【徹底解説】伝送損失・誘電損失・誘電正接とは?計算式、低誘電材料、誘電率との関係について詳説

モノのインターネット(IoT)・5G等の高速通信技術・高度な自動運転(ADAS)・生成AIなどの普及による情報量の増大に伴い、データセンタや端末の情報処理機器においても、また各情報処理機器間の通信においても、情報伝達の高速化・大容量化・広帯域化が求められています。そのため情報処理機器のデバイスでは、半導体前工程においてシリコンウエハ上のトランジスタや回路を微細化及び3次元化することに加え、後工程(パッケージ)においては基板の大型化によって搭載できるチップを大きくして高密度化・高集積化してチップ間の情報伝達を高速化・大容量化・広帯域化する対応が進められています。

一方、各情報処理機器間の通信においては、無線通信の分野では5Gから5G-Advancedへ、さらにBeyond 5G(6G)へと高速大容量化が進行し、光通信(イーサネット)の規格においても今後は400GbEから800GbEへ、さらに1.6TbEへと高速化への対応が必要とされています。無線通信の規格として、日本では5Gで3.7GHz帯、4.5GHz帯に加えて 28GHz帯が割り当てられましたが、今後ますます通信の高速化・大容量化が求められる中で、より高速でかつ広帯域の割り当てが可能な高周波数帯を活用する必要が出てくると考えられます。5G-AdvancedやBeyond 5G(6G)では、ミリ波帯(30GHz~300GHz)やテラヘルツ帯(100GHz~1THz)の活用が検討されており、例えばスモールセル用には37~43.5GHz(5Gで割当済み)、47.2~48.2GHz(議論中)、66~71GHz(議論中)、無線バックホール用には151~164GHz帯、モバイル・タブレッドの動画ダウンロード用に252~296GHz帯などが検討されています。またイーサネットの規格でも、芯数や信号処理方式にもよりますが、今まで以上の高周波数対応が必要となると考えられています。

このような高周波数帯域での情報伝達・情報処理に関して最も大きく影響を受けるのが、情報処理機器内でのマザーボードやパッケージ基板などプリント基板回路における電気信号の伝達です。信号線の抵抗や絶縁体の誘電性に応じて、一般的に高周波数になるほど伝送損失が大きくなり、それを低減する手段が課題となっています。
この記事では主に、プリント基板回路における伝送損失の起因や計算方法、伝送損失を低減する方法などについて、解説します。

伝送損失(伝送ロス)とは?

伝送損失とは、通信経路において電気や光、音などの信号が距離に応じて減衰する度合いのことです。本来の信号のエネルギーの一部が、熱など他のエネルギーに変換されることによって信号が減衰します。伝送ロスと呼ぶこともあります。プリント基板回路の場合、一般的に周波数が高くなるほど、伝送損失は大きくなることが知られています。

評価基板: マイクロストリップ線路

周波数による伝送損失の例

伝送損失の種類

伝送損失は、従来、誘電損失と導体損失の和として計算・議論されてきました。近年、高周波数帯におけるプリント基板回路の伝送損失がクローズアップされるにつれ、実測した「伝送損失」と、計算した「誘電損失と導体損失の和」の違いが注目されるようになりました。
この実測値と計算値の差分を、誘電体(プリント基板)と導体(信号線路)の界面での「散乱損失」として解釈する議論が始まっています。誘電損失と導体損失は計算法が確立していますが、散乱損失の計算法は議論の最中です。この記事では伝送損失の起因について、定説となっている誘電損失、導体損失に加えて、散乱損失についても解説します。これらの損失の合計が伝送損失となります。

伝送損失=誘電損失+導体損失+散乱損失

誘電損失(誘電体損失)とは?

誘電損失とは、誘電体に交流電場を加えた時、そのエネルギーの一部が誘電体内部で熱となって失われる現象のことです。誘電体損失と呼ぶこともあります。誘電損失は誘電体の誘電特性に依存しており、誘電正接と誘電率の値によって大きさが決まります。一般的に高周波になるほど損失が大きく、誘電正接や誘電率が大きいほど損失が大きくなります。
プリント基板回路の場合、誘電体であるプリント基板の上または上下に導体からなる信号線路(配線)が形成されており、信号線路に交流信号(電流)が流れると、誘電体に交流電場が加わります。信号のエネルギーの一部が誘電損失として誘電体内部で熱となって失われると、その分元の信号のエネルギーが減衰します。

誘電正接(tanδ、Df)とは?

