レゾナックナウ

「ご安全に!」から始まる、安全文化の醸成で事故災害ゼロを目指す

2022年05月24日

才畑 明子
昭和電工 レスポンシブルケア部 環境安全室長

半導体材料から石油化学まで、多種多様な事業を展開する当社では、危険な有害物質の取扱いや大型機械、重機などを扱う作業も多く、ちょっとした不注意が大きな事故災害につながる可能性があります。従業員や協力会社の方々、そして地域の安全を守るために、今取り組んでいること、事故災害ゼロを掲げてこれから取り組んでいくことを、環境安全室長の才畑より説明します。
(2022年5月24日 当社会議室にて実施)

──現在の業務内容を教えてください

CMEO(最高製造関係業務・技術責任者)管掌下で環境安全を担当しています。
CMEOの飛戸はCQO(最高品質保証責任者)を兼任しており、飛戸の管掌は製造にかかわる7つの業務となります。環境安全、化学品管理、品質保証、購買調達、生産技術、設備技術、そしてそれらの横串を通すモノづくり。その中でも、安全はやはりプライオリティが高く、原則となる活動と認識しています。安全は労働安全、設備安全、保安防災の3つに大別されます。環境も安全も、事故や災害など人命にかかわりますので、気を引き締めて業務にあたっています。

──安全の分野で中長期に取り組んでいくことを教えてください

安全は、当社の成長と社会への貢献の両面から特定した3つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)のうちの「責任ある事業運営による信頼の醸成」に紐づく大きなテーマであり、事業活動の基盤と認識しており、労働災害や設備事故の撲滅をはかるため安全確保の仕組みづくりと安全文化の醸成が重要と考えています。昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧 日立化成)は2023年1月からレゾナックとなります。これまで両社が取り組んできたことを同じ考えのもとで再構築し、効果的な施策に落とし込む必要があります。同じ方向に進むための一つの道標として、進捗を計る指標である2025年の目標を掲げています。

サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に対する安全のKPI

重要項目 2025目標 2021実績
安全文化の醸成 事故災害ゼロに向けた安全文化の確立
(グローバル全従業員安全意識調査の実施とその改善)
埋もれたリスクの抽出と安全対策の推進
労働災害 重大労働災害発生件数ゼロ(連結) 0件(昭和電工国内グループ連結+昭和電工マテリアルズ単体)
休業災害度数率 0.1以下(連結)(500人の事業所で10年休業災害が発生しない状態) 0.13(昭和電工国内グループ連結+昭和電工マテリアルズ単体)
設備事故 重大設備事故発生件数ゼロ(連結) 0件(昭和電工国内グループ連結+昭和電工マテリアルズ単体)

──労働災害ゼロ、設備事故ゼロへの想いをお聞かせください

KPIとして重大労働災害と重大設備事故発生件数ゼロを掲げました。労働災害も設備事故も目指すのはゼロです。労働災害の発生件数というのは、統計上の数字ではありません。その数だけ誰かが痛みを感じているのです。従業員や協力会社の方々が怪我や辛い思いをすることは、あってはならないことであるため、1件、2件なら許容するとは考えません。この想いをしっかり社内に伝え、単なるスローガンではなく一つ一つの労働災害や設備事故を検証して、対応していく。事故災害ゼロは一足飛びには実現できませんが、達成不可能ではないと考えています。
最近、生産稼働が増えるに伴い、労働災害の発生も増えつつあります。似たような事故が別の場所で起きるなど、発生案件の検証とグループ各拠点への共有が不十分な例もあります。人間の意識のコントロールは難しいもので、ヒューマンエラーはなかなかなくすことが難しい部分もあります。しかし、確実な検証に基づきその場限りではない対策をとり、別の拠点へ共有していく。同じことが起こらないように、各拠点でリスク要因をつぶしていく。この繰り返しが必要です。

──安全文化の醸成についての取り組みを教えてください

当社は「ご安全に」を従業員間での挨拶としています。昭和電工、昭和電工マテリアルズ両社の社員が日々「ご安全に」を合言葉にすることで、日常的に安全に触れる機会を増やし、安全を考えてほしい。その想いを海外の従業員にも伝えるため、ある事業部では、「GO ANZEN NI!!」と挨拶しているそうです。「ご安全に」の挨拶から安全を日々の仕事に根付かせるとともに、イントラネットやグループ報などでも、安全に関するメッセージを発信し、従業員が安全について考える機会を増やしていきます。
先日、ある事業所で環境安全監査を行ってきました。非常に安全意識が高く、安全面で優れた事業所と感じました。実は、その事業所では2019年に従業員が大怪我をする労働災害が起きました。この労働災害を機にその事業所では、全ての製造工程、設備を検査し、1,850件の問題点を洗い出し、億以上の投資をかけて改善しました。各現場で洗い出した全ての問題点を、事業所長はじめ、製造部長、環境安全GL等が検討し、改善指示を出したことにより、安全への本気を従業員が感じることができたことこそが、活動が進んだ要因と考えています。対応してくれるなら声をあげようと従業員が思えたこと、これがその事業所を大きく変えたのでしょう。
トップがどれだけ本気で取り組んでいるのか、これは非常に重要です。その意味でも、我々担当者及び経営陣の責任は重いと考えています。トップの想いを伝える一つの手段として、当社では、経営陣が、各々の立場で安全についてコミットし、実践する「私の安全宣言」をイントラネットで発信しています。安全活動を活性化していくためには、会社や職場のトップが積極的に行動すると共に、職場の全員が自発的に安全活動に取り組む「相互啓発型」職場を作り上げる必要があります。会社や職場のトップであるCXO・事業部長がどのような思いで宣言し、何に取り組むのか。安全に対する思いを従業員と共有しています。

「私の安全宣言」の一部

──今後、どのような考えで安全を極めていきますか

安全対策に係る費用はコストではなく投資です。製造業である当社にとって、事故災害を起こさないことは、お客さまや他のステークホルダーからの信頼の醸成に直結し、選ばれる会社となる要因となり、企業価値の向上につながります。つまり「責任ある事業運営による信頼の醸成」への第一歩が安全の取り組みです。
先ほど申し上げた事業所は、重篤災害発生後に安全対策が行われ、非常に安全性の高い、DXの面でも優れた事業所に生まれ変わりました。しかし、本来は事故災害が起きる前に問題点を見つけ、日々変わり続けるような、未然に防ぐ活動が重要です。その投資の必要性を進言するのは従業員であり、判断するのはトップです。一人一人が安全へ感度高く、お互いの意見を尊重しながら本気で安全に取り組む安全文化を醸成しなければなりません。

これらを実現するために、私は社内コミュニケーションを活発化したいと考えています。国内・海外含めて、グループ内外での安全活動を活発化させるため、やれることは何でもやります。工夫を次々と行っていきます。
安全は最優先かつ原則。この言葉を言い続け、制度・仕組みに一つずつ落とし、文化を築いていく。私たちの取り組みは始まったばかりです。これからの当社に是非ご期待ください。

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