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対象業種機器・部品の製造や組立メーカー
用途想定電子機器、車載部品、電池
電子機器や車載部品、電池等では、構成部品同士を組み合わせる際に樹脂接着フィルムが多用されます。接着フィルムは、被着体の材質や使用環境等の仕様、また組立工程の制約に応じ選定される一方、環境負荷低減のため接着形成に消費されるエネルギーがより少ないことが求められます。
特に構成部品が発熱する、あるいは高温環境下で使用される機器等の組立には、耐熱性に優れる熱硬化型の接着フィルムが好まれますが、硬化に必要な加熱工程の短縮に課題があります。
こうした課題に対し、当社は熱可塑型の高耐熱・接着フィルムSFシリーズを提案します。本開発品は被着体と接触させ、数秒間、加熱圧着するだけで接着し、かつ高温環境下で継続的に使用しても接着性を保持します。熱硬化型に比べ加熱工程を大幅に短縮できるので、組立工程におけるエネルギー消費量の低減に貢献します。
熱可塑型の接着フィルムとしてはポリオレフィン系やポリアミド系が知られ、所定温度以上に加熱圧着することで、接着性を発現します。熱硬化型に比べ、加熱工程に要す時間を短縮できるのでエネルギー消費量低減には有利ですが、高温環境下での使用では接着性の保持に課題があります。
そこで本開発品では、接着層に熱可塑性ポリアミドイミドを用いることで耐熱性を改善しました。接着層のTgは150から230℃でラインナップがあり、Tg以上で加熱圧着すると強固に接着が可能です。 特に高Tg品番は、継続的に200℃環境下に置かれる場合でも接着性を保持するので、耐熱性が求められる用途に適します。また、ポリアミドイミドが主成分なので、絶縁性も期待できます。
また当社のフィルム塗工技術を活かし、基材なしの1層品、基材の片面に接着層を配した2層品、さらには両面に接着層を配した3層品を取り揃えています。接着層やフィルム構造のラインナップから、お客さまの用途と仕様に適切な品番を選定し、ご提案します。
表1. SFシリーズのラインナップ例
本開発品3層品で接着層のTgを変えた3品番について、アルミ、Ni、ガラスの各種被着体に加熱圧着させ、25℃または200℃雰囲気下に保持した後、90°方向へのピール試験を実施し、剥離強度を測定しました。その結果から、本開発品は200℃環境下でも室温下と同等の接着性を保持することを確認しました(表2)。特に、高Tg品番では、ガラス基材に対し優れた接着性を示しました。
このことから継続的に高温環境下にさらされる用途でも、本開発品は金属製やガラス製の被着体同士を接着させ、保持することが期待できます。
表2. SFシリーズ3層品と各種被着体との剥離強度
熱可塑型の本開発品と熱硬化型のエポキシ系接着フィルムで、所望の接着性発現に要す加熱工程を比較しました。熱硬化型では、150℃以上で1時間以上保持する必要があるのに対し、本開発品では200~300℃で5~10秒間、圧着するだけで所望の接着性が得られます。
本開発品を接着形成に使用すると、加熱工程にかかる時間が大幅に短縮できるので、組立工程にかかるエネルギー消費量低減が期待できます。
図1. 所定接着強度を得るための加熱工程
更新日:2024年6月14日
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