誘電正接とは、誘電体に交流電場が加わった時、そのエネルギーの一部が熱となってしまう比率の一側面を数値で表したものです。tanδ、タンジェント・デルタ、タンデルタ、タンデルと呼ぶこともあります。また、主に工学分野で、Df(Dielectric Dissipation Factor)と呼ぶこともあります。
容量成分のみを考慮した理想的な誘電体に交流電場を加えた場合、電場の位相と分極・電荷反転による電流の位相には90度の位相差があります。交流の電力消費は、電場と電流のベクトル積で表されますので、両者の位相差が90度であればゼロ(電力消費なし=熱発生なし=損失なし)となります。しかし実際の誘電体では、並列等価抵抗(誘電体自身の抵抗は無限大ではなく有限なのでリーク電流が発生することに加えて、誘電分極や部分放電なども考慮した並列抵抗成分を想定する必要)が存在するので、位相差は90度からずれています。この90度からずれた分の角度をδとすると、その正接(tanδ)は電場と電流が同位相となる成分に相当し、この同位相成分のみが電力消費すなわち損失に関与します。この正接のことを誘電正接と呼びます。
誘電正接は誘電損失に比例する係数です。誘電正接tanδが大きいほど、すなわち90度からずれた角度δが大きいほど、電力消費が大きく、従って熱発生が大きく、そのため誘電損失が大きくなります。
なおごく稀に「静電正接」という言葉を見かけますが、これは誘電正接が注目されているプリント基板とは別の分野:キャパシタ(コンデンサ)分野の基本特性である「静電容量」と「誘電正接」の言葉の一部が混同・混用されたものと思われます。

誘電率及び比誘電率(εr、Dk)とは?

誘電率とは、誘電体に電場を加えた際に、単位電場に対して分極により発生する電荷の大きさを表す値です。分極のしやすさを表す指標とも言えます。誘電率が高いほど単位電場に対して発生する電荷が大きくなるため、交流電場を加えた場合には正負が反転する(振動する)電荷の量、すなわち交流電流が大きくなります。従って誘電正接がゼロでない限りは、誘電率が高いほど電力消費が大きく、すなわち熱発生が大きく、そのため損失が大きくなります。
なお通常は、誘電体の誘電率εそのものよりも、真空の誘電率ε0に対する比:比誘電率εr=ε/ε0がよく使われます。比誘電率は、主に工学分野でDk(独語;DielektrizitätsKonstante)と呼ぶこともあります。また「Low-k material」というようにkを使うこともあります。一般的に、物理学の分野ではεr、工学の分野ではDkやkが使われています。
以上のように誘電損失は、誘電正接と誘電率の値によって大きさが決まります。特に高周波帯では、誘電損失を小さくするために、誘電正接が小さく、かつ誘電率の小さな誘電体(基板材料)が求められています。

導体損失とは?

導体損失とは、基板上の信号線路(配線)として使われる導体の抵抗や表皮効果(詳細は後述)によって、そのエネルギーの一部が導体内部で熱(ジュール熱)となって失われる現象のことです。信号である電流が定電流の場合、導体の抵抗が高いほど、電力消費が大きくジュール熱が大きくなって、損失が大きくなります。また信号が交流の場合、高周波になるほど表皮効果により表皮深さ(導体の表面からどの程度の位置まで電流が流れるかを表す指標)が浅くなって実質的に高抵抗になるので損失が大きくなります。
導体の抵抗は、導体の電気抵抗率と形状と表皮効果に依存し、電気抵抗率が大きくなるほど、また信号線路が狭く、薄く、長いほど、さらに高周波によって表皮深さが浅くなるほど導体の抵抗が高くなるので、導体損失も大きくなります。

