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対象業種産業機械メーカー、ロボットメーカー、家電メーカー、xEVのTier1
用途想定産業機械・ロボット・家電・xEVのモータの高放熱封止材
ファクトリーオートメーションの主役である産業用ロボット。活躍の場が広がるとともに、ロボットのモータには、省スペースのための小型化、高トルク・高出力を得るための大電力の投入と、その一方で省エネと高出力確保のための高効率化が求められています。
モータに大電力が投入されるほど発生する熱量が大きくなり、小型化するほど放熱が難しくなります。放熱性が不十分な場合には、モータの温度が上昇して使用限度を超えると、モータの効率が低下するとともに断線による故障や短絡の原因となります。そのため従来の冷却システムに加えて、モータの封止材にも高い放熱性が求められるようになってきました。
従来、モータの封止材として不飽和ポリエステルをベースとした材料が使われてきましたが、放熱性は不十分でした。一方、高放熱な封止材として放熱性を向上した高放熱エポキシ材料が知られていますが、不飽和ポリエステルと違ってアフターキュアが必要なことや射出成形ができないといった生産性が課題となっていました。
当社は放熱性と生産性を両立したモータ用封止材:高放熱「リゴラック」BMC(Bulk Mold Compound:以下BMCと称す)(開発品)を紹介します。当社開発品は、放熱性は高放熱エポキシ材料と同等であり、かつ不飽和ポリエステルをベースとしているため、アフターキュア不要で射出成形可能であり生産性も良好です。
産業用モータとその封止材
封止材の放熱性を上げるには、熱伝達のための接着性と封止材自体の高い熱伝導率が必要です。従来の不飽和ポリエステル材料は、モータ構成部品との接着力が弱く、また熱伝導率が0.8~1.2W/(m・K)であり、放熱性が不十分でした。
一方、高放熱エポキシ材料は、金属との接着性があり熱伝導率は2W/(m・K)なので放熱性こそありますが、エポキシの熱硬化反応は一般的な化学重合であるためアフターキュアが必要であり、また流動性が低いため射出成形ができませんでした。
当社の高放熱BMC(開発品)は、不飽和ポリエステルをベースとした材料でありながら、汎用フィラーの最適充填によって熱伝導率2.2W/(m・K)を達成し、また接着付与材による接着性確保によって、高放熱エポキシ材料と同等の放熱性を実現しました。
さらに当社開発品は、不飽和ポリエステルがベースなので、硬化反応はラジカル重合であるためアフターキュアが不要で、流動性も高く射出成型が可能です。
封止材毎の放熱性や生産性の比較については、下の比較表をご参照ください。当社高放熱BMC(開発品)は、放熱性と生産性を両立していることがご確認いただけるかと思います。
※ 薄ピンクセルは、課題とされている項目
封止材の熱伝導率を上げるには、フィラーの形状やフィラーの粒径分布を最適化して、高密度に充填する必要があります。当社はAI解析を用いて汎用フィラーを最適充填することにより、熱伝導率2.2W/(m・K)を達成しました。フィラー充填のイメージについては下図をご参照ください。
またこのフィラーによって当社開発品の難燃性はV-0級です。
従来の不飽和ポリエステルベースの材料には、モータ構成部品への接着力がありませんでした。
当社は好適な接着付与剤の導入することにより接着力を発現した封止材を開発しました。この接着付与材は、接着効果を有する官能基と硬化時にポリマー骨格に組み込まれる官能基を有しています。
当社開発品のモータ構成部品への接着力については下のグラフをご参照ください。
当社開発品は、ラジカル重合により3~5分程度の硬化時間のみで硬化が完了するため、アフターキュアが不要です。また硬化温度もエポキシ材料よりも低い温度での硬化が可能です。モータ封止をする際の省エネとコストダウンに貢献します。
また当社開発品は流動性が高いため、圧縮成形、トランスファー成形に加えて、高い生産性を有する射出成形も生産設備として選択可能です。
更新日:2024年3月22日
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