300℃の加熱融着で信頼性ある接合が可能、封着用低融点ガラス「Vaneetect」

対象業種ガラスメーカー、ガラスサッシメーカー

用途想定真空断熱ガラスの封着材

建築分野では、建物の省エネ化に向けて、建物が外部と接する開口部である窓の断熱性能を高める取り組みが進んでいます。既に複層ガラスが普及していますが、更なる断熱性能の向上のため、層間を真空化した真空断熱ガラス(Vacuum Insulated Glass;以下ではVIGと称す)の普及が見込まれています。

VIGでは高い気密性を担保する封着材が不可欠であり、従来のゴムや樹脂系に替わり、ガラス系封着材が用いられます。しかしガラス系封着材では、接合形成に高温での加熱工程が必要で、VIG製造時における消費エネルギーの削減に課題があります。そこで当社は、封着用低誘電ガラス「Vaneetect<VS-1305B>」を提案します。本製品は、主成分のバナジウムに銀やテルルを配合しており、低温での加熱工程で封着が可能ながら、高い気密性を必要とする用途の接合に適用できます。

Vaneetect VSシリーズの外観

Vaneetect VS-1305B

Vaneetect VS-1305B

真空断熱ガラス(VIG:vacuum insulated glass )

真空断熱ガラス

課題解決

低温での封着でも、信頼性の高い接合強度を実現

VIGは、封着材を配したガラスにもう一枚ガラスを貼り合わせ、脱気しながら加熱して封着材を融着接合させて、ガラス間に真空層を形成することで製造されます。加熱工程は、製造において最もエネルギーを消費する工程です。従来のVIG製造は400℃以上での加熱工程を含んでおり、省エネルギー化が課題となっていました。

当社の封着用低誘電ガラスは、300℃での加熱で融着し、気密性を保った接合を形成するので、VIGを従来よりも省エネルギーで製造することを可能にします。

また、当社の封着用低誘電ガラスは、強化ガラスを用いたVIGを可能にします。強化ガラスは、表面及び内部に応力を蓄えて強度を発現しますが、300℃以上で加熱すると、応力が解放されて強度が低下します。当社の封着用低誘電ガラスは300℃で信頼性ある接合を形成できるので、強化ガラスでのVIGの実現に貢献します。

VIGの製造工程

VIGの製造工程
 

特長

真空断熱ガラス製造の加熱工程の低温化と工程時間を短縮し、エネルギー消費量を低減します

従来の封着材で信頼性ある接合を得るには、400℃以上での加熱が必要でした。一方で、当社材では300℃の加熱で、かつ工程時間を短縮しながら、気密性を保った接合を得ることができます。

封着温度が300℃と470℃の場合で、縦軸を温度、横軸を工程時間とした温度変化図を示します。封着温度の低温化により、加熱にかかる工程時間が短縮できることが分かります。削減できるエネルギー消費量は、封着温度や工程時間の条件により変わります。

パネル封着時のヒートパターン

パネル封着時のヒートパターン
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

PbをはじめとするRoHS指令の規制物質を含まない

当社材は、バナジウムを主成分として、銀やテルルを配合した構成となっており、RoHS指令の規制物質を含みません。Pbを含まないため、使用後のVIGはガラスリサイクルに回すことができます。

RoHS指令の規制物質を含まない

公開日:2024年1月5日

技術資料ダウンロード

Download doc"Vaneetect"
資料では、本開発品のラインナップや信頼性等の詳細データがご覧いただけます。

お問い合わせ

製品・技術に関するご質問やサンプルのご希望など、お気軽にお問い合わせ下さい。