導体損失と表皮効果、抵抗率の関係

表皮効果とは、導体に交流電場を加えたとき、導体の中心部より外側の方に多く電流が流れる現象のことです。表皮効果は、電磁誘導によって発生する磁界と、その磁界によって発生する誘導起電力と誘導電流により導体内部で渦電流が発生することによって現われる現象です。この渦電流の向きは導体の中心部分では電流と逆の方向に、導体の表面付近では電流と同じ方向となるため、表面に近いほど多くの電流が流れて表皮効果が発生します。導体の表面からどの程度の位置まで電流が流れるかを表す指標を表皮深さと呼びます。表皮効果は周波数が高ければ高いほど、また導体の電気抵抗率が低ければ低いほど顕著に現れます。表皮効果が大きいほど、表皮深さが浅くなって実質的に電流断面積が小さくなり、導体の交流抵抗が高くなるので、導体損失が大きくなります。
導体損失を小さくするには、導体の抵抗を下げればいいのですが、導体の材料は工業的な観点からほぼ銅に固定されて(従って電気抵抗率も、表皮効果の電磁誘導に関係する透磁率も同じ)います。
一方、信号線路の形状は設計の要求に依存しますが、例えばモジュール化やパッケージの3次元化は線路幅の増加と線路長の低減の可能性があり、いずれも低抵抗化に寄与して伝送損失の改善に繋がります。

散乱損失とは?

散乱損失とは、導体に高周波電場が加わったとき、導体の表面或いは基板との界面の粗化部分で電気信号が散乱し、熱として損失する現象のことです。
プリント基板回路の場合、信号線路(導体:銅)と基板(誘電体)や他の材料との密着性を上げるために、導体の表面や界面が粗面化処理されているのが一般的です。従来この粗面化処理が伝送損失に与える影響は、さほど問題視されていませんでしたが、高周波数帯になるほど表皮効果が大きくなるため、導体表面や導体/誘電体界面の凹凸による散乱が大きなファクターになっていることが認識されるようになりました。これが冒頭で述べた通り、実測した「伝送損失」と計算した「誘電損失と導体損失の和」の差分として表れています。
なお、導体表面や界面の粗化処理による損失のことを、表皮効果の一部であって導体損失に含まれるとする考え方もありますが、既に計算式が確立されている表皮深さを抵抗増として考慮した導体損失と、計算式が議論中である粗化処理による損失は別物と定義した方がわかりやすいと判断して、この記事では導体損失とは別扱いとして散乱損失と表現しました。
散乱損失のモデルや計算法は議論の最中であり、まだ確定していませんが、密着性向上のための粗面化処理によって生じた導体表面や導体/誘電体界面の凹凸による散乱が大きなファクターとなっていることは間違いないと思われます。散乱損失を少なくするには、導体表面や導体/誘電体界面の凹凸をなるべく小さくすることと、また表面や界面の凹凸を小さくしても密着性が確保できるような材料が求められています。

誘電損失、導体損失、散乱損失の違いまとめ

誘電損失

誘電体に交流電場を加えた時、そのエネルギーの一部が誘電体内部で熱となって失われる現象のこと。誘電損失を改善するために、誘電正接と誘電率が共に小さい基板材料が求められている。

導体損失

基板上の信号線路(配線)として使われる導体の抵抗や表皮効果によって、そのエネルギーの一部が導体内部で熱(ジュール熱)となって失われる現象のこと。導体損失を改善するには、モジュール化やパッケージの3次元化などによる線路長の低減や線路幅の増加を通した低抵抗化が求められる。

散乱損失

導体の表面や界面の粗化部分で電気信号が散乱し、熱として損失する現象のこと。散乱損失を改善するために、界面の凹凸を小さくしても密着性が確保できるような材料が求められている。

 

レゾナックの解決策

 

伝送損失の求め方・計算方法

誘電損失の求め方・計算式

誘電損失は、誘電体の誘電率と誘電正接の値によって大きさが決まります。

誘電損失の計算式

  • αd:誘電損失、K:比例定数、f:周波数、εr:比誘電率、tanδ:誘電正接

導体損失の求め方・計算式

導体損失の計算式については、回路によってさまざまな計算式が提唱されています。単純なマイクロストリップ線路(基板上面に幅W、長さlの1本の信号線路、基板下面全面にグラウンドを設けた回路)の場合は、表皮効果を織り込んだ導体損失が下記の式で表されています。

