品質保証

価値創造への使命

当社は、お客さま、取引先などさまざまなステークホルダーとの信頼関係に基づく品質保証活動を通じて、安心で安全な製品とサービスを提供します。

取り組み方針

当社は『社会の持続的発展に貢献するグローバルトップレベルの品質を提供する』ことを品質方針として掲げ、品質保証活動を通じて開発・設計から上市・製造、販売、市販後に至る製品サイクル全体において、安全で安心な製品とサービスをお客様に提供することを使命と考えています。加えて、お客さま、取引先などさまざまなステークホルダーとの信頼関係に基づく共創を通じてその提供価値の最大化を目指すことで、社会の持続的発展に貢献することを目指しています。

推進体制

当社における品質保証活動は、ものづくりの最前線である各製造事業所に置かれている品質保証部門が中心となり、ものづくりに携わる全部門の協働によって日々推進されています。加えて、最高製造関係業務・技術責任者(CMEO)/最高品質保証責任者(CQO)の下に品質保証統括部という本社組織を設け、当社グループの品質保証に関する総合的な戦略・制度策定(Plan&Action)機能、制度マネジメント(Do)機能、監査・監視(Check)機能を持たせました。これらの本社組織と各製造事業所とが緊密な情報共有や意思疎通などの協働体制を構築することにより、品質保証に関するグループ全体のPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回して品質保証システムの継続的な改善を進めています。さらにこれらのPDCAサイクルを支援する機能として、グローバルガバナンス強化機能及びITシステム化推進機能を担うグループも本社組織に設置し、一層の品質保証機能の強化と業務の効率化・高度化を進めています。
品質保証に関する活動は「サステナビリティ推進会議」を通じて経営層に報告されることに加え、各製造事業所の品質保証に関する責任者が一堂に会する年次の「品質保証責任者会議」を通じて当社グループの品質保証に関する方針や重点課題などの共有を本社―事業所間で推進する体制を整えています。

品質コンプライアンスの徹底

当社においては品質コンプライアンスの徹底を「品質保証・品質管理規程」に盛り込み、さらに品質コンプライアンスに関する実施事項を定めた細則に落とし込んで、本社および事業所における関連施策の徹底を図っています。
本社品質保証部門はe-ラーニングを始めとする品質コンプライアンス教育を主導して従業員の意識付けを進めるとともに、不適切検査のリスク要因の排除のため、改ざん・捏造の余地をなくした検査システムの整備や専門部署による品質リスク診断や製品コンプライアンス監査等を行っています。
2023年には国内のグループ会社を含む全組織において品質コンプライアンスに関する意識調査を実施し、ステークホルダーとの約束を大事にする組織風土がどの程度醸成されているかを確認する仕組みを整えました。
2018年に旧日立化成で検出された不適切検査事案の教訓と再発防止策はレゾナックにおいても引き継ぎ、さらに体制を強化、再発防止に努めています。

2030年までのロードマップ

2023年実績 取り組むべき課題 2024年計画 ありたい姿(2030年)
  • グローバルガバナンスの基盤構築(統一規程の国内展開、品質情報の一元管理)
  • 品質コンプライアンス文化醸成施策の実施(国内意識調査、品質教育)
2030年ありたい姿に向けて
  • グローバル品質保証ガバナンスの確立と品質コンプライアンス遵守文化の醸成
  • CX(顧客体験価値)最大化に向けた品質保証・品質管理の現場力強化
直近の課題・問題意識
  • 意識向上:製品事故・不適切検査事案の風化防止及び教訓の継承。
  • 仕組み改善:品質コンプライアンス強化策の一つである人手を介さない検査システムの構築完遂。
  • 統一規程・品質教育・品質コンプライアンス意識調査のグローバル展開
  • 品質保証・品質管理の現場力評価の標準化
  • 不正防止のための人材ローテーションの仕組みを整備
  • グローバルでの品質保証ガバナンスと品質を大切にする文化が確立され、ステークホルダーから高い信頼を得ている
  • 安心で安全な製品・サービスの提供を通じて、事業の継続的成長と社会のサステナビリティに貢献している

非財務KPIの目標と実績

私たちは「製品事故ゼロ」「品質コンプライアンス違反ゼロ」を指標としての目標として掲げています。2030年までにレゾナックグループ全体がグローバルに統一された品質保証の枠組みで運営され、品質を通じて顧客との信頼関係を構築し、事業活動を通じた提供価値が最大化されている姿を目指します。
また、マテリアリティに対するKPIとして、下記を掲げて取り組みを進めています。

重要項目(KPI) 2025年目標 2023年実績
製品事故 製品事故発生件数ゼロ(連結) 0件(連結)
品質コンプライアンス違反 違反件数ゼロ(連結) 0件(連結)
  • 定義は当社基準による。

