コンプライアンスの徹底
価値創造への使命
法令遵守を超えたソフトローベースのコンプライアンスは事業継続の原則です。コンプライアンスの徹底により、当社の事業活動に関わる国際社会や人々からの信頼を獲得します。
取り組み方針
価値創造への使命に基づき、各国・地域の法令・社会規範の遵守はもちろん、正直・公平・誠実を基礎とした倫理的価値観の浸透を徹底するための体制整備や活動に努めています。当社は経営陣が先頭に立ってコンプライアンスの徹底を展開しており、すべての従業員がいかなる不正も許容しない風土を醸成しています。
推進体制
当社は、最高サステナビリティ責任者(CSuO)の指揮の下、サステナビリティ部コンプライアンス推進グループが全社のコンプライアンス推進のための方針や施策の企画・立案を行っています。そしてレゾナックの各組織および国内外の主要なグループ会社にコンプライアンス責任者を配置し、全社一体となったコンプライアンス推進体制を構築しています。
なお、レゾナックの各組織および国内外の主要なグループ会社において発覚したコンプライアンス関連事案は、ただちにCSuO、最高リスク管理責任者(CRO)、監査役に報告され、重大なコンプライアンス関連事案については、適宜、取締役会へ報告される仕組みとしています。
グループ行動規範
2023年1月、新しく誕生したレゾナックグループで働く全ての人が守るべき“道しるべ”として「私たちの行動規範」を制定しました(経営陣や社内ワーキンググループで検討の上、取締役会の承認を経て決定)。パーパスを実現するためにグループで働く役職員一人一人が日々どのように行動すべきかを具体的に示しており、作成にあたっては当社のバリューやサステナビリティ重要課題との関係性、そしてステークホルダーへの責任の視点を取り入れています。
「私たちの行動規範」は一人一人が主体となるよう主語を「私たちは」で統一しており、行動の根拠となる背景も一緒に記述することで誰もが納得して行動できるようにしています。2023年には従業員が「私たちの行動規範」を読む機会を複数回設けるとともに、10月の企業倫理月間でのE-ラーニング開講や職場ごとの話し合いの場を設定しました。2024年には14か国語に翻訳し、国内外のグループ拠点への説明会を開催するなど、浸透活動を計画的に進めています。 レゾナックグループでは「高い倫理観」を企業文化とするために、全ての役員、従業員を対象に行動規範を遵守することを書面で確認しています。
法令遵守の取り組み
グローバル・コンプライアンス・スタンダードとは
グローバル・コンプライアンス・スタンダード(以下、GCS)は、競争法遵守と腐敗防止に関して、グローバル共通で法令遵守に加え国際社会から求められるコンプライアンス水準を満たすために整備すべき体制および対応すべき枠組みを規定したものです。
グループ全体で標準のフレームワークを保持しながら、地域の特性、ローカルで適用されるルールや事業上のリスクの程度を踏まえて各社の競争法遵守に関する規程・贈収賄防止に関する規程・反社会的勢力との取引防止に関する規程を定めています。
レゾナックグループの各組織および国内外の主要なグループ会社がコンプライアンス推進体制の整備・運用状況の自己監査をするほか、サステナビリティ部コンプライアンス推進グループが、実際に発生したコンプライアンス事案を教材とした研修を行うなど、コンプライアンス推進体制の恒常的改善・強化に重点を置いた活動に取り組んでいます。さらに、コンプライアンス事案の発生傾向やモニター・レビューの結果などを踏まえて、組織ごとに独自のコンプライアンス強化策を策定し、GCSの適切な設計、および有効な運用に取り組んでいます。
2024年からは、GCSを各組織、海外拠点及び国内外の主要なグループ会社が自ら運用状況を確認できる状態にします。各組織が自律的にコンプライアンスに関する施策を実行できるようになった結果、本社コンプライアンス部門はモニタリング、継続的なレベルアップ支援に移行する予定です。
競争法遵守
公正かつ自由な競争の維持を目的とする各国競争法の遵守に関しては、2010年に策定した“同業他社接触ルール”の運用を通じて、日常業務におけるカルテルリスクを適切にコントロールしています。また、1999年から毎年競争法遵守の実態をサステナビリティ部コンプライアンス推進グループが確認し、その結果をCSuOとCROに報告しています。
旧日立化成におけるカルテル問題について
旧日立化成で、2016年に判決されたカルテル問題については、米国司法取引による2017年から2021年までの保護観察期間、当社の再発防止対応等についてDOJ(米国司法省)に報告書を提出しており、2021年6月にはPROBATION OFFICEから終了通知を受領しています。
腐敗防止
贈収賄防止