導体損失の計算式

  • αc:導体損失、K1, K2, K3:比例定数、f:周波数、ρ:抵抗率、W:線路幅、l:線路長、R:導体の抵抗、d:表皮深さ、μ:透磁率

マイクロストリップ(MSL)線路やコプレーナー(CPW)線路での計算の詳細は、下記の文献で代表的な計算式が紹介されていますので、参照してください。

  • MSL線路:
    • Cam Nguyen "Analysis Methods for RF, Microwave, and Millimeter-Wave Planar Transmission Line Structures", JOHN WILEY & SONS, INC., 2000, p68-71,
  • CPW線路、裏面導体付きCPW線路:
    • K.C.Gupta, R. Garg, I. J. Bahl, "Mictostrip Lines and Slotlines", Artech House, 1979,
    • Cam Nguyen "Analysis Methods for RF, Microwave, and Millimeter-Wave Planar Transmission Line Structures", JOHN WILEY & SONS, INC., 2000, p71-74

散乱損失の求め方・計算式に関する議論

2024年9月現在、誘電損失と導体損失の計算式だけでは、実測値と合わないため、散乱損失のモデルが提案されていますが、計算式の精度についてはまだ議論があります。代表的な散乱損失の計算モデルとしては、下記の文献を参考にしてください。

  • Paul G.Huray, "The Foundations of Signal Integrity", IEEE PRESS, John Wiley & Sons, Inc., 2010, p216-276,
  • Stephen C. Thierauf, “High-Speed Circuit Board Signal Integrity”, ARTECH HOUSE, INC., 2004, p17-30,

現状では、実測した「伝送損失」と計算した「誘電損失と導体損失の和」の差分を「散乱損失」として理解するのが現実的と思われます。

プリント基板における伝送損失とは?(これまでのまとめ)

プリント基板上の信号線路で発生する伝送損失は、基板材料に用いられる誘電体の誘電正接と誘電率によって決まる誘電損失と、基板上の信号線路として用いられる導体の抵抗に起因する導体損失と、信号線路表面および信号線路/基板界面の粗さによる散乱損失の和として表されます。

伝送損失=誘電損失+導体損失+散乱損失

プリント基板における伝送損失の例と影響

例1:誘電損失の例

プリント基板材料に用いられる誘電体の誘電正接と誘電率によって誘電損失が決まります。また周波数が高くなるほど、誘電損失も大きくなります。
下記は当社製品を用いた測定結果ですが、誘電率と誘電正接の違いにより、誘電損失が異なったため、伝送損失に違いが生じていることが分かります。

誘電正接と誘電率の違いにより誘電損失が異なったため、伝送損失に違いが発生した例

評価基板: マイクロストリップ線路
特性インピーダンス: Approx.50 Ω
校正方法: TRL
温度および湿度:25℃/60%RH

項目 条件 製品A 製品B 製品C
比誘電率 10GHz 3.07 2.97 2.95
誘電正接 10GHz 0.0021 0.0015 0.0013
  • Cavity resonator perturbation法による
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

例2:散乱損失の例

プリント基板上の信号線路に使われる導体(銅)は、一般的に各種材料との接着性を高めるために粗面化処理を施しています。しかし、高周波電場になるほど表皮効果が大きくなり表皮深さが浅くなるので、表面や界面の粗化部分の影響が大きくなります。この粗化部分で信号が散乱し熱として損失する現象を散乱損失といいます。散乱損失は導体の表面粗さに関係しているため、導体の表面粗さが粗いほど大きくなります。

下記は当社製品SFRと一般的なLCPやPTFEを用いた測定結果です。 SFRとLCPの差は、誘電率と誘電正接の差に基づく誘電損失の差と考えています。 一方SFRとPTFEの差には、散乱損失の差と誘電損失の差が含まれています。PTFEの方が誘電率と誘電正接が低いにもかかわらず伝送損失が大きい理由は、 SFRは低粗度銅箔を使用できたのに対して、PTFEは低粗度銅箔への密着性が悪いために一般銅箔を使用せざるを得なかったということから、散乱損失の差が大きく影響していると考えています。散乱損失が異なったため、伝送損失に違いが生じていることが分かります。

誘電損失または散乱損失の違いによる伝送損失の比較例

Condition;伝送構造:マイクロストリプライン、温度/湿度:25℃/50%RH
特性インピーダンス:50Ω、キャリブレーション:TRL 
SFR、LCP:低粗度銅箔使用、PTFE:一般銅箔使用

