【徹底解説】研削材とは? 研削加工の品質を左右する研削材について、その特徴や選び方を解説します

対象業種研削砥石メーカー、研磨布紙メーカー、ブラスト装置メーカー

用途想定砥石や研磨布紙向けの砥粒、ブラスト材

切断、研磨、ブラストを含めた研削加工の仕上がりは、研削材の性能に左右されます。この記事では、研削材の種類やその特徴を解説するとともに、目的の研削加工に合わせた研削材の選び方について解説します。

1. 研削材とは

研削材は、金属、セラミック、ガラス、石材や木材といった材質の表面を削ったり、磨いたり、あるいは切断したりする工具に用いられる材料です。研削材には様々な材質や、形状、粒度のものがあり、用途や被削材の材質、作業条件に合わせて適切なものが選ばれます。その際、以下に挙げるような性能を比較し、適切な研削材を選定します。

研削材に求められる性能

研削材に求められる性能

1.1 研削材の用途とその特徴

研削材は、砥石や布紙に加工され研削加工に使用される場合と、それ自体を投射し表面加工に使用される場合があります。

前者は、結合剤(ボンド)や添加剤と混合し、最終形態の砥石や布紙形状に加工されます。研削砥石では、結合剤の種類や研削材の含有量等を設計し、高硬度な被削材や研削量が多い重研削、精密性を求められる研削といった幅広い研削加工に対応します。

一方で、研削材を高速で被削材表面に投射する加工はブラストとも呼ばれ、研削加工と比べ広範囲な表面処理が可能であるのが特徴です。

研削材の用途とその特徴

研削材の用途

用途の特徴

研削砥石

・グラインダー等の装置に装着し、回転させながら被削材に接触させ、研削加工を行う。

・被削材の材質や要求精度に応じて適切な砥石が選定される。また、安全に研削できるよう回転の周速度を設定する必要がある。

・研削加工だけでなく、切断や重研磨加工に用いられる場合もある。

研磨布紙​

・研磨や仕上げ加工に用いられ、シートやエンドレスベルト等様々な形状がある。

・研削砥石に比べ耐久性は低く、高硬度な被削材や研削量が多い用途には適さない。

ブラスト

・被削材に対して研削材を高速で投射し、表面加工を行う。

・研削加工と比べ、短時間で広範囲な表面処理が可能で、被削材への物理的なダメージが少ない。

・表面の清掃、粗化、バリ取り、表面仕上げ等の目的に応じて、投射する研削材の種類や粒度が選定される。

2. 研削材の適切な選び方

2.1 研削材を選定する際のポイント

研削材は被削材を削り取る「刃」の役割を担っており、所望の研削性能を得るには、適切な研削材の選定が欠かせません。研削材を選定する上で、押さえておきたい性能とその特徴、そして選定のポイントを挙げます。

研削材の性能と選定ポイント

性能

特徴と選定ポイント

硬度

・硬度が高いほど、硬い被削材の加工が可能。

・被削材との硬度差が、切れ味や表面精度に影響する。粗加工には硬度差大きい方が、精密仕上げには小さい方が好ましい。

靭性

・靭性が高いほど、研削中の割れや破壊が起きにくい。

耐摩耗性

・耐摩耗性が高いほど、研削材自体が削られ難く、減りにくい。

破砕性

(自生発刃性)

・研削中に砥粒破砕により刃先が再生されることで、研削性能が維持される。

・鋭い切れ味を求める場合は、破砕性が高い材が好ましい。

熱安定性

・研削中は高温環境下になる場合があるが、研削性能の維持には材質に変質等が起きないことが求められる。

化学的安定性

・被削材や潤滑油、クーラント等と化学反応を起こさないことが求められる。

均一な粒度分布

・研削面の仕上がりに影響する。精密仕上げ用途には、粒度分布が均一であることが好ましい。

結合剤/添加剤

との結合性

・砥石や布紙の場合、全体の強度や耐久性のため、結合が強く研削材が抜けにくいことが求められる。

2.2 研削材の種類と特徴

研削材には、セラミックスやダイヤモンドが用いられます。ここではセラミックスを取り上げて、その種類や特徴を挙げます。

研削材には高硬度と耐摩耗性のバランスがよい素材が望ましく、セラミックスではアルミナが最も一般的です。硬度と耐摩耗性の加え、研削加工を行う条件に求められる性能を加味し、適切な研削材が選定することが重要です。

