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対象業種車載電子部品メーカー、半導体パッケージングメーカー
用途想定車載ADASやスマホの電子デバイスのFOWLP再配線層
スマホのプロセッサーから車載向けの電子部品にいたるまで、あらゆる半導体デバイスや電子機器において、高機能化、小型化の進展と省コストへの要求は止まることがありません。その中でもFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)が注目を集めています。超微細なICの端⼦間隔をプリント基板サイズまで広げるために、半導体前⼯程の技術を使って再配線層を形成するというFOWLPは、パッケージ基板が不要で薄型化かつ配線長を短くしやすいことから高周波数化にも適しています。
再配線層に用いられる絶縁材料は低反り、高信頼性、再配線との適合性に加えて再配線の微細化に対応する高解像度などさまざまな特性が求められています。従来、FOWLPの再配線層用絶縁材料としてポリイミドが使われてきました。しかし更なる微細化が進む場合、解像度が課題になると考えられます。また昨今の環境意識の高まりとともに、ポリイミドは溶剤としてNMPを用いていることや、現像液が有機溶剤系であることも課題視されつつあります。
当社は高解像性でNMPフリーのFOWLP再配線層用ポジ型感光性絶縁樹脂<AR-5100>を提案します。当社品は、ポジ型感光材料なので解像度が高く、かつNMPフリーでアルカリ系の現像液を使えます。
ポリイミドの解像性が課題視されている原因として、ネガ型の感光材料であることと膜減りが大きいことの2点が指摘されています。ネガ型感光材料では、露光により発生するラジカルを使った架橋反応により有機溶剤系の現像液に対して露光部が不溶化することによってパターニングしていますが、そのラジカルが露光個所以外にも広がる懸念があります。またネガ型感光材料は、現像時に溶剤が不溶化部を膨潤させることからも微細配線への対応が厳しいとされています。さらにポリイミドは現像後の膜減りが大きく塗布膜厚を厚くする必要があり、その分アスペクト比が厳しくなり、一層解像性に不安があると言われています。
当社の<AR-5100>はポジ型感光材です。ポジ型感光材料は、露光による光化学反応によってアルカリ系の現像液に対して露光部が可溶となってパターニングしており、ネガ型のラジカル拡散のような懸念はなく、現像液に対する不溶部への膨潤も少ないことが知られています。また当社品は膜減りが少ない点でも有利であり、より微細なパターン形成や、露光条件のマージンが大きいと言えるので工程コストダウンにも繋がります。さらに<AR-5100>は硬化後パターンの形状をコントロールすることも可能です。
もちろん再配線層に用いられる絶縁材料には、低応力、低反り、高信頼性、再配線との適合性、低温硬化、膜の平坦性など様々な特性が要求されておりますが、当社は組成最適化によってこれらを達成しました。詳細は下記のデータや技術資料をご参照ください。さらに<AR-5100>はNMPフリーでありアルカリ系の現像液が使えることからお客様の環境への配慮にお応えします。
項目 | 単位 | <AR-5100> |
---|---|---|
硬化温度 | deg.C | 230 |
破断強度 | MPa | 160 |
伸び | % | 60 |
弾性率 | GPa | 2.4 |
ガラス転移点 | deg.C | 253 |
線膨張係数 | ppm/deg.C | 49 |
残留応力 | MPa | 18 |
Dk/Df(10GHz) | ― | 3.3/0.03 |
ポリイミドは現像後の膜減りが大きく、膜厚が6割程度に減少することが知られています。例えば下図のように、10μmの開口部を形成するためには17μmの塗膜が必要となるため、その分アスペクト比が厳しく、解像性に不安があります。一方当社品は膜減りが少なく、例えば10μmの開口部を形成するには12μmの塗膜で達成可能です。同じアスペクト比であればより微細なパターン形成が可能です。露光条件のマージンが大きいと言えるので工程コストダウンにも繋がります。
下図のように、<AR-5100>は硬化工程の調整によって、硬化後のパターン形状のコントロールが可能です。このため、貫通電極、バンプなどのさまざまな構造に対応することができます。
再配線層に用いられる絶縁材料には、低応力、低反り、高信頼性、再配線との適合性、低温硬化、膜の平坦性など様々な特性が要求されています。特に熱サイクル試験では再配線層にクラックを発⽣させる恐れがあるため、耐クラック性が求められています。当社は樹脂の組成最適化によってこれらの特性を改良した結果、下図のように高い信頼性が得られました。熱サイクル試験後もクラックは観測されませんでした。
テスト基板
その他の詳細なデータについては技術資料をご参照ください。
またWLCSPに対する適合性についてもお気軽にお問合せください。
公開日:2023年5月10日
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