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対象業種PCB(Print Circuit Board)メーカー、Tier1(セットメーカー)
用途想定車載77GHz帯ミリ波レーダー用アンテナ基板材料
レベル4への実用化が進む自動運転。センシング方法のひとつであるミリ波レーダーにおいても、従来の24GHz帯に代わって広い帯域幅(最大4GHz)が認められた77GHz帯での開発が進んでいます(当コンテンツでは、いわゆる76GHz帯と79GHz帯とを合わせて77GHz帯と呼ぶこととします)。広帯域であることから高い距離分解能と測長精度が実現でき、高周波・短波長であることから高い速度分解能とアンテナの小型化が図れます。77GHz帯ミリ波レーダー基板には、車載材料として求められる信頼性と高周波での誘電特性の他に、広帯域でのインピーダンスマッチングと小型化に対応するため、配線精度への要求が厳しくなるとともに、配線引き回しのため多層化などの加工性が求められています。
従来から低誘電材料として知られているPTFEは接着性が悪いので、PTFEを用いた基板では低粗度銅箔が使えないため配線精度が悪いことと、多層化のための加工性が悪く加工コストがかさむことが課題でした。一方で、接着性のいい熱硬化樹脂として知られるPPEを用いた基板は信頼性が悪く、これらの両立が課題でした。
当社は密着性に優れた熱硬化樹脂を使った基板でありながら信頼性に優れた基板材料〈MCL-LW-990(RFD タイプ)〉を提案します(以下〈LW-990(RFD)〉と呼びます)。当社の〈LW-990(RFD)〉は配線精度・加工性・信頼性のすべてに優れているため、77GHz帯ミリ波レーダー基板に求められる、高精度、小型化、高信頼性の課題を解決します。
車載ミリ波レーダーの利用周波数帯(24GHz帯から77GHz帯へ移行:EUの例)
24GHz帯と77GHz帯のアンテナ・サイズの比較
低誘電材料として知られるPTFEは、官能基がないため接着性が悪く、そのため低粗度銅箔は使えません。粗度の粗い一般銅箔をパターニングするには過剰なエッチングが必要なので、配線形成精度が悪くなり、歩留まりも落ちます。また多層化するには接着剤が必要であり、さらにビルドアップ積層やビア形成など加工が難しくて加工コストが高いことも課題でした。一方、熱硬化樹脂の基板材料として代表的なPPEは、高CTE、高弾性のためアンテナ基板と半導体パッケージの信頼性(BLR: Board Level Reliability)が悪いという課題がありました。
当社が提案する77GHz帯ミリ波レーダー基板材料〈LW-990(RFD)〉
また官能基があり密着性がよく低粗度銅箔を使用できているので、矩形形状の配線を精度よく、歩留まりよく作製できます。多層化形成が容易でアンテナ基板の加工性に優れており、配線引き回しが複雑になる小型アンテナ基板の作製に低コストで対応できます。勿論77GHz帯で使用可能な高周波特性をもっています。
77GHz帯ミリ波レーダーは、広帯域でのインピーダンスマッチングと小型化への対応が要求されるので配線精度への要求がより厳しくなります。密着性の悪いPTFEを用いた基板では低粗度銅箔が使えないので、表面粗度の粗い一般銅箔を使う必要がありますが、それをパターニングするには過剰なエッチングをしなければならず、そのため配線形状が台形状になって配線形成精度と歩留まりが落ちます。
一方当社の〈LW-990(RFD)〉は密着性がよく低粗度銅箔が使えるため、矩形の配線形状が精度よく得られるので配線形成精度に優れます。
アンテナを小型化する際、配線の引き回しのためには多層化が求められるのが一般的です。
〈LW-990(RFD)〉は熱硬化樹脂のため多層化が容易であり、ビルドアップ積層や、レーザー加工とプラズマデスミアの組合せによるスタックビアの形成など、アンテナ基板の加工性に優れており、配線引き回しが複雑になる小型化に対応可能です。
当社が提案する77GHz帯ミリ波レーダー基板材料〈LW-990(RFD)〉は、その材料として、変性PIとソフトセグメントを最適配合した熱硬化樹脂を使っています。母材がやわらかいため、CTEとしてはガラスクロスが支配的になり、面方向の膨張を抑えることができます。
低CTE・低弾性の特長をもっているため、信頼性(BLR)にも優れています。熱硬化性樹脂として知られる変性PPEを用いた基板材料(Material A)との比較表をご参照ください。
半導体パッケージと全層アンテナ層のアンテナ基板のBLR試験条件
更新日:2024年2月6日
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