レゾナックナウ

共創とシナジーでイノベーションを創出~CTOと若手研究者座談会~

2023年07月31日

CTO

(写真 左から) 福島 正人:執行役員 最高技術責任者(CTO)
豆田 啓介:高分子研究所 機能分子化学研究部 クロスファンクショナルグループ(勤務地:川崎事業所)
大和田 真央:共創の舞台 次世代高速通信材料グループ(勤務地:共創の舞台)
角田 皓亮:計算情報科学研究センター 情報インフォマティクスグループ(勤務地:共創の舞台)
小林 譲:先端融合研究所 デバイス材料研究部 構造制御グループ(勤務地:下館事業所)

レゾナックが、持続可能なグローバル社会に貢献できるイノベーション力と事業開発力を発揮するには、何が必要なのか。CTOの福島と若手研究者が語り合いました。
(2023年6月19日 当社会議室にて実施、社名・部署名・役職名はインタビュー当時のものです)

共創とシナジーで求められる共通言語

福島

レゾナックは目指す姿として、持続可能なグローバル社会に貢献できるイノベーション力と事業開発力を掲げています。イノベーションは必ずしも破壊的なものではありません。それまでに積み重ねてきたことを違った目線で見たり、ある機能に美しさといった何かが加わったりした時に、急にイノベーションに変わることがあります。化学メーカーである私たちは、最終ユーザーの人たちが「すごいな、これは革新的だ」と思う製品の中の重要なテクノロジーを担いたい。皆さんは、イノベーション起こすためには何が必要だと考えていますか。

 

角田

最先端の技術をキャッチアップする力と、そこから得られたことを自分の技術に落とし込んで実装する力、そして共創が必要だと考えます。私は「共創の舞台」の計算情報科学研究センターで、主にAI技術を開発しそれを活用しながら、半導体材料を開発しています。これまで、開発期間を半分に短縮することや、AI技術による実験方針の策定を実現してきました。「共創の舞台」は社内の研究機能と国内外の知見が集約しているので、AI技術によるイノベーションが次のイノベーションにつながる連鎖的反応が、起きやすいと感じています。  

 

小林

私は今、先端融合研究所で、旧昭和電工と旧日立化成の技術シナジーも活用して、次世代の基板材料開発を開発部と連携して行っています。シナジーに関しては、元の文化の違いから共通言語がまだ足りないと思うこともあります。共通言語とは、いままで培ってきた技術やノウハウを担当者同士が共有し、お客さまに満足してもらう製品を作るために何をしなければいけないのかの認識を共通化していくことだと考えます。このような共通認識を育てていくことが新たな発見につながり、イノベーションを起こすために重要であると思っています。

 
大和田

私も社内技術のシナジーを存分に発揮したいと感じています。私の所属する次世代高速通信材料グループのミッションは、2030年代の情報通信分野で使用される複合材料向けの素材や技術の開発で、材料科学解析センターや計算情報科学研究センターと、分析方法確立やシミュレーションによる特性予測の観点で共創しています。共通言語により、お互いの文化を共有するスピードが上がり、研究開発のスピードを向上できるのではないかと思う時があります。

 

豆田

イノベーションには顧客ニーズの把握が必要不可欠だと思います。私は、社内協業テーマとして銅張積層板の墘反り化を目指した墘熱膨張の樹脂開発を担当しています。以前担当していた開発テーマでは、外部顧客が本当に求めているニーズをつかみ切れていなかったのでは、という反省がありました。現在は関係者・顧客が社内に存在することになり、顧客やその先のニーズが理解しやすくなっています。相互理解を深めるために協業先とのデータ共有サイトを作成したり、協業先で2週間の実習を受けるなど、実地、対面での取り組みを進めています。

 

福島

旧昭和電工と旧日立化成が統合したのだから、お互いの文化を理解し、それに触発されながら一つの文化を作り上げる、その過程で新たなイノベーションを創出する機会があるはず。そのためには共通言語をいかに持つか、それが大切だし課題だということですね。共通言語のためには、お客さまや社会の要求とそのために何をしなければならないのかを議論し合うことから始まると思っています。

シナジーはリアルなコミュニケーションから

角田

議論を深めるためには、キーになる人同士がつながることが大事だと感じています。さらに、自分の能力や知識で他の人をつなげることも大事だと思います。

小林

私も同様のことを考えています。共創、シナジーを考えたときに、現在、部署と部署をつなぐコネクションは形成されていますが、それぞれの立場を理解して動ける人がまだ不足していると感じることがあります。レゾナックは材料製造、複合化技術に加え、計算科学の技術を有しており、この三つの歯車がかみ合った際に、どんな飛躍があるのかを期待しています。

 
大和田

これまで事業化に至らなかった技術もたくさんあると思いますが、その知見の共有が進み、担当者ベースで活用されるような仕組みをつくりたいですね。

 

豆田

技術や知識の共有は、発表会などで行われますが、技術の融合までに至り、その融合が価値の創造につながれば良いと期待しています。そのためには、仕組みだけでなく、人材の交流も進めていくことが必要で、人と人の交流が技術の融合につながるのではないかと思っています。共創する相手の技術やスペックなどのデータを理解するだけではなくて、一緒になってお客さまが本当に困っていること、見えていないけれど重要な課題を理解しようとすること、それが大事だと思っています。
 

