パワー半導体の温度上昇対策に。高い熱伝導率を有する接合ペースト

対象業種自動車メーカー/半導体メーカー

用途想定車載用パワー半導体

熱の発生源となる半導体チップ直下に実装されるダイボンディング材には、熱界面材料(TIM:Thermal Interface Material)やヒートシンク等の放熱新規ウィンドウで開く部材へより早く熱を逃がし、半導体チップの性能を確保することが求められます。

半導体チップのダイボンディング用途で広く使用されている高鉛はんだでは、熱伝導率が30 W/(m・K)のため、熱伝導量が充分ではなくその代替材として、熱伝導率が高い焼結銀ペーストが登場。しかし、焼結銀ペーストはダイボンディング加工時の圧力が高く、加工時に半導体チップが欠ける懸念があるなどの課題があります。当社は、熱伝導率180 W/(m・K)で高鉛はんだよりも高く、無加圧もしくは低い熱圧着圧力でのダイボンディングが可能な「焼結銅接合ペースト」を開発しました。

課題解決

高い熱伝導率(180 W/m・K)で、高鉛はんだの課題を解決

従来、高鉛はんだは、はんだの中では高い接続信頼性を示すことから、パワー半導体新規ウィンドウで開くに広く使用されていますが、熱伝導率が他の構成部材より低く、放熱時のボトルネックとなることが課題となっています。当社の焼結銅接合ペーストは、熱伝導率180 W/(m・K)を有し、一般的な高鉛はんだの熱伝導率30 W/(m・K)に対し十分な高熱伝導率を有するため、パワー半導体の温度上昇対策に最適なダイボンディング材料です。

各サンプル内部の断面温度分布図

(a) 焼結銅接合ペーストを用いたサンプル

チップから基板に熱が拡散され、チップの温度が低く保たれる。

 

(b) 高鉛はんだを用いたサンプル

熱を逃がすことができず、チップの温度が上がる。

 

(材料物性以外の設定事項)
電力、環境温度:各サンプルの測定値、空気特性:常圧30 ℃の空気(各物理量は一定値)、密度:1.161 kg/m3、熱伝導率:2.610 × 10-2 W/(m・K)、分子粘性係数:1.840 × 10-5 N・s/m2、熱膨張率:3.333 × 10-3 K-1、伝導・輻射・自然対流による伝熱、浮力、乱流を考慮

動作温度が175 ℃でも高い接続信頼性を維持

高鉛はんだによるダイボンディングでは、部材間の熱膨張差から発生する応力で、ダイボンディング層が疲労破壊を起こし、半導体チップの接続が確保できなくなる課題がありました。当社の「焼結銅接合ペースト」なら、パワーサイクル(Tj,max = 175 ℃)試験では、高鉛はんだや焼結銀よりも高いサイクル数を確保し、耐久性がよく半導体チップの接続信頼性を維持することができます。

パワーサイクル試験 ワイブル分析結果(Tj,max = 175 ℃)

 

 

  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

特長

高い熱伝導(180 W/(m・K))

高鉛はんだの熱伝導率30 W/(m・K)よりも、5倍以上高い熱伝導率180 W/(m・K)を有するため、パワー半導体内でも一番熱負荷が高い半導体チップのダイボンド材として最適です。

加圧・無加圧の2つの接合タイプ

当社の「焼結銅接合ペースト」は、熱圧着圧力が0 (ガス雰囲気:水素)の<無加圧接合タイプ>と、熱圧着圧力が2 MPa以下で接合可能な<加圧接合タイプ>の2種をラインアップしています。同じく熱伝導率が高いダイボンディング材である、焼結銀ペーストの熱圧着圧力20 MPaと比較し、10分の1の圧力で接合が可能なため、半導体チップ実装時の歩留まり向上への寄与が見込めます。

  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

更新日:2023年5月25日 

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