半導体パッケージの変遷

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コラムを開いてくださった皆様ありがとうございます。 
当月から材料メーカーの視点で半導体を解説するコラムの連載を始めます。第1~9回は半導体パッケージをテーマに解説して参りますので、ぜひご覧ください。

第1回のテーマは「半導体パッケージの変遷」です。 
近年、半導体の性能向上の主戦場は「チップ」から「パッケージ」へと移りつつあります。永らく半導体の性能向上の原動力となってきた回路の微細化による性能向上は、線幅が原子スケールに近づくにつれ量子効果の影響による限界が見え始めています。 また、微細化により製造工程で生じる寸法や材料特性のばらつきの許容が難しくなり、歩留まりの低下が問題視されています。こうした背景から、後工程の中でも特にパッケージングの革新が新たな成長ドライバーとして注目されています。本稿では、パッケージ技術の変遷をわかりやすく解説します。

パッケージ技術の変遷

初期のパッケージ (1970〜1980年代)

1970〜80年代、パッケージは主にチップを保護し、外部回路と電気的に接続する「ケース」としての役割を担っていました。この時代には、DIP※1、SOP※2、QFP※3といった、端子をパッケージ周囲に配置するリードフレーム型パッケージが主流でした。

高密度実装への移行 (1990年代)

1990年代に入ると、携帯機器の小型化・高速化が進み、リードフレーム型パッケージではリード間ピッチの微細化に伴う、端子の変形や短絡のリスクが顕在化しました。これを解決するため、端子を裏面に配置するBGA※4やCSP※5など、高密度実装に適したパッケージが普及すると共に、配線長の短縮や熱特性の改善も求められるようになりました。

機能集積と多チップ化 (2000年代)

2000年代に入ると、携帯電話を始めとする電子機器の多機能化が進んだことで進んだことで、1つのパッケージ内に複数の機能を統合するSiP※6という概念が注目されます。その中核を担ったのが、複数のチップを階段状にずらしたり、スペーサーを挟んだりして垂直に積み上げたStacked CSPです。主にメモリの積層に活用され、小型・大容量化に貢献しました。さらに2000年代後半には、パッケージ同士を重ねるPoP※7が登場します。プロセッサの上にメモリを載せるこの構造は、製造歩留まりの維持と設計の柔軟性を両立し、スマートフォン等の高密度実装に欠かせない技術となりました。これらによりパッケージは、システムの小型化・高性能化を左右する重要なプラットフォームへと進化しました。

先端半導体パッケージの台頭 (2010年代)

2010年代に入ると、さらなる薄型化、高速化、低消費電力化が求められ、実装技術は飛躍的な進化を遂げました。チップ上の端子を再配線層で外側へ延ばすファンアウト技術のほか、貫通電極によって積層チップ間を最短距離で接続するTSV※8や、微細なはんだ端子マイクロバンプによる高密度接続技術が実用化されました。2010年代中盤になるとスーパーコンピュータやディープラーニングの研究加速に伴い、CPUとメモリ間のデータ転送速度が性能律速の要因となるフォン・ノイマン・ボトルネックが顕著化し、プロセッサと大容量メモリを同一パッケージ内で広帯域に接続するニーズが急速に高まりました。この課題を解決したのが、シリコンインターポーザーを介して両者を高密度接続する2.5Dパッケージです。当初は特定のハイエンド用途に限られていたこの技術は、2020年代の生成AIの爆発的な普及により、3Dパッケージと共に現代のコンピューティング基盤を支える不可欠な技術へと成長しました。

パッケージおよび実装技術の変遷

パッケージおよび実装技術の変遷

  • ※1 DIP: Dual In-line Package, ※2 SOP: Small Outline Package, ※3 QFP: Quad Flat Package, ※4 BGA: Ball Grid Array, ※5 CSP: Chip Size Package, ※6 SiP: System in Package, ※7 PoP: Package on Package, ※8 TSV: Through Silicon Via


 

まとめと次回予告

半導体パッケージは単なる保護ケースから、性能向上のための総合的なプラットフォームへと進化してきました。現在では、電力供給、熱放散、異種プロセス間の接続など、多面的な機能を担う存在となっています。
次回のコラム新規ウィンドウで開くでは、「先端半導体パッケージの構造」について解説します。

公開日:2026年01月23日

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