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対象業種金型成形を行う成形加工メーカー、半導体メーカー、食品容器メーカー
用途想定金型のブラスト洗浄の自動化
金型を使用した成形加工作業では、樹脂の残渣や発生ガスの汚れが金型に付着するため、作業後の金型洗浄など日常的なメンテナンスが必須です。汚れを放置すると固化して取り除きにくくなったり、錆や腐食の原因になったりします。その一方で、成形加工の生産性向上のために洗浄作業の時間短縮や省力化が求められていました。
金型洗浄方法の一つであるブラスト洗浄は、研磨材やプラスチック粒子といったブラスト材を圧縮空気の力で金型に吹き付ける洗浄方法です。ブラスト装置という設備を必要としますが、短時間で汚れを取り除くことができます。しかしそのブラスト材を除去するために、金型を分解して洗浄する必要があり、分解の手間や時間がかかるとともに洗浄の自動化は困難でした。一方でブラスト材としてドライアイス粒子を使うと、洗浄時に気化するので金型分解の必要はなくなりますが、長時間使用するとノズルにドライアイスが詰まるために、やはり自動化は困難でした。
当社は自動化可能なドライアイスブラスト装置「Cold Jet」を提案します。当装置はドライアイスの粒径を安定して制御できるので、洗浄力が強く、またノズルが詰まらないので自動化が可能です。金型分解で生産を止めることなく長時間連続かつ大量の成形作業の省力化に貢献します。
①衝撃:ドライアイスを超音速でブラスト、対象物に衝撃を与える
②温度差:ドライアイスは約-79℃、収縮率の差を生み、対象物が浮き上がる
③小爆発:固体から昇華するときに約800倍に膨張、小爆発で対象物を除去
研磨剤を用いたサンドブラストやプラスチックを用いたビーズブラストなどショット材を使用した洗浄機では、ブラスト材を2次洗浄するために金型分解が必要となり自動化できません。
また従来のドライアイスブラスト装置では、3mmφのドライアイスをスリットやフィルターに当てて細かくしているので粒径が安定していません。大きな粒による金型傷つけ防止のため圧力を弱くする必要があり洗浄時間が延びます。またノズルに粒子がつまりやすいため、12時間運転など長時間使用ができず、自動化もできませんでした。
「Cold Jet」はドライアイスの粒径を0.3mmφ~3.0mmφまで、0.1mmごとに設定可能でしかもその粒径が安定しています。そのため均一にドライアイスを吹き付けることができるので微細な金型の洗浄にも適しています。また金型傷つけ防止のため圧力を弱くする必要はなく、通常の0.55MPa程度の工場の空気圧で優れた洗浄力を示します。さらに粒径の安定性に加えて、「Cold Jet」は長時間使用してもノズルがつまらない技術SureFlow System1)を有しているので、自動化が可能となりました。
ブラスト洗浄の能力向上には装置性能とドライアイスの品質の両方が必要です。従来のドライアイスペレットはポーラス状であり、時間経過に伴い水分を吸収し、硬度が低下し、脆くザラメ状に劣化していきます。このようなペレットではいくら装置が優れていても洗浄力が低下します。一方当社の高密度のドライアイスペレットは、ポーラス状となっていないため水分吸収がゆっくりであり、長時間、硬度が高い状態を維持できます。72h経ってもブラスト洗浄の能力がほとんど落ちません。このように、当社は炭酸ガスおよびドライアイスメーカーでもありますので、品質の高い炭酸ガスを原料とし、ブラスト専用のペレタイザーを使って高品質・高密度のドライアイスペレットの生産と供給が可能です。
また、従来の装置では「スクランブラーと呼ばれるドライアイスを押しつぶす機構により粒径を細かくしている」または「ノズル中間にメッシュが挿入されておりドライアイスを砕く機構により粒径を細かくしている」ため、いずれの機構でも粒径の幅を制御することはできません。これらの機構ではドライアイスが詰まりやすいことが指摘されていました。
「Cold Jet」は、最新技術PCS(Particle Control System)2)によって、上記の高品質な3mmφドライアイスペレットの粒径を、最小0.3φmmまで0.1mm単位で精密に再成型することができます。粒径の制御性と安定性に優れています。
従来の装置で自動化の障害となっていたドライアイスが詰まる場面は大きく二つあります。一つは装置内部でのブロッキングや配管の詰まりです。従来の装置ではバイブなどを付けて対応してきましたが、日本の高温多湿の環境では詰まっていました。「Cold Jet」はバネ等で本体から浮かせたホッパーにサンパーやラムロッドを設置しており、詰まりを解消しています。
もう一つはノズルでの詰まりです。微細な部分など対象物の破損を防ぐとともに、細かい隙間を均一に早く洗浄するためには、ドライアイスの粒径を小さくする必要があります。従来品では、粒径を小さくする方法としてすり潰したりメッシュで砕いたりする方法などを採用していますが、粒径を小さくすることによって単一容積あたりのドライアイス量が増え、またその粒径もまちまちで安定していないため、逆にノズルや供給ホースを詰まらせることになっていました。これでは長時間の運転も自動化もできなくなります。
「Cold Jet」は、ドライアイスの粒径を安定して制御できることに加えて、長時間使用してもノズルが詰まらないSureFlow Systemの技術を持っているので、金型洗浄の自動化が可能です。長時間連続かつ大量の成形作業の省力化に貢献します。
自動化された金型洗浄の例は、下記の動画をご覧ください。
粒径の安定性とMERNノズル(Multiple Expansion Reflecting Nozzle)3)によって、通常の0.55MPa程度の工場の空気圧で、優れた洗浄力を示します。従来の装置と洗浄力においては5倍の性能差があります。従って洗浄時間も短縮できます。
下記の図で洗浄力を比較した結果を示します。SUS板に黒の塗装を施し、ブラストで洗浄していく過程を時間差で表し、洗浄具合を比較したものです。「Cold Jet」にMERNノズルを用いた場合、他社装置と比較して段違いで綺麗に洗浄できているのがご確認いただけると思います。またその時の風量も最も少ない量で洗浄できたことが示されています。
[試験条件]
ブラスト圧力0.55MPa、ドライアイスフィード量1,460g/min
更新日:2024年3月8日
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