製品安全管理

統合後の製品安全確保の活動のための基本ルールとして、法規制の順守に加え、社内で「品質保証・品質管理規程」を制定しました。その中では、お客さまに当社の製品を安全に安心して使用していただいた上で“CXの最大化”を念頭に置き、製品ライフサイクルにおける品質リスク評価の実施を定めています。加えて、お客さまに新規に製品を提供する「サンプル出荷」や「上市」では、リスクベースの考え方に基づいて出荷・上市の可否を判断する審査体制を構築しています。今後、より一層の安全・安心な製品とサービスによってお客さまの期待を超えたソリューションの提供を目指します。

設計・開発 製品安全審査 製品リスク管理→上市・製造 新製品上市等審査 品質保証能力審査 製造条件変更手続き→販売 契約書・仕様書締結審査 販売宣伝等資料審査→市販後 市販後の製品情報管理→設計・開発に戻る

品質リスク診断および監査の実施

本社品質保証部門は、グループ全体のガバナンス強化及び各事業部・事業所、グループ会社の強みと弱点を明確化し共有することを目的に各部署に赴き、品質リスク診断を計画的に実施しています。診断では事業活動におけるQMS(品質マネジメントシステム)の運用状況の確認や品質リスクの抽出を行い、その低減につなげています。また、旧日立化成で2018年に検出された不適切検査事案への対応として、顧客との契約・取り決めの遵守状況に焦点を当てた製品コンプライアンス監査を実施しています。

現場力の強化

品質保証・品質管理のレベルアップのため、「現場力(現場で働く人の力量や意識)の強化」を掲げ、グローバルトップクラスの機能性化学メーカーとして必要な品質保証人材の育成を目指し、階層別の教育体系の構築(階層に合致した教育カリキュラムの提供)をグローバルで進めています。また、業務の効率化及び標準化を含めた改善を進めるために、各事業所で実施されている好事例を「グッドプラクティス」としてグループ全体で共有、活用する仕組みの構築や事業所間での合同会議、交流会などの共創への取り組みを進めています。併せて、品質不正防止やヒューマンエラー対策を目的とした検査システムの自動化への取り組みを進めています。

品質クレームの削減

当社は顧客満足の向上、さらにはCX最大化を目指すために、品質クレームの削減に取り組んでいます。クレームの本質原因に基づいた再発防止対策の実施や、これまでに発生したクレームから抽出した教訓を活用した未然防止策の実施により、毎年前年比20%の削減を目指します。

品質マネジメントシステム

当社では、製造事業所毎にそれぞれの製品や組織に適した品質マネジメントシステムを構築し、ISO9001やIATF16949などの国際規格の認証を取得しています。これからも品質マネジメントシステムを強化し、さらなる製品・サービスの品質向上およびCX最大化に努めていきます。

TOPICS

人の手を介さない検査システム

レゾナックでは品質コンプライアンス違反の発生を防止する目的で、検査指示、品質規格、検査結果情報およびその判定結果に基づいて、出荷検査成績書の自動発行を行うシステムを事業所に順次導入しています。これまで検査項目によっては測定した検査データを紙の帳票に手書きで記録し、その後システムに手入力していました。ある事業所では月に平均4万件のデータを手入力で処理しており、転記・入力ミスおよび不適切作業が起こりうる状態でした。これを改善するために検査機器とシステムを直接接続することで検査データの自動転送、検査結果判定や各種データへの人的関与を極力排除し、ヒューマンエラーや不正の防止および作業の省力化を実現することを目指しています。

人手を介さない検査システム

品質保証コンプライアンス意識調査

2023年8月、国内レゾナックグループ全従業員を対象に、品質コンプライアンス意識調査を実施しました。会社全体や自身の職場、あるいは個人の「品質を守ろ うとする風土や体制、リソースの十分さ」や「失敗を隠さず学ぶ姿勢、コミュニケーション、風通しの良さ」などを質問し、品質コンプライアンスに対する従業員の意識や心理状態を調査しました。「個人や部単位の品質コンプライアンスの徹底状況や風土」に関しては肯定的な回答が多かった一方で、「全社としての体制整備やリソース配分」については 改善を求める結果となりました。2社が統合し規模が拡大した中でのグループ一体となった施策推進が課題と捉え、取り組みをさらに強化していきます。

グッドプラクティスポータルの運用開始

当社では複数の事業所メンバーで構成したワーキンググループを設置し、それぞれの事業所で実践している好事例を「グッドプラクティス」として集約・共有するポータルを運用開始しました。他事業所での良い事例や、事故を未然に防いだ内容を参考にし、さらなる現場力の強化に取り組んでいきます。