化学品管理の取り組み

統合化学物質管理システムの活用

当社は、化学品管理の基本インフラとして「統合化学物質管理システム」を整備し、原材料や自社製品情報を管理しています。
本システムは、主に化学品管理に関連する化学物質の情報と各国の化学物質法規制情報のデータベース(DB)で構成され、それらの情報・データを活用し、実務を遂行するための機能を搭載しています。

各国法で要求される製造/輸入数量管理などについては、本システム内の集計機能と基幹システムを連携させることで、信頼性、透明性の高い集計を行い、国内外の行政機関への報告に活用しています。
個々の化学物質に対して、本社の化学品管理統括部が有害性情報および法規制情報を広範に調査し、専門的に評価することにより、高い質を確保しています。また、各国の化学物質法規制DBをタイムリーに更新し、収載する情報を定期的に見直すことで、最新情報を維持しています。さらに、社内基幹システムやSDS(安全データシート)管理DBと管理システムとの連携や相互補完関係も整備しています。
今後、さらなる業務の効率化・標準化を同時に進めるため、新しいシステム「レゾナック統合化学品管理システム(RICMS)」への切り替えを計画しています。RICMSにより、製造/輸入数量集計やSDS・組成情報管理など従来システムの機能を統合し、基幹システムとの自動データ連携を通じて効率的で最適な化学品管理を実現する予定です。
世界各国で化学物質に係る法規制の制定や改定の動きが加速している中、自社のコンプライアンスを遵守するだけでなく、お客さまのビジネスのサプライチェーンを構成する一員としての責任をしっかりと果たすため、今後も本システムの強化や拡充を積極的に進めていきます。

製品の安全性評価

当社では、社会的に有用かつ安全で健康と環境に配慮した製品を提供するため、全製品を対象に「有害性情報取得細則」に基づく評価を実施しています。具体的には、まずSDSなどから情報を収集し、不十分な場合にはウェブサイトや文献調査を行い、有害性情報を補完します。そのうえで必要に応じて、安全性試験の実施を検討します。試験を行う際は、社内ルールに基づき化学品管理統括部と協議のうえで試験項目を決定し、社内での試験実施または外部試験機関への委託により試験を実施します。
さらに、化審法に基づき、報告対象となる試験結果が得られた場合には速やかに報告を行うなど、法令を遵守しつつ、製品の安全性確保と社会的責任の遂行に努めています。

安全性評価における動物実験に対する配慮

新たな安全性評価の手法として、当社では毒性予測評価(in silico)や、培養細胞や試薬を利用した試験(in vitro・in chemico)を積極的に活用しています。こうした動物実験によらない段階的なアプローチによる製品の安全性評価を実施することで、実験動物の使用を可能な限り最小限に抑えています。
グローバルな法規制要件に適合するため、実験動物を使用した安全性評価試験を実施する際には、動物実験における3Rの原則(Replacement:代替法の活用、Reduction:使用数の削減、Refinement:苦痛の軽減)を尊重し、「動物の愛護および管理に関する法律」に基づき運営される外部機関に動物実験を委託しています。
現在、実験動物使用の必要性を協議する社内プロセスの準備を進めており、今後は法的要求が無い限り実験動物を使用しないことを原則として、動物実験の実施を厳格に管理していきます。

ナノ材料等の製品リスク管理

当社では数多くのナノ材料を取り扱っています。作業者およびお客さまの安全と健康、ならびに環境への配慮を目的として、2017年よりナノ材料の安全管理体制を構築し、原材料および製品として取り扱うすべてのナノ材料に対してリスク評価を実施しています。これらのリスク評価および安全管理は、「ナノ材料安全管理要領」に則って実施しています。ナノ材料について適切な管理がなされていることを、CMEO/CQOを議長とする「ナノ材料安全対策協議会」にて定期的に確認し、事業/開発の継続可否について経営会議に上程し、経営会議にて決定しています。
こうしたプロセスは、ナノ材料のみに留まるものではなく、有害性が現時点で十分に解明されていない原料や新たに注目されている物質(例えばPFASやマイクロプラスチック等)に対するリスク管理にも応用できるものと考えています。環境規制が急速に進展するなかで、未知の物質へのリスク管理体制を早期に整えることは業界全体にとっても重要な課題であり、当社のノウハウの活用が期待されます。

製品情報の収集とステークホルダーへの提供

当社では、化学物質総合管理システム収載の情報に基づき製品のSDSを作成しています。国内版および海外版のいずれのSDSにおいても、各国の法的要求事項の情報を収集し、各国法令に準拠したSDSを作成しており、社内の審査・決裁を経て、お客さまに提供しています。
2022年2月、5月、2023年4月、8月および9月に公布された労働安全衛生法(安衛法)の政省令改正により、ラベル・SDS対象物質の範囲が追加されるとともに、通知事項の拡充が求められることとなりました。当社では、改正の趣旨に基づき、新たな情報を可能な限り早くお客さまに伝達できるよう、SDS改訂の対応を進めるなど、情報伝達の強化を行っています。
また、プロダクトスチュワードシップ推進の一環として、2020年から当社製品の安全な使用と取り扱いに関する情報公開を強化してきました。当社において優先的に評価する化学物質(自社優先評価対象物質)を選定して順次リスク評価を行い、その結果をステークホルダーに公開する取り組みを積極的に実施しており、これまでに68の物質についてリスク評価を行い、その結果を安全性要約書として公開しています。
2024年も昨年に引き続きリスク評価に注力し、全社におけるリスク評価の向上に取り組みました。自社優先評価対象物質として、新たに10件のリスク評価を実施し、評価実施率100%を達成しました。加えて、49件の見直しを実施しました。その結果を記載した安全性要約書を作成、改訂し、(一社)日本化学工業協会(以下、日化協)が提供する化学物質リスク評価支援ポータルサイト「JCIA BIGDr(ビッグドクター)」に公開しました。
このような継続的な取り組みが評価され、当社は日化協より、その年に最も多くの安全性要約書※1を公開した企業に贈られるJIPS※2賞大賞を2021年度から4年連続で受賞しました。

これまでの積み重ねにより、当社のリスク評価活動は着実に進展を遂げ、業界内で一定の評価をいただきました。今後もこれまでの成果を基盤とし、プロダクトスチュワードシップの一層の推進を目指していきます。

  • ※1 安全性要約書: Safety Summary、自社で製造販売する化学品に関するリスク評価結果等をわかりやすい書式でまとめたもの。物質の概要や特性、用途、人や環境への影響、推奨するリスク管理措置、緊急連絡先等が記載されている。
  • ※2 日本化学工業協会により、化学品管理の自主的かつ自律的な取り組みの一環である安全性要約書の公開において顕著な活動を行った会員企業に授与される賞