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先端半導体パッケージの熱マネジメントに貢献する材料①
本稿では、第4回で解説した先端半導体パッケージの技術的課題である熱マネジメントを改善する材料について解説します。
先端半導体パッケージでは3D集積の弊害として局所的に高温となるホットスポットという領域が生じ、信頼性や性能低下の原因となります。
このため、対策として演算負荷の集中でホットスポットが生じやすいCPU、GPU、HBM周辺の材料を高熱伝導、低熱抵抗化し、発生した熱を効率的に外部に逃がすことが重要です。
3Dパッケージの放熱経路

一方で、その構造に起因する技術的課題も抱えています。以下ではその課題を具体的に解説します。
熱マネジメントに貢献する材料
熱伝導材料 (TIM)
TIMは半導体パッケージとヒートスプレッダーやヒートシンクの間の隙間を埋める材料で、半導体パッケージで生じた熱を外部に逃がす役割を担います。効率よく放熱するために、半導体パッケージやヒートスプレッダー※1の表面の微細な凹凸を埋めて接触熱抵抗を低減させること、高熱伝導率であることが求められます。
TIMはパッケージとヒートスプレッダーの間で使用されるTIM1とヒートスプレッダーとヒートシンクの間で使用されるTIM2に大別されます。 TIM1はTIM2よりも熱源であるチップへの距離が近いため、より低熱抵抗、高熱伝導であることが求められます。このため、TIM1にはTIM層を薄くすることができ、高熱伝導のフィラーを多く配合できるペースト状のTIMが用いられます。
リッド付き (ヒートスプレッダーあり) パッケージで使用されるTIM

一方、半導体パッケージの高性能化に伴い拡大している大サイズチップ向けには、信頼性確保のためシート状の高熱伝導TIMが適用されます。データセンター向けGPUでは、パッケージを液冷ヒートシンクやコールドプレートで直接冷却する構成が増加しています。
このようなリッドレスパッケージでは、ヒートスプレッダーを介さずにパッケージを冷却するため、放熱経路の短縮と界面数の削減による総合熱抵抗の低減というメリットがあります。
この構成で用いられるTIMは半導体パッケージとヒートシンクの間に配置され、TIM1.5と呼ばれます。TIM1.5はTIM1と同様に極めて高い熱伝導率、低熱抵抗が求められるため、ペースト状のTIMないしはシート状の高熱伝導TIMが使用されます。
リッドレス (ヒートスプレッダーなし) パッケージで使用されるTIM

レゾナックのシート状TIMは黒鉛フィラーを厚さ方向に配向させることで実装時に25~45W/(m・K)、バルクでは最大90W/(m・K)の高い熱伝導率を実現すると共に、軟質・高粘着のベース樹脂を使用することで柔軟性と粘着性を確保しています。
詳細はこちら
熱伝導シート製品外観

断面構造

※1 ヒートスプレッダー:多くの場合リッド(蓋)を兼ねる
エポキシ樹脂封止材 (EMC)
EMCはパッケージの最外層を覆う樹脂でチップの保護、電気絶縁性の確保などの役割を担う他、高熱伝導率のフィラーを配合することでパッケージ内の熱の放散にも寄与する材料です。レゾナックでは多様なEMCをラインナップし、お客様のご要望にお応えします。
特に顆粒状EMCの先端半導体パッケージ向けのグレードは3.0 W/(m・K)と熱伝導率に優れるだけでなく、樹脂の流動性が高いことから複雑かつ微細な構造の先端パッケージの細かな隙間にも樹脂が行きわたり、ボイドの発生を抑制してパッケージの信頼性を向上させます。
顆粒状EMCの詳細はこちら
EMC製品外観

フィルム状のEMCも先端半導体パッケージに適した封止材料です。チップや配線の上に載せてラミネートして硬化するだけの簡便なプロセスで大型パネルサイズ封止も可能となり、パッケージの薄型化に貢献します。
フィルム状EMCの詳細はこちら
封止フィルム製品外観

次回予告
第6回も引き続き、先端半導体パッケージの熱マネジメントを支える材料技術について深掘りしてまいります。
公開日:2026年02月25日
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