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先端半導体パッケージの技術的課題
本稿では、第2回で構造、第3回
で製造フローを解説した先端半導体パッケージの技術的課題を3Dパッケージを例に取り、わかりやすく解説します。
複数のチップを積み重ね、TSV※1やハイブリッドボンディングで接続する3Dパッケージには以下のメリットがあります。
- ①チップ同士の物理的な距離が近く、高密度に接続できるため、広帯域、低遅延な通信が可能
- ②配線長の短縮、高集積化によりデータ移動とI/O関連の電力が低減でき、低消費電力化が可能
3Dパッケージの構造

一方で、その構造に起因する技術的課題も抱えています。以下ではその課題を具体的に解説します。
先端半導体パッケージの技術的課題
熱マネジメント
3Dパッケージは複数のチップを垂直積層するため、従来の2Dパッケージと比べて発熱密度※2が高くなります。それに加えて、特に積層構造の基板寄りに位置するチップほどヒートシンクまでの距離が遠く、熱伝導経路に低熱伝導率の誘電体層や接着剤が含まれるため、熱伝導が妨げられます。その結果、内部に熱がこもり、性能や信頼性の低下を招きます。このため、3Dパッケージではロジックチップをヒートシンクの近くに配置するなど放熱に配慮した設計にすることが重要です。材料の観点からは、パッケージの構成材を高熱伝導、低熱抵抗化することでも熱マネジメントの改善が可能です。
反り
3Dパッケージはシリコン、樹脂、金属などCTE※3が異なる材料を多数積層した構造のため、従来のパッケージ以上に材料間のCTE不整合による影響を強く受けます。製造工程や使用時の温度変化によって生じる熱応力は、パッケージ全体に反りを引き起こし、チップの割れや剥離、はんだの接続不良など致命的な不具合の原因となります。このため、3Dパッケージでは厚さ方向の構造対称化、リフロー温度・樹脂材料の硬化温度を低温化など設計面、製造プロセス面での配慮が必要です。材料の観点からはチップ、インターポーザー、基板などの構成パーツのCTEのマッチング、低弾性率材料の使用による応力緩和、キャピラリーアンダーフィルの適用によるはんだ接合部の剥離防止などが反り対策に有効です。
製造プロセスの複雑化と高コスト化
3DパッケージはTSV形成や高精度なチップ接合など高度な実装技術を必要とします。これらの工程は直接的な製造コストの上昇を招くだけでなく、累積歩留まりの低下という課題も引き起こします。多層積層構造では、構成要素のいずれか一つに不具合があるだけでパッケージ全体が廃棄となるため、積層前に各チップの品質を保証するKnown Good Die技術の確立が不可欠です。また、製造工程における歩留まり低下を抑えるため、接続信頼性を高める高機能アンダーフィル材を始めとする材料面での対策も、トータルコストを抑制する上で重要となります。
欠陥検出
3Dパッケージは製造過程でTSVや接合界面のボイド、層間剥離、微粒子汚染といった欠陥が発生します。このような欠陥の多くは立体的な3Dパッケージの内部で生じるため従来の光学的、電気的な検査では検出が困難で、歩留まりの低下に繋がります。対策としては積層前のチップの中間検査による歩留まり向上や、X線CTや走査型超音波顕微鏡による内部欠陥の検出などが挙げられます。
- ※1 TSV:貫通電極,※2 発熱密度:単位体積あたりの発熱量,※3 CTE:熱膨張係数(単位温度あたりの熱膨張率)
まとめと次回予告
今回は、先端半導体パッケージの技術的課題について発生原因を交えて解説しました。これらの課題の内、熱マネジメントと反りは材料技術が課題解決に貢献できる可能性があります。
次回のコラムでは、「先端半導体パッケージの熱マネジメントに貢献する材料」について解説します。
公開日:2026年01月23日
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