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対象業種部品内蔵基板メーカー、パワーモジュールメーカー
用途想定部品内蔵基板の層間絶縁膜
電子機器の小型化や電子部品の高集積化を実現する高密度実装技術の一つとして、部品内蔵基板の開発・採用が進んでいます。サーバーの電源などSi系MOSFETを用いたパワーモジュールにおいても、スペース効率だけではなく、寄生インダクタンス低減・信頼性向上・コスト削減・配線簡素化のため、部品内蔵基板が採用されるようになりました。一方で、部品内蔵基板は高密度にチップ等の部品を実装するため、大電力を扱うパワーモジュールでは熱マネジメントが重要になります。そこで、放熱性を向上させる手段として、 内蔵部品と放熱パッドを接続するサーマルビアを増やしたり、大型キャビティを形成して放熱パッドを内蔵チップ裏に直接設置したりすることが検討されていますが、従来の絶縁材料では実現が難しい側面がありました。
上記課題に対して、当社は感光性層間絶縁フィルムPV-F(Photo Via Film)を提案します。PV-Fはフォトリソを用いて絶縁層のパターンを形成するため、従来の加工方法であるレーザードリルでは実現が難しい大型キャビティの形成や、スループットに課題がある多数のサーマルビアを形成することができ、放熱設計の自由度を向上させることが可能です。
従来、部品内蔵基板の層間絶縁膜として使われてきた熱硬化性層間絶縁プリプレグや熱硬化性層間絶縁フィルムは、ビア形成にレーザードリルが使われています。しかし、一般的なレーザードリルでは最大φ350μm程度までのビアしか形成できず、放熱性や導通性にメリットがある放熱パッドの形成に必要な大型キャビティは形成できません。また、レーザードリルはビア数が多くなるほどスループットが低下し、100万穴/枚といった多数のビアを形成する場合は生産性が低下します。
さらに、部品内蔵基板では、正しい位置に仮固定した部品を、位置ずれなく絶縁材料で埋め込む必要があります。従来の熱硬化性層間絶縁プリプレグは粘度が高いため、部品の埋め込み技術の難易度が高く、部品の埋め込み不足や位置ずれが配線接続不良につながる懸念があります。
当社の感光性層間絶縁フィルムPV-Fなら、絶縁層のパターン形成にフォトリソを用いるため、500μm角以上の大型キャビティ形成が可能です。大型キャビティ部を銅めっきなどで充填することで放熱性や導通性に貢献し、結果として基板の設計自由度が向上します。また、スループット良く、サーマルビアを挟ピッチで多数形成できます。さらに、低粘度のため、低温低圧で部品を埋め込み可能であり、部品の位置ずれを抑制し配線接続不良の懸念が少なくなります。
以上のように、当社感光性層間絶縁フィルムPV-Fを用いると、基板の放熱設計自由度、生産性、配線接続性を向上させることができます。
PV-Fと従来品の比較
フォトリソにより 500μm角のキャビティとφ40μmのビアを一括形成した際のSEM画像です。ご覧の通り、高解像度のビア形成が可能です。また、当社のPV-Fはφ15μmの微小ビアから1,000μm角といった任意のサイズの大型キャビティまで一括で形成でき、放熱設計自由度の向上を期待できます。
500μm角の大型キャビティとφ40μmのビアを一括形成した例
従来品であるプリプレグの溶融粘度は、180℃で300Pa・s程度とされています。一方で、感光性層間絶縁フィルムPV-Fでは、70℃に加熱すると、粘度が100Pa・s程度まで下がるので、埋め込み不足や部品の位置ずれによる接続不良の懸念が少なくなります。
PV-Fの粘度グラフ
更新日:2024年7月3日
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