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対象業種通信回路基板メーカー/通信回路メーカー/通信部品メーカー/通信端末メーカー/基地局メーカー
用途想定5Gミリ波等の高周波通信回路基板において低誘電基板と低粗度銅箔を貼り付けるためのプライマー・接着剤
5Gから5G-Advancedへ、さらにBeyond 5G(6G)へと高速大容量化が進む通信業界。
ミリ波~サブテラヘルツ波の高周波数帯域が着目されています。通信端末や基地局の回路基板では、高周波になるほど「信号の減衰」=「伝送損失」が大きくなるため、この損失を下げる特性が求められます。
「伝送損失」=「誘電損失+導体損失+散乱損失」で表されます。導体損失は配線材料が工業的に銅に限定されるので改善の余地は少ない一方で、誘電損失を下げるためには基板材料のDkとDfを下げて低誘電性にすればよく、散乱損失を下げるためには配線/基板界面の粗さすなわち銅箔表面の粗度を下げた低粗度銅箔を使う必要があります。
しかし、従来使われてきた基板材料や高周波向けに開発された基板材料、さらには基板と銅箔との接着力を上げるために使われる接着シートや接着剤などは、いずれも低誘電性と低粗度銅箔への密着性を両立することが困難でした。
当社は、低誘電性と低粗度銅箔への密着性を両立するプライマーとしてビスマレイミド樹脂SFRを提案します。当社SFRを、基板と低粗度銅箔との接着剤として使うことによって、5Gミリ波帯での通信端末や基地局のプリント回路基板の伝送損失を低減することができます。
従来から基板材料として使われてきたエポキシ樹脂は、銅箔との密着性はよいのですが、誘電特性が悪いので高周波での誘電損失が大きくなるという課題がありました。
一方、低誘電性の材料として知られているPTFEは、銅箔との密着性が悪いため低粗度銅箔が使えないという課題がありました。
また低誘電性の材料として開発されてきたLCPは、低粗度銅箔に対する密着性は改善されたものの低誘電性は不十分という課題がありました。
一般的に低誘電性にするには材料中の水酸基など極性基を減らす必要があります。しかし、極性基を減らすと接着力が低下してしまうため、低誘電性と密着性はトレードオフの関係にあります。例えばLCPには極性官能基が多く含まれているので、密着性はある程度高いものの、極性基が多い分低誘電性が悪くなります。一方PTFEは極性基が少ないので低誘電性ですが、密着性が悪い点が課題となっています。また弾性率が高くて微細な凹み部分への樹脂フローが起こらないので、アンカー効果も期待できません。
当社は、低誘電性と低粗度銅箔との密着性を両立するプライマーとしてビスマレイミド樹脂SFRを提案します。当社SFRは極性基が少ないので低誘電性であり、かつ低弾性(0.4 GPa@25 ℃)なので微細な凹み部分への樹脂フロー性が高く、アンカーを形成するため低粗度銅箔に対しても高い接着強度を発現します。
20~100GHzに渡ってSFRは、PTFEには及ばないものの、LCPと比較して低Dkかつ低Dfです。またSFRには極性基が少ないため、LCPのようなDfの周波数依存性も見られません。下記グラフをご参照ください。
ピール強度について、一般的に十分なレベルと認識されている1.0kN/m以上に対してSFRは上回っており、低粗度銅箔との接着性に優れています。下記グラフをご参照ください。
SFRは、LCPやPTFEと比較して60GHzでの伝送損失を約20%低減します。SFRとLCPの差は、Dk・Dfの差に基づく誘電損失の差と考えています。SFRとPTFEの差には、散乱損失の差と誘電損失の差が含まれています。SFRは低粗度銅箔を使用できたのに対して、PTFEは低粗度銅箔への密着性が悪いために一般銅箔を使用せざるを得なかったということから、散乱損失の差が大きく影響していると考えています。下記グラフをご参照ください。
更新日:2023年9月11日
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