公務員(政府・地方公共団体が実質的に支配する企業の役職員、公的国際機関の役職員、公職候補者などを含む)または民間企業の役職員への贈収賄やその強要・申込・勧誘などは、国の政治経済に腐敗を及ぼし、国際社会の持続的成長を妨げる行為です。当社は、「レゾナックグループ贈収賄防止に関するグローバルポリシー」および贈収賄防止に関する規程を策定し、各国贈収賄禁止法令の遵守に関して、徹底して取り組んでいます。
また、国内外の従業員を対象にEラーニングを提供しています。同Eラーニングでは、国内外の公務員など、または民間企業の役職員から営業上の不正な利益を取得することを目的に、直接または第三者経由で過剰な接待や贈答品の提供を行うことや、授受、癒着、ファシリーテション・ペイメントの支払いなどを行うことが各国贈収賄規制および当社のルールに反することを明示しています。また、贈収賄リスクを回避するためにどのように対応すべきかについて教育しています。
賄賂以外にも、社内規程において不当な利益を得るためと疑われるおそれのある便宜供与、無償利益供与または交際・接待・贈答などの授受・供与を禁止し、かつ社交儀礼の範囲を超えた無償利益供与を行わないように上限金額と承認プロセスを厳格に定め、運用しています。また、リスクが高い事業や取引に対する腐敗防止の取り組みを強化しています。特に公務員・準公務員との取引については、贈収賄行為(接待や贈答品の授受、癒着、横領など)に該当しないことを内部監査で確認しています。
さらに、サステナブル調達ガイドラインを通じて、当社の汚職防止方針(公務員への接待などの禁止、不適切な利益供与・授受の防止)についてすべてのサプライヤー、エージェント、コンサルタント、ディストリビューター含む仲介業などの中間業者へも周知徹底しています。そして、サプライヤーに対して実施するCSRアンケート(自己診断)では、腐敗のリスクについても評価し腐敗防止に取り組んでいます。
税務
当社は、事業活動を行うすべての国・地域において適正な納税を通じて社会の発展に貢献することが、企業として当然なさねばならない社会的責任のひとつであるという認識のもと、グループ税務ポリシーを制定しています。各国・地域での税制および規制に適正・迅速に対応するとともに、従業員への継続的な研修などを通じて、税務コンプライアンス意識の維持・向上に努めます。
教育と周知活動
当社は、行動規範およびGCSの浸透・実践を図るために、すべての役員・従業員に対して、さまざまな教育および周知の機会を提供しています。
- グループCEO、CXO・事業部長、ロケーションごとの所属長やグループ会社社長それぞれがトップメッセージを従業員に周知徹底しています。
- グループ行動規範を使って、所属する部署に関する身近なテーマについて、日頃の業務を通じて感じたことや、今後留意したいことなどを職場単位で討議します。
- サステナビリティ部コンプライアンス推進グループが作成した教材を使って、グループの全役員、全従業員を対象に教育を実施しています。この教育には腐敗防止や人権に関する内容が網羅されており、コンプライアンス部門が定期的に見直しています。
研修にあたっては、グループ行動規範やGCSに基づいて、コンプライアンスの徹底や、誠実な業務遂行ができるよう、その内容理解を促進しています。またルールの文言のみならず、なぜルールが必要なのか、背景や理由も含めて十分に理解できるよう、社内勉強会やコミュニケーションを計画的かつ継続的に実施しています。
長期ビジョン実現に向けた戦略
2030年までのロードマップ
非財務KPIの目標と実績
レゾナックは、サステナビリティを全社戦略の根幹と位置づけ、3つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を定義しています。コンプライアンスにおいては「責任ある事業運営による信頼の醸成」に紐づく非財務KPI・施策を定め、重点的に取り組むことで長期ビジョンの達成を目指します。
コンプライアンスリスクの管理
コンプライアンス部門により、当社は事前にコンプライアンス・リスクの特定やリスク低減を行っています。また、グローバル全体で推進しているリスク・マネジメント手法により、当社事業の業務プロセス全般について、定期的なリスク・アセスメントを実施し、当社業務執行部門のオーナーシップの下もと、リスク低減のための改善を推進しています。
法令等などに違反する、またはその疑いがある行為を発見した場合に通報できる内部通報制度も構築しており、事実関係の調査、原因の究明、是正・再発防止等の対応を速やかに実施しています。なお、通報した方の個人情報は厳格に守られるとともに、通報者が不利益な扱いを受けることは一切ありません。
「私たちの行動規範」には、全ての役員・従業員は、取引先、会社の顧客から社会的常識の範囲を超えた贈与、接待などの利益を受けてはならないこと、官公庁、取引先、会社の顧客に対し同様の利益を与えてはならないこと、利益相反を生じる行為やインサイダー取引を行ってはならないことなどを明記しています。