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対象業種電子機器、車載部品
用途想定高強度を求める接着
接着剤は、被着体の材質や使用環境等の仕様、組立工程の制約に合わせて選定され、電子機器や車載部品の組み立てに広く使用されています。
接着剤を選ぶ上で、接着強度と剥がれたときの破壊状態は重要な特性です。界面破壊や基材破壊が発生すると、強度のばらつきが大きい、十分な接着強度が出ない等、接着信頼性の観点からは好ましくありません。これらの破壊モードは、使用中の突然の剥落や破損につながり、機器や部品信頼性低下の原因となります。そこで、所望の接着強度を満たしつつ、凝集破壊性も両立する接着剤を選定することが必要です。
当社が提案するウレタン系接着剤は、当社従来品と比べ、接着強度を向上させ、かつ良好な凝集破壊性を両立した接着剤です。
接着信頼性の観点では、所望の接着強度を出しつつ、破壊モードは凝集破壊であることが求められます。 当社従来品のウレタン系樹脂接着剤では、脆弱な基材のせん断接着試験において亀裂が基材に発生し、十分な接着強度を示すことができず、強度のばらつきも大きいため、接着信頼性としては課題がありました。
そこで本開発品では組成設計により、応力に起因する亀裂が接着剤に誘導されるよう工夫し、破壊モードが凝集破壊となることを可能にしました。これにより、従来品よりも高い接着強度を出しつつ、良好な凝集破壊性が期待できます。
また、低Tg化により、氷点下から中温度領域での弾性率の温度依存性を抑えたので、幅広い温度領域で接着信頼性を求める電子機器や車載部品の用途にご使用いただけます。
表1. 開発品の特性
図1. 90℃環境下で測定したせん断強度と破壊モードの比較
-60℃から120℃の温度範囲で、開発品の粘弾性を測定しました。本開発品のTgは-59℃であるため、測定温度範囲で貯蔵弾性率、および損失弾性率は連続的に緩やかに推移し、温度依存性が小さいことが分かります。そのため、使用環境が-40℃から75℃の範囲では、接着の品質安定が期待できます。
図2. 弾性率の測定結果
90℃環境下に336時間置く熱老化試験前後で、せん断強度と凝集破壊率を比較しました。336時間後でもせん断強度はほとんど変わらず、凝集破壊率も100%を維持しました。
図3. 90℃熱老化試験前後におけるせん断強度と凝集破壊率
更新日:2024年9月10日
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