パワー半導体の封止材剥離を抑制!信頼性を高める「HIMAL」

対象業種パワー半導体パッケージメーカー、パワー半導体モジュールメーカー

用途想定パワー半導体パッケージ製造における封止材のプライマー

HIMAL

大電流・高電圧を取り扱うパワー半導体新規ウィンドウで開く。その優れた省エネ性能から、家電、電気自動車、産業機器、電車、太陽電池、通信基地局など活躍の場が広がっています。活躍の場の広がりとともに、高出力を求められるほど、またデバイスを小型化しようとするほど、パワー半導体の動作温度が高温になるため、封止材と各部材の間の熱膨張差による剥離が課題となっています。さらに封止材には耐熱性も求められていますが、一般的に封止材の耐熱性と密着性や応力緩和性との間にはトレードオフの関係があるため、ますます耐熱性と剥離抑制の両立が困難となっていました。
従来から、封止材の設計を変えることなく、リードフレームとの間の剥離を抑制する方法として、リードフレーム表面の粗化処理が知られています。しかし、ワイヤやチップなどリードフレーム以外の剥離が信頼性の律速となっている場合には効果が限定的であるとともに、リードフレームにおいても粗化処理以上の密着力が求められる場面が増えてきました。
当社は耐熱性の絶縁コーティング材「HIMAL」を提案します。「HIMAL」を封止材のプライマーとして塗布することにより、リードフレーム、素子、ワイヤと封止材の間の密着力が上がり、応力も緩和され、封止材の耐熱性と剥離抑制を両立させて、パワー半導体の信頼性を高めます。

「HIMAL」の適用例

ダイボンディング

 

1)ダイボンディング

ワイヤーボンディング

 

2)ワイヤーボンディング

塗布乾燥

3)HIMALの塗布・乾燥
例)80℃/1h+210℃/1h

封止工程

 

4)封止工程

  • 乾燥温度・時間はパッケージ構造・乾燥設備により変わります。

課題解決

封止材への密着力向上と応力緩和によって剥離を抑制し信頼性を高める

パワー半導体の動作温度の上昇に対応して、封止材と各部材の間の熱膨張差と応力が大きくなるため、封止材と各部材間の剥離が課題となっています。また動作温度の上昇に対応して封止材には耐熱性も求められます。封止材の耐熱性を上げるために、樹脂を高Tg化しようと硬くすると、弾性率が上がり、応力が高くなります。また、耐熱性を上げるため封止材に剛直骨格を入れると、界面に極性の高い官能基が出てこなくなり、界面接着力が弱くなります。高温動作に対応して封止材の耐熱性を上げようとすると、応力緩和の観点でも界面接着力の観点でも、封止材と各部材の間がさらに剥離しやすくなり、特にON/OFFを繰り返すパワーサイクルでの信頼性に課題がありました。
当社の「HIMAL」はTg=220℃以上、貯蔵弾性率3GPa程度、絶縁破壊電圧250V/μm以上の耐熱性の絶縁コーティング材です。封止材や各部材と比較して柔軟な特性をもち、温度上昇や加工時に発生する応力を緩和することができます。
「HIMAL」を封止材のプライマーとして各部材に塗布すると、封止材と各部材間の剥離を抑制することから信頼性を高めることができます。従って封止材の選択の幅を広げることもできます。また各部材にかかる応力を緩和することからも信頼性を高めることができます。

特長

高い密着力

基板と封止材EMC(Epoxy Molding Compound)との間のシェア強度を、処理なしニッケル基板、粗化ニッケル基板、および「HIMAL」塗布ニッケル基板で比較しました。処理なしニッケル基板に対し粗化処理をすると約2倍に、処理なしニッケル基板に対し「HIMAL」を塗布すると約4倍にシェア強度(密着力)が向上しました。

シェア強度試験の結果と測定方法

Condition

  処理なしニッケル基板 粗化ニッケル基板
めっき厚(μm) 3.5 8.8
算術平均高さ Sa(μm) 0.02 0.34
シェア強度試験結果

シェア強度試験結果

 

  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。



優れたサイクル特性

弊社評価によれば、「HIMAL」を塗布することにより1in1モジュールのパワーサイクルテスト(ΔTj=100℃)において、23000cycの寿命を87000cycまで向上させることができました。密着力向上による剥離の抑制とAlワイヤ根元に対する応力緩和の両方が貢献したと考えています。
「HIMAL」無の場合には、試験終了時に剥離と判断される白いコントラストが観測されるのに対し、「HIMAL」有の場合には観測されませんでした。

信頼性試験;1 in 1 module PCT試験

  初期 試験終了時
HIMALなし HIMALなし(初期) HIMALなし(試験終了時)
HIMALあり HIMALあり(初期) HIMALあり(試験終了時)
PCTEST

 パワーサイクル試験結果 

パワーサイクル試験(PCT) :ΔTj = 100℃、電流値一定モード (試験数 n=2)
測定に用いたモジュールの構成は以下の図の通り

Chip:Si-IGBT
Wire:Alワイヤー
基板:DBA基板
ケース:PPS
HIMAL水準:
 ①HIMAL無 (Ref.)
 ②HIMAL有
封止:液状エポキシ樹脂

Module

 

  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

     

応力緩和(シミュレーション)

配線根元の累積塑性ひずみを下図の条件でシミュレーションしました。「HIMAL」を塗布すると、Al Pad界面に集中していた応力が緩和・分散されます。
ワイヤはPad界面で最も強度が低いため、応力により剥離しやすく、一旦剥離が始まるとさらに応力が集中する様子がシミュレーション画像で得られました。「HIMAL」を塗布することにより、ワイヤの剥離が抑制され信頼性を向上させる結果が、応力のシミュレーションとしても理解できます。

配線根元の累積塑性ひずみ解析(2cycle)

HIMALなし

HIMALなし

剥離(空洞)あり

剥離(空洞)あり

HIMALあり

HIMALあり

[Condition]
HIMAL:10μm 、PCT試験:ΔTj=100℃ 電流値一定モード、2cycle(On time:2s / off time:3s)、420W想定

 

  • 本シミュレーションは、ひずみによる差異が大きく見えるようにシリコーンゲルを封止材料として実施。
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

※「HIMAL」は、日本・中国における、株式会社レゾナックの登録商標です。

更新日:2024年3月6日

技術資料ダウンロード

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