高放熱なコンパウンドを実現できる、鱗片状窒化ホウ素(BN)フィラー

対象業種放熱材メーカー、配線板材料メーカー

用途想定放熱シート(TIM)、配線板プリプレグ

鱗片状窒化ホウ素(BN)フィラー

パワー半導体パッケージでは、素子の高出力化にともない発熱量が増大しており、熱を効率的に冷却器に伝達するために、より高性能な放熱材料が求められています(図1(a))。
また、LEDデバイスにおいても、素子の高輝度化にともない効果的な放熱設計が要求され、回路層とベースメタルの間の絶縁層であるプリプレグには高い熱伝導率が求められています(図1(b))。

絶縁放熱シートや配線基板材料には、シリカや水酸化アルミニウムなどの放熱フィラーを高充填したコンパウンドが広く用いられています。さらなる放熱性能の向上を目指し、熱伝導率に優れる窒化ホウ素フィラーの採用が検討されていますが、樹脂との相溶性が低いため高充填化が難しいという課題があります。

図1(a).モールド型パワー半導体パッケージの熱マネジメント

モールド型パワー半導体パッケージの熱マネジメント

図1(b). LEDデバイスの熱マネジメント

LEDデバイスの熱マネジメント

課題解決

BNの化学的な表面処理でコンパウンドへの高充填を実現し、熱伝導率向上に貢献

窒化ホウ素(BN)は絶縁性と高熱伝導率を有するフィラーですが、樹脂への充填量を増やすと混練時に粘度が著しく上昇するため、高充填が困難です。粘度上昇の抑制にはフィラーの相溶性を向上させる処理を施すのが一般的ですが、BNは鱗片状で水酸基やアミノ基といった反応性の高い官能基が粒子端面にのみ存在するため、表面処理が難しいとされています。プラズマ処理も検討されていますが、量産性に課題があります。こうした課題に対し、当社は大量処理が可能な化学的手法を施した鱗片状窒化ホウ素 表面処理品「ST-BN」を提案します(図2)。

エポキシ樹脂とのコンパウンドでは、表面処理品では未処理品よりもBNを高充填することができるため、より高熱伝導率化が図れます(図3)。

図2. レゾナック独自の表面処理

 

図2. レゾナック独自の表面処理

 

図3. コンパウンドへの充填率と熱伝導率の関係 1)

 

図3. コンパウンドへの充填率と熱伝導率の関係
  • 1) エポキシ樹脂にBNと希釈溶剤を加え混練しワニスを調製。
    ワニスをコーターで塗布し、ロールプレスで2枚貼り合わせたのち、熱プレスで硬化させてシート状のコンパウンドを得た。
    シートを切り出し、レーザーフラッシュ法で熱伝導率を測定した。
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

特長

粘度上昇を抑制できる

樹脂とフィラーの混練により調製されるワニスの粘度は、表面処理により上昇を抑制できることがわかりました(図4)。これにより、ワニスのハンドリング性やコンパウンドの量産性の向上が期待できます。

図4.BN充填量50vol%におけるワニスの粘度 2)

(a) d50 = 1.5 μmの場合

(a) d50 = 1.5 μmの場合

(b) d50 = 8.5 μmの場合

(b) d50 = 8.5 μmの場合
  • 2) エポキシ樹脂にBNと希釈溶剤を加え混練しワニスを調製後、レオメータにて粘度を測定
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

高い密着強度

コンパウンドと銅箔の密着強度を評価したところ、表面処理により約2倍に向上しました(図5)。これにより、銅張積層板、プリプレグ等の用途において接着信頼性の向上が期待できます。

図5. BN充填量50 vol%におけるコンパウンドの銅箔に対する密着強度3)

図5. BN充填量50 vol%におけるコンパウンドの銅箔に対する密着強度
  • 3) 試験片:エポキシ樹脂にBNと希釈溶剤を加え混練し調製したワニスを、銅箔(35 μm)状に塗布後、塗布面同士を貼り合わせて圧延/硬化成型し銅箔積層シート(400 μm)を作製した。続いて、幅10mmの短冊状に試験片を切り出した。
    評価試験:試験片を固定し、上面の銅箔を50mm/minで90°で引きはがした。その時の引張強度から密着強度を算出した。
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

更新日:2025年7月15日

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