200℃環境下での耐熱性と防湿性を両立するコーティング材

対象業種車載、民生、産業機器

用途想定電子機器のコーティング

200℃環境下での耐熱性と防湿性を両立するコーティング材

車載や民生、産業機器では、ほこりや湿気等から保護を目的に電子回路にコーティングが施されます。特に湿気は、回路上の金属部品の腐食や絶縁性能の低下を招き、機器の信頼性を損なう原因となるため、コーティングにより防湿性能を付与することが欠かせません。

他方で、車載向けに代表されるように電子回路が高温条件下で使用される場合が増えるにともない、コーティング材にも耐熱性が求められるようになっています。

課題解決

200℃環境下での使用に対応できる耐熱性と防湿性を両立し、信頼性向上に貢献

当社が開発中のコーティング材はシリコーン系ポリマーが主成分です。独自の樹脂設計によりポリマー鎖同士が疎水基を介して架橋しているのに加え、加熱することで架橋基同士による架橋が形成されます(図1)。強固な塗膜を形成できるので、耐熱性と防湿性を両立した保護コーティングが可能で、機器の信頼性向上に貢献します。

また、1液溶剤型でスピンコートやスプレーコート、コーター塗工など各種塗工方法に対応できます。

図1. 開発品の樹脂設計

図1. 開発品の樹脂設計

疎水基同士による架橋と
架橋基同士による架橋で強固な塗膜を形成

特長

優れた防湿性

他社品のシリコーン系コーティング材と透湿度を比較したところ、本開発品の方が優れた透湿度を示しました(表1)。また200℃環境下に1時間暴露しても、透湿度の低下は見られませんでした(図2)。

表1.シリコーン系コーティング材における透湿性の初期特性比較

項目 単位 開発品 他社品
硬化条件1) 110℃ / 2h 150℃<, 30min<
透湿度2) 2 μm g/m2・24h 50 60 (PET相当)
4 μm 20 55
8 μm 14 24
  • 1) 室温での予備乾燥を含む
  • 2) JIS Z0208-1976、PETフィルム(透湿度60 g/m2/24時間)上に所定の膜厚を製膜し、40 ℃ / 90 %RHで測定
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

図2.開発品における200℃環境下での透湿度の変化

図2. 開発品における200℃環境下での透湿度の変化
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

耐熱性

熱重量曲線で400℃における重量減少を比較すると、他社品は9%であるのに対し、開発品は3%と優れた耐熱性を示しました(図3)。 また、本開発品を200℃環境下で500時間曝露し、試験前後で水接触角を比較したところ、変化は見られませんでした(図4)。このことから、200℃環境下での使用に耐えうる耐熱性を期待できます。

図3. シリコーン系コーティング材における熱重量曲線の比較

図3. シリコーン系コーティング材における熱重量曲線の比較

図4. 200℃環境下での水接触角の変化

図4. 200℃環境下での水接触角の変化
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

更新日:2025年3月11日

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資料では、開発品の特性や高温試験前後での物性値等のデータがご覧いただけます。
資料では、開発品の特性や高温試験前後での物性値等のデータがご覧いただけます。

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