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対象業種xEVのTier1(インバータメーカー)、Tier2(パワーモジュールメーカー)
用途想定xEVのインバータ用冷却器
電気自動車(EV)にはモーター・インバータ・バッテリといった発熱源があり、これらの部品が高温で劣化・故障・熱暴走しないように、放熱・冷却する必要があります。また放熱に合わせて発生した熱を効率よく集めて有効活用する熱マネジメントや、車載部品の軽量化による省エネは、EVの航続距離(電費)だけでなくサスティナビリティの観点からも着目されています。
EVの発熱源のうちインバータは、その構成部品であるパワー半導体が局所的に発熱するため、特に効率のいい放熱が求められています。
そのためインバータの冷却は水冷であり、その循環冷却系のパイプやラジエーターは軽量化のためにAl製である一方、インバータ自体の放熱には熱抵抗の低いCuヒートシンクを用いた冷却器が用いられてきました。しかしCuヒートシンクには、Cuがイオン化して冷却水中に溶け出してパイプやラジエーターのAlを腐食させないようにめっきを施す必要がありました。
当社は冷却水に触れるフィン部がラジエーターを腐食させる恐れのないめっきレスのAl製でありながら、ベース面にAl/Cu複合材を用いた熱抵抗の低いヒートシンクを提案します。このAl/Cu複合材ヒートシンクは、当社のAl加工技術を駆使したフィンや焼結銅ペーストと組み合わせることによって、Cuヒートシンクを用いた冷却器とほぼ同等の熱抵抗を提供します。

無電解Ni-Pめっきを施した従来のインバータ用Cuヒートシンク
上記のヒートシンクのサイズは200mm×130mm。
このような小型のヒートシンクでは鍛造で作製したピンフィンが使用可能。
インバータの冷却器に使われている従来のCuヒートシンクは、冷却水へのCuイオン溶出防止のためにめっき処理が施されています。しかし放熱フィンなどが複雑な形状をしているため、めっき厚さが不均一になる可能性があり、万一Cuイオンが溶出すると冷却水が循環するラジエーターなど他のAl部材を腐食させる恐れがありました。
また、これまでパワー半導体とヒートシンクを、絶縁板を挟んで熱的・物理的に接続するのに使われてきた高鉛はんだは、熱伝導率が30W/(m・K)と不十分であるとの課題もありました。
当社開発のAl/Cu複合材ヒートシンクは、Al/Cu複合材ベースと狭ピッチAlフィンの組み合わせにより、Al単体ヒートシンクに比較して約10%熱抵抗を下げることができます。勿論冷却水に触れる部分はAl製なのでめっきが不要であり、ラジエーター腐食の心配はありません。フィン間隔を狭めればさらに熱抵抗を下げることもできます。
またパワー半導体とヒートシンク間の絶縁板がDCB(Direct Copper Bonding:Si3N4の絶縁セラミックスの両面にCuを接合した熱伝導性の電気絶縁基板)の場合、上記Al/Cu複合材ベースとの接着に従来の高鉛はんだの代わりに当社開発の焼結銅ペースト(熱伝導率180W/(m・K))を使うことによって、熱抵抗をさらに10%程度下げることができます。これら当社技術・当社材料の組合せにより、Cuヒートシンクを用いた冷却器とほぼ同等の熱抵抗が得られるようになりました。

Al/Cu複合材ヒートシンク
上記のヒートシンクのサイズは300mm×150mm。
このような大型ヒートシンクの場合、ピンフィンでは圧損が大きく
冷却水が流れないが、押出フィンを使えば圧損を低減できる。
下のグラフはシミュレーションにより求めたヒートシンクの熱抵抗の値です。ベンチマークであるCuヒートシンクに対して、同じ形状で材質を全てAl製にすると熱抵抗は約30%増加します。しかしベース面にAl/Cu複合材を用いると、熱抵抗をオールAlに比較して約10%下げることができます。さらにフィンを狭ピッチ化することでさらに約10%熱抵抗を下げることができます。
また従来のCuヒートシンクに対して当社Al/Cu複合材ヒートシンクは重量を約50%軽量化することができます。
ヒートシンクの熱抵抗の比較

ヒートシンクの重量の比較

下の表も同様にシミュレーションによる熱抵抗の値です。前述のAl/Cu複合材ヒートシンクの採用に加えて、パワー半導体とDCBの間のはんだや、DCBとヒートシンクの間のはんだを、当社開発品である焼結銅ペーストに置き換えることによって、Cuヒートシンクを用いた冷却器とほぼ同等の熱抵抗を達成することが期待できます。詳細は技術資料をご参照ください。

当社開発の焼結銅ペーストについては、下記の記事をご参照ください。
当社は押出・鍛造・プレスといったAlの加工技術に加えて、真空ろう付け・レーザー溶接といった接合技術も有しており、お客様のご希望の設計や仕様に合った冷却器を提供することができます。
さらに当社は、先にご説明したような熱マネジメントに関するシミュレーション技術と評価技術を有しているため、お客様のご希望の設計や仕様に合わせるにあたり、やり直しや手戻りの少ない開発プロセスを提供いたします。
公開日:2023年11月22日
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