスク低減を行っています。また、グローバル全体で推進しているリスク・マネジメント手法により、当社事業の業務プロセス全般について、定期的なリスク・アセスメントを実施し、当社業務執行部門のオーナーシップの下、リスク低減のための改善を推進しています。
法令等に違反する、またはその疑いがある行為を発見した場合に通報できる内部通報制度も構築されており、事実関係の調査、原因の究明、是正・再発防止等の対応を速やかに実施します。なお、通報した方の個人情報は厳格に守られるとともに、通報者が不利益な扱いを受けることは一切ありません。
行動規範には、全ての役員・従業員は、取引先、会社の顧客から社会的常識の範囲を超えた贈与、接待などの利益を受けてはならないこと、官公庁、取引先、会社の顧客に対し同様の利益を与えてはならないこと、利益相反を生じる行為やインサイダー取引を行ってはならないことなどを明記しています。

レゾナックグループほっとライン(内部通報制度)

コンプライアンス違反や不正などの企業倫理に反する行為を早期に発見し、問題解決につなげることを目的として、当社では“レゾナックグループほっとライン”を設置しています。
当社ホームページやイントラネットの窓口、外部の弁護士事務所の利用も可能であり、グループ従業員だけでなく、サプライヤーや地域住民など、あらゆるステークホルダーからの通報を受け付けています。また、世界各国の従業員のための多言語対応内部通報窓口(社外・24ヶ国言語)を設けています。国内・海外ともに匿名での通報も可能であり、各窓口では、個人のプライバシーの尊重、会社による不利益な取り扱いの禁止を明示しています。
ほっとラインへの通報は、社内または社外窓口にて受信し、事業部・事業所及び通報があった部署等と協議の上、コンプライアンス部門が事実確認、調査を行います。その結果、違反等の行為が明らかになった場合には、速やかに是正措置を講じています。
なお、重大な案件については、通報から調査、是正措置及び再発防止策までの一連の内容を経営会議に報告します。

2022年は81件の通報を受け付けました。このうち法令違反を懸念する通報が10件ありましたが、経営会議に報告する重大な案件はありませんでした。当社ではいずれも社内で迅速かつ慎重な調査を行った後、必要な場合は是正措置を講じました。なお、相談内容の半数を占めるセクハラやパワハラなどのハラスメント案件について、国内グループの管理職を対象とする研修を実施し、予防・再発防止に努めています。

税務コンプライアンス

レゾナックは、事業活動を行うすべての国・地域において適正な納税を通じて社会の発展に貢献することが、企業として当然なさねばならない社会的責任のひとつであるという認識のもと、グループ税務ポリシーを制定しています。各国・地域での税制および規制に適正・迅速に対応するとともに、従業員への継続的な研修などを通じて、税務コンプライアンス意識の維持・向上に努めます。