研削材の種類と推奨用途

種類

特徴的な性能

推奨される用途

アルミナ

・硬度と耐摩耗性のバランスがよい

・熱安定性に優れる

・一般的な研削材

炭化ケイ素

・アルミナよりも高硬度

・熱伝導性に優れる

・アルミナ系よりも、高硬度や耐久性を求める用途に適す。

・被削材に対する熱の影響を抑えたい用途

ジルコニア

アルミナ

・破砕性に優れる

・高い切れ味を維持したい用途

cBN

・ダイヤモンドに次ぐ高硬度

・800℃以上の環境下でも安定性に優れる

・化学的安定性に優れる

・鉄系被削材の研削

3. レゾナックが提供する研削材

レゾナックは、アルミナ質、及び炭化けい素質研削材向けの各種グレードの研削材をラインナップしています。アルミナ質研削材は、長野・塩尻工場で一貫生産しており、高品質の研削材を短納期でご提供します。

レゾナックが提供する研削材のラインナップ

JIS R6111:2005による分類

製品名

品番

組成(wt%)

靭性¹⁾

ヌープ

硬度

カサ

特徴/推奨用途

区分

種類

記号

Al₂O₃

SiO₂

Fe₂O₃

TiO₂

アルミナ

質研削材

褐色

アルミナ

研削材

A

モランダム

A-40

96.5

0.5

0.1

2.3

R

2020

・標準的な褐色電融アルミナ研削材

A-43

96.5

0.5

0.2

2.3

R

2020

A-47

96.5

0.5

0.1

2.3

F

2020

白色

アルミナ

研削材

WA

ホワイト

モランダム

WA

99.6

0.02

0.03

trace

F

2050

・高純度の白色電融アルミナ研削材

・粒状の単結晶で、高硬度で破砕性に優れる

・発熱を避けたい用途に適す

・研削材以外にも適用可

-

-

シングル

モランダム

SA

99.6

0.03

0.03

0.3

T

2250

・単結晶で、難削材に適す

・レジノイド砥石用と研磨布紙用のグレードあり

-

-

ピンク

モランダム

PW

99.3

0.07

0.04

0.3

R

2100

・長寿命化を求める用途に向く

-

-

シンター

モランダム

SM

88.0

3.3

4.8

3.4

T

1250

-

・褐色焼結アルミナ研削材

SR-1

99.2

0.2

0.1

-

T

2000

-

・高純度の白色結晶アルミナ研削材

SC-1

99.2

0.2

0.1

-

T

2000

-

・不定形の焼結アルミナ研削材

炭化

けい素質

研削材

黒色

炭化けい素

研削材

C

デンシック

C

98.7​

0.2

0.5

0.2

R

2700

・標準的な黒色炭化けい素研削材

・研磨布紙用グレードあり

緑色

炭化けい素

研削材

GC

グリーン

デンシック

GC

99.3

0.2

0.2

0.02

R

2700

・高純度の炭化けい素研削材

1) F: Fraible, T: Tough, R: Regular

3.1 砥材リサイクルに対する取り組み

持続可能な生産消費サイクルの実現に向けて、弊社製品を採用いただいているメーカー様との共創で砥材リサイクルに取り組んでいます。アルミナ質研削材を対象に、お客様の製品生産工程からこぼれた砥材や製品端材を回収し、A系(褐色アルミナ研削材)の原料として再利用します。これにより、天然資源の使用削減と廃棄物削減が期待できます。

砥材リサイクルの流れ

砥材リサイクルの流れ

更新日:2024年12月23日

技術資料ダウンロード

アルミナ質研削材<モランダム>、炭化けい素質研削材<デンシック>
資料では、当社研削材の品番ごとの特性等の詳細がご覧いただけます。

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