125 °C下で気密性あるインサート成形品を実現する金属樹脂接合

対象業種自動車メーカー、産業機器メーカー、民生機器メーカー、住宅設備メーカー 及び、各メーカーのTier1メーカー

用途想定自動車、産業機器、民生機器、住宅設備

金属樹脂接合技術

金属部品を金型にインサートし、樹脂を射出して一体成形するインサート成形は、金属が持つ導電性や放熱性と、樹脂が持つ成形性や軽さといった、それぞれの材料の特長を組み合わせることができます。しかし、金属-樹脂界面の密着性は十分とは言えず、気体や液体の侵入あるいは漏洩を防ぐための気密性確保に課題があります。

気密性を確保する手法として、金属-樹脂界面に接着剤をポッティングし密封する方法が広く知られていますが、ポッティング工程の前後に表面改質や加熱工程を必要とするほか、接着剤を配するスペースにより成形品が大型化するという課題が残ります。また、パッキンを介してボルト締結し物理的に密封する方法では、高い気密性を実現できるものの、部品点数や工程の増加を避けられません。

こうした課題に対し、レゾナックはレーザーによる 金属樹脂接合技術により、インサート成形における気密性向上に応えます。ボルト締結等を含む従来工法に比べ工程削減が可能で、成形品の小型化を実現します。

 

図1. 金属樹脂複合品の密封工法の比較

金属樹脂複合品の密封工法の比較
 

課題解決

気密性確保と小型化を両立するインサート成形により、設計自由度の向上を実現

当社の金属樹脂接合技術では、レーザーで表面粗化した金属部品を金型にインサートし、樹脂を射出することで、強固な接合を形成します。表1に金属と樹脂の各種組み合わせについて、Heリーク試験と破壊モードの結果を示します。いずれの組み合わせでも、高い気密性を確保できることがわかります。また破壊モードは樹脂母材破壊であり、金属-樹脂の接合は強固と言えます。

金属-樹脂界面を直接接合するので、接着剤を配する従来工法で得た成形品に比べ、小型化が可能です。かつ形状の自由度が高いので、空間やその形状に制約がある場合でも配置可能な成形品を提案します。

表1. 金属樹脂接合のHeリーク試験と破壊モードの評価結果

材料 Heリーク試験の判定結果1) 破壊モード2)
樹脂 金属
PSS 樹脂母材破壊
アルミ 樹脂母材破壊
PBT 樹脂母材破壊
アルミ 樹脂母材破壊
PPA アルミ 樹脂母材破壊
PA66 樹脂母材破壊
PA9T 樹脂母材破壊
  • 1)He加圧:0.8 MPa×30 s加圧, 合格基準:10-6 Pa・m3/s以下
  • 2)接合強度は樹脂の母材強度に依存する

特長

当社の金属樹脂接合技術は、軸シールと面シールのいずれにも適用できます。

軸シール

検討例:3相端子台

3相端子台は、自動車においてインバーターとモーターを中継する部品で、モーターの高出力化・高トルク化の進展にともない、動作時のバスバー温度は上がる傾向にあります。こうしたトレンドに対し、より高温環境下で信頼性を確保できる3相端子台を提案します 。接着剤を配する必要がないので、電極の表面改質、接着剤のポッティング、加熱処理といった一連の工程を削減でき、成形品の小型化が可能です。

図2. 3相端子台の検討例

3相端子台

図3. 軸シールの工程

軸シールの工程

面シール

検討例:樹脂冷却器

ヒートシンクと樹脂筐体の複合品を、パッキン・ボルト締結から金属樹脂接合による密封に切り替えることで、部品点数と工程の削減を同時に達成することが可能です。
金属樹脂接合した樹脂冷却器について、高温環境を含めた各種信頼性試験を実施し、いずれの条件下においても気密性を確保できたことを確認しました(表2)。

図4. 面シールの工程

面シールの工程

表2. 樹脂冷却器3)での信頼性評価例

試験項目 当社試験条件 試験後に実施したHeリーク試験の判定結果
初期 -
冷熱サイクル実験 -40 °C⇔125 °C 3,000 cycles
恒温恒湿試験 85 °C/85 %RH 1,000 h
高温放置試験 120 °C 2,500 h
内圧繰り返し試験 50 %LLC 80 °C 120 kPa⇔0 kPa
各2秒保持×7,000 cycles
給水飽和試験 20 °C×500 h水中飽和
  • 3)金属ヒートシンク:アルミニウム合金、樹脂筐体:PPS

公開日:2026年5月26日

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