福島

そのためにも人が実際に集まって、そこに呼吸するかのように情報が集まるリアルなコミュニケーションは大切ですね。接点が増えるとどんな化学反応が起こるのか、ますます楽しみですね。

感情移入が深める共創

小林

私は、「Dhemica(デミカル)」という、若手社員が自発的に立ち上げた社内サークルに発足時から参加しています。その中で新しい製品テーマの種を考え、調査するチームに所属し、約3年間活動を継続しています。今のレゾナックには、このような活動を推奨する環境があります。共創、シナジー、イノベーションのきっかけになるという意味でも、新生レゾナックの象徴的な動きではないかと感じています。

豆田

私は、2022年から新たに始動した仕組みである「REBLUC(Resonac Blue Creators、レブルック  )」に参加しています。REBLUCは、「このように社会を変えたい」「世界にこんな貢献をしたい」という従業員一人一人の情熱や目的意識が重なり合い、共鳴を生み出すためスタートしたパーパスドリブン思考のコミュニティです。例えば、自分が設定した課題を解きたい、新規事業を興すために仲間づくりをしたい、と思っても、これまでの会社の仕組みでは、どうしたらいいかわかりませんでした。REBLUCはそれを、もっと軽く、おおらかに、みんなで考え始められる、良い仕組みだと感じています。

 
角田

新規事業を興しやすい文化を作ることは、社内外の両方にメリットがあると思います。新規事業の成功が意味するのは、先行者になることがモチベーションとなることだと思っています。先行者としての地位を築くことで、優秀な人材がレゾナックに集まり、そこでイノベーションや、さらに新しい事業展開が可能になりますよね。

 
豆田

先行者になることがモチベーションに与える影響の大きさは、私も同感です。ナンバーワンというブランドで得られるものは大きいと思うので、そこをどれだけ確立するのかを、難しくも挑戦したいと思っています。

 
福島

企業のエンジニアにとって、自分の生み出したものが社会に価値を提供し、市場やお客さまから認められることは代え難い喜びでもありますよね。自分で生んだものがどういう価値に結び付くのかを常に意識してもらいたいと思っています。

 
大和田

そうですね。市場に近いのはお客さまですが、お客さまを介して市場を見るだけではなく、私たちが直接市場を見る必要があると意識しています。

 
角田

計算情報科学研究センターの直接の顧客は、社内各部門の実験担当者です。その先のお客さまと接する機会が少ないことを課題視しており、機会を増やすように心掛けています。実際の製品やお客さまに触れると、この計算がどう役立つのか感情移入しやすくなるので、共創によるイノベーションが生まれやすいのではないでしょうか。

 
福島

研究においても、開発においても、対象に感情移入することは大事ですね。

世界で戦うレゾナックのエンジニアへ

福島

皆さんが、研究、開発、製造、営業など、どういったキャリアを重ねていくのか、成長の過程が大事です。研究職としてスペシャリストになるのか、いくつかの立場を経験してゼネラリストになるのかなど、そういった葛藤もキャリアデザインを描く中で楽しんでほしい。会社はそうしたキャリアのチョイスができる人材育成の制度設計を行っているところです。

 

豆田

私は入社して10年が経ちました。これからエンジニアとしてキャリアを積んだ方が良いのか、それとも別の部署も経験をした方が良いのか考えています。化学の力で社会を変えるために、皆が思ったことを思ったように進められて、個の力を存分に発揮できるという環境になれば素晴らしいと、率直に思います。

 

福島

そういった環境づくりも必要ですね。研究開発の中で、戦略的に思考できる人材も育成していきたいと思っています。新しい材料開発をしたいと考えたときに、投資、人員、スケジュールなどのロードマップを描ける人材です。

 

大和田

今の仕事に取り組むようになってから、以前よりも、市場を見たり、将来の変化点を探るようになり、そこに難しさとおもしろさを感じているところです。自分が何を一番重視したいのかを踏まえて、次のステップを考えられたらと思っています。

 

小林

私は、自分に向いていることと、やりたいこととにギャップを感じるときがありますが、見るべき先のゴールを意識するようにしています。自分のキャリアは、会社からの辞令を待つのではなく自分で掴みたいと、改めて意を強くしました。

 

角田

入社4年目になり、はじめて後輩の直接指導者となりました。指導対象者を育てると同時に、チームのメンバーから刺激を受け、経験を増やすことで、5年後、10年後に自分自身とメンバー両方の幅が広がっているようになりたいと思っています。

 

豆田

お客さまの描いているパーパス・実現したい社会を理解して、社会に貢献できる人材になりたいですね。市場をリサーチして、社会につなげるためのアイデアを持ってきてくれる営業や事業部とエンジニアがつながることは重要です。会社全体として、研究開発から製品までをどうしていくべきかの仕組み作りを考えたいと思っています。

福島

世の中が求めている物は何か、に対して理解力のある人間、それをキャッチアップする仕組みを作れる人間が、エンジニアを引っ張っていく時代に入ったと思います。私は、皆さんには、過渡期である今を楽しみ、失敗を恐れないで挑戦できる環境を用意していきたい。キャリアのオーナーシップは皆さんにあるのです。技術がどんどん発展していく中で、レゾナックのエンジニアは互いに強固につながり、会社という枠にとらわれずオープンに、そしてあくまで世界を舞台に戦う。皆さんにはその準備があると強く感じました。

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