項目 条件 SFR LCP PTFE
比誘電率 10GHz 2.4 3.4 2.1
誘電正接 10GHz 0.0020 0.0020 0.0002
伝送損失の比較

  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

レゾナックの解決策

誘電損失は、基板材料や樹脂の誘電率や誘電正接と正の相関がある(正確には誘電率の平方根と誘電正接に比例している)ため、誘電損失の低減には誘電体である基板材料や樹脂の誘電率及び誘電正接の低減が必要と考えます。また、導体表面・界面を低粗化することで散乱損失を低減できることから、低粗化しても密着性を確保できるような基板材料、樹脂または接着シートの接着性向上が必要となると考えます。
当社は、低誘電特性や接着性に優れた基板材料や樹脂を各種ご提案しております。バランスに優れた低誘電樹脂を使用することで、伝送損失を低減可能です。

伝送損失を抑えるレゾナックの解決策

多層用銅張積層板<MCL-HS200(Dタイプ)>

多層用銅張積層板
<MCL-HS200(Dタイプ)> 

スマホのRFモジュール用基板として 
低誘電特性と低CTEと高Tgを並立させ、高周波特性に加えて多層化・小型化にも適したRFモジュール用基板です。特に従来品よりDkが低いので基板の薄型化が可能であり、基板の多層化やモジュールの小型化に有利です 。
代表値(10GHz): Dk=3.3、Df=0.0025
低熱膨張・低伝送損失基板材料<MCL-LW-990(RFD タイプ)>

低熱膨張・低伝送損失基板材料
<MCL-LW-990(RFD タイプ)>

車載77GHz帯ミリ波レーダー用基板材料として
77GHzでの低伝送損失に加えて、低CTE・低弾性率の熱硬化樹脂により、配線精度・加工性・信頼性に優れる基板材料です。77GHz帯ミリ波レーダー基板材料に求められる、高精度、小型化、高信頼性の課題を解決します。
テスト基板での代表値(77GHz): Dk=3.1、Df=0.0022
プライマー用低誘電高密着 ビスマレイミド樹脂 SFR

プライマー用低誘電高密着
ビスマレイミド樹脂 SFR

高周波通信回路基板のプライマー・接着剤として
低誘電性と低粗度銅箔への密着性を両立するプライマーです。基板と低粗度銅箔との接着剤として使うことにより、高周波通信端末や基地局の回路基板の伝送損失(誘電損失と散乱損失の両方)を低減します。
代表値(10GHz): Dk=2.4、Df=0.0020
高周波フレキシブル基板用低誘電ポリイミド樹脂

高周波フレキシブル基板用
低誘電ポリイミド

通信端末や基地局の回路基板材料として
低誘電性と低CTEを両立する樹脂です。接着剤付Cu箔と貼り合せすることもCu箔にキャストすることも可能であり、従来のポリイミドと同じ工程でFCCLが製造できます。
代表値(10GHz): Dk=2.65、Df=0.0020
高誘電率成形材料

高誘電率成形材料

小型高周波アンテナに トランスファー成形可能
低誘電正接かつ高誘電率の成形材料です。加工性に優れ、小型化が容易な高誘電率の成形材料であり、かつ誘電正接が低いため高周波帯においても優れた低伝送損失を発現します。
代表値(10GHz): Dk=10~20、Df=0.0050

著者プロフィール

友澤 秀喜
株式会社レゾナック コーポレートマーケティング部 プロフェッショナル
1985年3月東京大学大学院理学系専門課程修士課程修了。同年4月昭和電工株式会社(株式会社レゾナックの前身)入社。
以後、導電性高分子(1985年~1995年)、GaN系半導体(1996年~2009年)、リチウムイオン電池用炭素材料(1995年~1996年、2009年~2017年)の各分野のいずれも新規事業において、研究、開発、量産ライン立上、開発営業、製造・検査・分析、生産管理、海外営業、品質保証、SCM、海外事業企画、海外ライン立上、研究開発企画の各業務に従事。2019年より現所属のマーケティングを担当。
この間、1986~88年米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校ポリマー研究所客員研究員。1996~97年名城大学理工学部客員研究員。2003年~04年財団法人新機能素子研究開発協会・技術企画委員。

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更新日:2024年9月20日

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