レゾナックナウ

全国でも例がない「企業が支える水利システム」は、長野・大町でなぜ80年以上も地域に根づいたのか

2023年06月29日

Omachi

企業は地域とともに生きています。
レゾナックは、単に製品をつくるだけではなく、
地域に役立つことにも汗をかいています。
半世紀以上も続く「地域と共創する現場」の話を聞きました。

1994年の大惨事、大きな被害を回避した大町

「雨が恋しい――」

1994年、日本は異常渇水に見舞われました。

「1日に約2cm、琵琶湖の水位が低下」
「使い捨ての食器が売れる」
「井戸を復活、トイレを仮設」

連日、テレビや新聞で水不足問題が報じられました。当時、全国で1500万人を越える人が渇水の影響を受けたと言われています。特に、被害の大きかった地域では、1日のうち、水道水が16時間使えなくなるなどの給水制限が設けられました。生活苦だけでなく、畜産牛・鶏の熱死や、農作物の枯死、工場の生産ラインが止まるなど、産業にも多大な被害があったのも事実です。

「過去最大」とまで言われた大渇水ですが、被害を最小限にとどめた場所があります。 レゾナック・グラファイト・ジャパンの大町事業所がある長野県大町市と、その近辺の地区です。

レゾナック・グラファイト・ジャパンの武居将弘・製造・工務部電気課電気チーム主任は話します。

「当社も参画して地域と一体となって運用している水利システム(以下、水利システム)により、大町地区の渇水被害は最小限にとどめられたと聞いています」

常盤発電所

常盤発電所の上空から撮影

全国的にもめずらしい水利システム

水利システム開発は1937年にスタートし、1954年に完成しました。旧昭和電工(当時、昭和アルミニウム工業所)の創業者である森矗昶が、大町の地に水力発電所を建設したことがはじまりです。広津発電所、常盤発電所、導水路の建設から始まり、その後長野県の高瀬川上流地域総合開発に基づき青木発電所を建設、現在も3つの発電所と導水路からなる水利システムが機能しています。

この水利システムは、大町地区の貴重な水資源を最大限有効活用しています。水の用途は「発電用水」「農業用水」「生活用水」です。レゾナック・グラファイト・ジャパンはこの水で発電し、地域では農業用水などに活用しています。

導水路は、青木発電所の取水口である鹿島槍ヶ岳の小冷沢から広津発電所までつながっており、全長は約36kmで高低差はおよそ700mあります。

水利システムの全容

水利システムの全容

導水路の途中には22か所の分水口があり、そこで農業用水や生活用水が分水されます。たくさんの分水口があることで、農業用水が確保しにくい地域にも、安定して水を送ることができます。また、700mの高低差を利用して、効率的に水力発電を行っています。

雨が多い季節は、放流量を調整することで洪水などの被害を防ぎます。反対に、雨量が少ないときは、発電用水の取水を減らし、農業用水を優先的に確保することになっています。実際に、1994年の大渇水の際には、水力発電所の発電量を減らし、農業用水・生活用水の確保に努めました。現在も、大町地区の農業用水の約6~8割を、この水利システムで賄っています。

導水路や取水はレゾナック・グラファイト・ジャパン、農業用水の分水は大町市土地改良区が管理しています。大町事業所に「ヒヤリ」とした空気が流れるのが、台風や豪雨など自然災害のリスクが高まったときです。

レゾナック・グラファイト・ジャパンの吉原和希・製造・工務部電気課電気チームリーダーはこう話します。

「基本的には、水門や取水量の調整など事前の対応で自然災害に備えますが、時には土砂や流木が取水口に詰まってしまうことがあります。万が一に備えて、総勢10人のスタッフが24時間365日見守っています」

天候の影響を最小限にとどめるためにも、これらの管理は欠かせません。それぞれの水門の開閉や取水量の調整は、大出水路センターで行われています。

レゾナック・グラファイト・ジャパンの皆さん

レゾナック・グラファイト・ジャパンの皆さん
左から、木原弘幸さん、武居将弘さん、吉原和希さん

農地を潤す水利システム!

大町市の河川は雨が降っても水がすぐ地下に浸透してしまうので、農業用水の確保には苦労していたと伝えられています。また、北アルプスの雪解け水が流れる河川の水温は冷たく、これも作物の成長に悪影響を及ぼしていました。

水利システムは、これらの問題を改善することを目的の1つとして導入されました。

木原弘幸・製造・工務部電気課長は話します。

「水利システムは誕生から80年以上経ったいまでも、地域と一体となって運用されています。この先も、ずっと続けていくつもりです」

鹿島槍ヶ岳から始まる導水路は、途中、長野県内でもっとも深い青木湖につながります。

「山から取水した水が、青木湖であたためられることによって、水温は7〜8度ほど上昇します。この青木湖の表面水を取水しています。」(武居さん)

あたためられた水を農業用水として利用した結果、大町地区の米の収穫量が増えたと聞いています。

100年先の未来を見据えて

レゾナック・グラファイト・ジャパンは、この水利システムをこの先も守っていきたいと考えています。

大町事業所では毎年、地域の子どもたちの社会科見学を受け入れています。
また、2025年からスタート予定の、大町市のSDGs学習プログラム「大町『水の学校』SDGs探究学習旅行」にも参加しています(教育・団体向け旅行)。

ご興味を持たれた方は、ぜひレゾナック・グラファイト・ジャパンのホームページもご覧ください。

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