道路の景観舗装の作業性を向上!環境に配慮した水系バインダー

歩道や自転車道を車道から区分するカラー舗装や、太陽光の反射を防止する遮熱鋪装など、景観舗装を施した道路をよく見かけるようになりました。舗装作業には交通規制が必要なことから施工時間には制限があり、また昨今では環境に対する配慮も求められています。
従来、景観舗装にはMMA(メタクリル酸メチル)を溶媒とした塗料が使われてきました。しかしMMA系塗料には有機溶媒臭があること、2液系なので作業中に混合の手間が増えること、さらに複数回の塗工が必要なことといった課題がありました。
当社は、塗料を1液化できる水系バインダー「ポリゾール」<FP-3000A>を提案します。「ポリゾール」<FP-3000A>をバインダーとする水系塗料には殆ど臭気がなく、また1液系でかつ1回塗工で舗装できるので、作業の手間を省きます。環境に配慮した水系の塗料です。

景観舗装の例(カラー舗装、遮熱舗装)

カラー舗装

カラー舗装

カラー舗装

カラー舗装

遮熱舗装

遮熱舗装

景観舗装の作業性を向上!
ポリエステルの硬度とアクリルの耐久性を兼ね備えた、環境に配慮した水系バインダー

従来の景観舗装用MMA系塗料は、MMAモノマー溶媒に色素を混合した主剤と硬化剤の2液を、現場で混合し攪拌して塗工します。塗工時~塗工後にMMAモノマーが重合し、乾燥後はバインダーとして機能します。しかしMMAモノマーには有機溶剤臭があるので、作業時の臭いが周辺に漂う影響等が懸念されていました。また引火点が10℃であることから、消防法上の危険物としての取り扱いが必要でした。さらに2液系なので混合・攪拌の手間に加えて、約60分というポットライフの制限がありました。
また景観塗装には滑り防止と硬さを出す目的で珪砂を使用するのが一般的です。しかしMMAモノマー溶媒の主剤に珪砂を混ぜると、粘度が低く混和安定性が悪くて珪砂が徐々に沈降するので、主剤に珪砂を配合することはできませんでした。従ってMMA系塗料の1層目を塗った上に珪砂を振りかけ、2層目でサンドする塗り方が必要でした。またMMAが硬化過程で収縮しアスファルトから剥がれやすい部分が発生するため、最初のプライマー塗工も必須でした。そのため塗工は、プライマー(必須)→1層目(2液)→珪砂→2層目(2液)といった複数回の塗工が必要でした。
当社の「ポリゾール」<FP-3000A>はポリエステルとアクリル樹脂の水系ハイブリッドエマルジョンであり、ポリエステルの耐摩耗性とアクリルの耐候性、耐水性を兼ね備えたコアシェル構造をとっています。この「ポリゾール」<FP-3000A>に珪砂と色素を混ぜると、1液のみで水系の舗装用塗料となり、塗工して乾燥すれば「ポリゾール」<FP-3000A>がバインダーとして機能します。「ポリゾール」<FP-3000A>は珪砂の混和安定性がよいため、塗料に珪砂を配合することが可能です。「ポリゾール」<FP-3000A>はポリエステルが界面活性剤の役割も果たしているため、珪砂の分散性、安定性がいいと考えられています。
当社品は残存モノマーが0.1%以下と少なく、水溶媒なので臭気が殆どありません。引火点は100℃以上であり消防法上の危険物としての取扱は不要です。また1液系なので混合の手間がかかりません。塗工は基本的には1回塗りで対応可能です。さらに環境に好適な水系塗料でありながら、乾燥時間はMMA系塗料と同等です。

景観舗装用水系バインダー「ポリゾール」<FP-3000A>の特長

低臭気で珪砂の混和安定性のいい水系エマルジョン

景観塗装用塗料として珪砂と色素を混合する前の「ポリゾール(水系エマルジョン)」<FP-3000A>とMMAモノマー溶媒を下記の表で比較しました。

ポリゾール<FP-3000A>とMMAの比較

  ポリゾール(水系エマルジョン)<FP-3000A> MMAモノマー(溶媒)
臭気 殆どなし 有機溶媒臭
モノマー(残存モノマー) 0.1%以下 ほぼ100%
消防法上の危険物区分 非該当 第四類(可燃性液体)
珪砂の混和安定性 良い;配合可能 悪い;沈降する

1液系でかつ1回塗工で舗装可能な水系塗料

景観塗装用塗料として珪砂と色素を混合した後のポリゾール系塗料とMMA系塗料を下記の表で比較しました。

ポリゾール系塗料とMMA系塗料の比較

  ポリゾール系塗料(水系1液塗料) MMA系塗料(有機系2液塗料)
景観舗装用塗料の作製法 「ポリゾール」<FP-3000A>・エマルジョンに珪砂と色素を事前に混合する1液で塗料となる MMA溶媒に色素を混合した主剤と、重合触媒からなる硬化剤の2液を、現場で混合・攪拌する
塗料の形態 1液、珪砂配合済 2液、珪砂を含まない
プライマー塗工の必要性 不要 乾燥過程で収縮しアスファルトから剥がれやすい部分が発生するため、プライマー塗工が必須
塗工回数 基本的に1回 プライマー塗工→MMA塗工→珪砂をふりかける→MMA塗工の4回塗工が必要
塗料の乾燥/硬化時間 一般的な水系塗料より短い、MMA系塗料と同程度 一般的な水系塗料より短い

ポリエステルの耐摩耗性とアクリルの耐久性を兼ね備えたバインダー

ポリエステルとアクリル樹脂のコアシェル構造をとる「ポリゾール」<FP-3000A>の模式図は、下記をご参照ください。塗工後のバインダーとしての接着強度や耐摩耗性など具体的な特性については技術資料をご参照ください。

ポリゾール®のコアシェル構造の模式図

 

  • 「ポリゾール」 は 、日本における、株式 会社レゾナックの登録商標です。

技術資料ダウンロード

資料では、乾燥初期及び養生後の耐摩耗性、耐薬品性などの詳細データがご覧になれます。

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