レゾナックナウ

素材産業への意見と期待~CFOと同志社大 新関ゼミとの座談会~

2023年10月10日

CFO-Niizeki

同志社大学経済学部 新関ゼミの皆さま(前列中央 新関三希代教授、後列右からスキャンラン セリーナ花奈さん、
沖永 昂基さん、園田恭平さん(4年生)、江野 駿介さん、中西 遥菜さん(3年生))
レゾナック・ホールディングス CFO 染宮秀樹(前列右)、サステナビリティ部長 松古樹美(前列左)

素材産業を題材とした論文「Material Innovations」で日経STOCKリーグの敢闘賞を受賞した同志社大学経済学部新関ゼミの皆さんと当社CFOの染宮とのダイアログを、2023年8月24日に実施しました。大学生の皆さんにはCFOとの意見交換を通じた学びを、当社としては次世代を担う大学生の新鮮な視点でのご意見、期待を 聞くことで気付きを得ることを目的に実施しました。教育者として人材を送り出す立場である新関教授との対談も含め、事業・財務戦略から人材育成に至るまで、さまざまな意見を交換する有意義な会となりました。

テーマ 「素材・化学企業の今と今後への期待」  
第一部:第23回日経STOCKリーグ受賞論文「Material Innovations」のご紹介       
                  新関ゼミの皆さまとCFO染宮との座談会   
第二部:大学における人材育成と企業が求める人材像について新関先生とCFO染宮の対談
(2023年8月24日当社イノベーションセンターにて実施、組織・役職等の名称は実施当時のものです。)

素材産業へ寄せられたZ世代からの期待と意見を理解し、経営に反映していく

本座談会で、学生の皆さまから「素材産業から変革を起こすことで世界の課題を解決に導くことができる。素材産業は産業の川上に位置するため他産業への波及効果を持つ。さらに、マテリアル産業は基幹産業として日本の大きな強みとなっているため、日本においてマテリアルからイノベーションを起こし、社会課題を解決することができる。」という期待とご意見をいただきました。   
また、学生からは以下の質問もいただき、CFOの染宮から回答するなど意見交換を行いました。

  • 半導体・電子材料事業に経営資源を集中させることのリスクについて、どう考えているか
  • 技術やノウハウを業界全体に公開することをCFO的観点からどのように捉えているか
  • 非財務情報に対する認識として、染宮CFO自身や投資家の方々の間でどのような変化があったか
  • 組織体制の抜本的改革によって、社員・組織にどのような変化がもたらされたか。また、改革において苦労された点はあるか
  • 企業内外でコミュニケーションをとる際に大事にしていることは何か
  • 将来的にCXOとして活躍するために必要な資質・スキルは何か。また、そのスキルを身につけるために、学生生活を過ごす上で意識することはあるか

第二部では、大学における人材育成と企業が求める人材像について新関先生とCFO染宮の対談を行い、次代を担う人材育成に向けた有意義な議論が行われました。

今回、学生や新関教授からいただいた期待やご意見を当社の経営に活かしていきます。また、本座談会はオンラインで従業員に公開しました。Z世代の新鮮な視点でのご意見、期待を聞くことで従業員一人一人がレゾナックのパーパス「化学の力で社会を変える」、ひいては自分自身のパーパスに思いを巡らせ、気付きを得る機会となりました。  
当社はパーパス「化学の力で社会を変える」を掲げ、バリューチェーンの川上~川中企業である素材・化学企業として、お客さまや取引先と連携して、社会課題を解決する事業のさらなる拡大を目指していきます。

第23回日経STOCKリーグ受賞論文「Material Innovations」
日経STOCKリーグとは、中・高・大学生を対象とした金融・経済学習コンテストであり、各班で投資テーマを設定し、テーマに沿った株式ポートフォリオを構築するコンテスト。そこで、マテリアルイノベーションで日本を課題解決先進国に導く企業は“Japan as No.1”の再興に貢献するため企業価値が向上するという仮説をたてた論文を発表し、敢闘賞を受賞した。審査講評では、日本が抱える社会問題に対し、その解を、産業構造の川上に位置し、川下まで波及効果のある「マテリアル(素材・材料)」に見出すという着眼点がユニーク。ユニークなだけでなく、各課題に対しそれぞれ丁寧な現状分析となぜこれまで解決されなかったのかという考察、ポートフォリオ構築後の社会への影響分析まで行っており、説得力のある作品となった。フィールドワークの多さ等、意欲的に取り組んだ点も評価された。
 

論文の概要  課題先進国として数多くの深刻な課題を抱える日本の経済社会。一見弱みに見える「課題先進国」という日本の現状こそが好機になると捉え、「超高齢社会問題」「自然災害問題」「資源・環境制約問題」の 3 つの社会課題を、マテリアリティ分析を通して重要課題と特定し た。日本が国内外においてこの 3 つの課題を解決することで、国内の経済成長を大きく阻害している要因を取り除くことができるだけでなく、日本が現在抱えている課題の多くが今後世界の国々も必ず追従してくる課題であるため、今後の国際標準を構築することができるのである。このように日本は「課題先進国」から「課題解決先進国」になるポテンシャルを秘めている。
では現状、日本の社会課題解決への取り組みが限界を迎える中、それを乗り越える方法はあるのだろうか。本稿では、その解を「マテリアル(素材・材料)」に見出した。最終製品の根源の部分となるマテリアルにはこれら3 つの課題を根本から解決する能力があり、また産業の川上に位置するため他産業への波及効果を持つ。さらに、マテリアル産業は基幹産業として日本の大きな強みとなっているため、日本においてマテリアルからイノベーションを起こし、社会課題を解決することができる。
川下産業の取組が限界を迎える今、日本が世界に対して輝きを放っていた時代からの隠れた強みの源泉である「マテリアル」が、黒子から主役へと躍進を遂げることで、再び“Japan as No.1”に返り咲くのである。
この仮説を実現に導く企業を選定するべく、5 段階のスクリーニングによって、マテリアル企業とそのマテリアルを活用するユーザー企業の 20 銘柄から成るマテリアルイノベーションファンド(MI ファンド)を構築。リスク・リターン分析と企業価値の実証分析を行い、当ファンドの経済的価値を示すとともに、3 つの社会課題に対する社会インパクト分析を実施することで、マテリアルからの改革がもたらす社会的価値を示した。マテリアルからの改革が日本及び世界の課題を解決し、日本が経済性と社会性両面において輝きを放つ、「真の Japan as No.1」になれることを示す。

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