微小・微細・微量の金属異物を検出する、超高感度の薄膜磁気MIセンサ

様々な産業分野で、製品・商品の信頼性や安全性を確保するために異物検査が行われています。なかでも半導体、電池、医療などの分野では、わずかな金属異物であっても信頼性や安全性を致命的に損なう恐れがあるので、より高感度の検査が求められます。
従来金属異物の検査には、金属検出器、X線検査装置、光学カメラ、またはこれらの組み合わせが使われてきました。しかし、既存の金属検出器は検出感度が低いこと、X線検査装置は箔状・粉状・フィラーといった形態の金属の検出が困難なこと、光学カメラは外観で検出できる表面異物に限られていることが課題でした。
当社は、高感度で金属異物を検出できるMI磁気センサを提案します。既存の金属検出器に対して、磁気センサの感度を表すノイズ密度を2桁以上低減しました。
異物分析の適用例
半導体製造工程での異物分析

リチウムイオン電池各構造部材の異物分析

磁気インピーダンス(MI)方式によりノイズ密度~3pT/√Hz @1Hzを達成
半導体の封止樹脂やリチウムイオン電池の正極負極材・セパレータなど高い絶縁信頼性が要求される材料では、わずかな金属異物がショートの原因となる恐れがあります。
既存の金属検出器のノイズ密度は~1000pT/√Hz @1Hzで、0.5mm程度の鉄の検出が限界とされています。近年、高感度磁気センサとしてノイズ密度~10pT/√Hz @1HzのFluxgateセンサが実用化されましたが、さらなるノイズ密度の低減が求められています。その他、現在開発中のものとしてはノイズ密度3pT/√Hz @1Hzの磁気抵抗効果(Magneto Resistive effect;MR)センサが発表されています。
当社の磁気センサは、磁気インピーダンス(Magneto Impedance;MI)方式により、ノイズ密度~3pT/√Hz @1Hzを達成しました。さらに≦1pT/√Hz @1Hzへ向けた開発を進めています。
また常温可動、小型のセンササイズかつアレイ化可能という特長があり、金属異物検出器に実装可能です。感度だけならさらに優れたSQUIDやOptical Pumping Magnetometerといった高感度磁気センサもありますが、これらがコストやハンドリングの面で異物検出器には使えなかった問題点を解決します。
当社MIセンサとノイズ密度のデータ例
MIセンサと回路基板

ノイズ密度

- ※上記の数値は測定値の一例であり、保証値ではありません。
試作した異物検査試験機にて30μmの Fe粒子、60μmの SUS粒子を測定(S/N>3)
当社MIセンサを用いて当社で試作した異物検査試験機にて、30μmの Fe粒子、60μmの SUS粒子を測定したところ、S/N>3が得られました。またセンサを中心に幅10mmに渡って同等の信号強度が得られました。異物検査試験機による測定データの詳細は、技術資料をご参照ください。
「MIセンサ」の特長
高感度、低ノイズ密度の磁気センサ
既存の金属検出器、高感度のFluxgateセンサ、開発品のMRセンサと当社のMIセンサを、下記の表で比較しました。
各種の磁気センサの比較
- ※上記の数値は測定値の一例であり、保証値ではありません。
金属異物検出器に実装可能なハンドリング性
常温可動、小型のセンササイズかつアレイ化可能です。
なお実際に検出可能なサイズは金属の種類・形状や装置への実装条件によって異なりますので、お客様の条件にてご評価ください。
更新日:2023年4月21日
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