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対象業種電子機器の製造メーカ
用途想定電子材料
有機フッ素化合物PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称)は、フルオロ基の低い表面自由エネルギーを活かし、様々な用途に普及しています。その一つに被覆体表面に撥水性と撥油性を付与するコーティング剤が挙げられ、電子材料用途には欠かせません。
しかし、PFASは人や生物に対する有害性に懸念があり、欧州や米国をはじめとする各国で、今後規制対象となる物質が規定される見込みです。そのため、現行剤が規制対象に指定された場合を想定し、それを代替して撥水性と撥油性を付与する非フッ素系コーティング剤が望まれています。
当社は、フッ素系コーティング剤の代替という課題に対し、UV硬化型の非フッ素系撥水撥油コーティング剤を提案します(表1)。本開発品は主鎖ポリマの側鎖に長鎖アルキル基を配した構造で、UV硬化させて形成する塗膜では、主鎖に片末端を固定された長鎖アルキルが表面で結晶化し、撥水性と撥油性を発現すると期待されます(図2)。
表1.本開発品の特性と塗膜形成条件の推奨例
図2.当社が提案する非フッ素系コーティング剤の撥水性・撥油性のメカニズム
項目 | 開発品 |
アルキル鎖の特徴 | 結晶性 |
アルキル鎖の結合点 | 片末端 |
塗膜イメージ | アルキル鎖が塗膜表面で配列 |
PTFE板を比較対象に、本開発品の硬化塗膜の静的接触角を測定し、撥水性と撥油性を評価しました。水とヘキサデカン(油)の両方で、本開発品とPTFEで静的接触角に有意な差はありませんでした(図3)。この結果から、本開発品はフッ素系コーティング剤と同等の撥水撥油性を付与できると期待できます。
図3.静的接触角の測定結果
各種基材上に本開発品の硬化塗膜を形成し、クロスカット試験を実施しました。その結果、SUS、PMMA、ポリカーボネート、PETに対し優れた密着性を示すことを確認しました(表4)。
表4.クロスカット試験結果
基材 | クロスカット試験結果 |
---|---|
AI | 0/100 |
SUS | 100/100 |
PMMA | 100/100 |
ポリカーボネート | 100/100 |
ポリイミド | 100/100 |
PET(未処理) | 100/100 |
PET基材上に本開発品の硬化塗膜を形成し、各種薬液に浸漬させ、乾燥後にクロスカット試験を実施しました。トルエン、3%KOH水溶液、10%H2SO4水溶液のいずれに浸漬しても、基材への密着性を保持していたことから、耐薬品性に優れることを確認しました(表5)。
表5.薬液浸漬後のクロスカット試験結果
浸漬した薬液 | クロスカット試験結果 |
トルエン | 100/100 |
3% KOH aq. | 100/100 |
10% H2SO4 aq. | 100/100 |
更新日:2024年8月6日
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