液状封止材に関する特許維持が決定
~大型化するAI向け半導体パッケージの性能向上に貢献~
2024年11月06日
株式会社レゾナック・ホールディングス
株式会社レゾナック(社長:髙橋秀仁、以下、当社)が保有する液状封止材に関する日本国特許(特許第7343977号)は、第三者から特許の有効性に関する異議の申立てを受けていましたが、2024年6月19日に、特許庁により有効と判断されました。本特許に係る技術は、大型化するAI(人工知能)向け先端半導体パッケージの性能向上に貢献するもので、当社は本技術を適用した製品について2024年10月から販売を開始し、採用が広がっています。
近年、AI技術の進化に伴い、高速な演算処理を行うプロセッサや、大容量のデータを即時に処理できる半導体メモリが求められています。これらの要求に応えるため、先端半導体パッケージは、機能の異なるチップを混載したり、複数のチップを3次元積層したりすることで、電子信号のやり取りをより高速で効率的に行っています。このような先端半導体パッケージのチップやインターポーザー基板*1は、小さな突起状の電極端子(バンプ)を介してパッケージ基板と接続されていますが、その間には隙間が生じます。液状封止材は、その隙間(ギャップ)を充填することで、温度や湿度の影響や機械的な外力から半導体パッケージを保護しています。
上記のような先端半導体パッケージは、チップの混載、三次元積層によって、大型化する傾向にあります。そして、大型化したパッケージ向けの液状封止材には、①温度サイクルやリフロー*2などの熱履歴に対する高信頼性、②低粘度かつ使用可能時間が長く良好な作業性、といった高い性能が求められています。
液状封止材は、樹脂、硬化剤、ゴム粒子などの原料から構成されており、当社は、独自の樹脂合成技術や配合技術を適用することで、当社従来品よりも硬化後の破壊靱性*3および接着性に優れ、作業性の良い液状封止材を開発し、2023年に本液状封止材に係る発明の特許を取得しました。その後、2024年2月に第三者から異議の申立てがありましたが、特許庁による審理の結果、この度、特許維持の決定が下されました。
本特許は、活用される市場がグローバルであることを視野に入れ、米国、中国、韓国および台湾地域でも権利化されています*4。
当社は、自社技術に関する知的資産を積極的に活用し、化学の力で社会を変えてまいります。
*1 機能の異なるチップ同士を配線でつなぎ、貫通電極によってパッケージ基板につなぐために用いられるサブ基板のこと
*2 高温下で溶接することにより、部品同士を接続し、電気信号を伝達できるようにするプロセスのこと
*3 亀裂・亀裂状の欠陥を有する材料に、力学的な負荷が加わったときの破壊に対する抵抗
*4 日本特許7343977号、米国特許11059966号、中国特許ZL201780025782.6号、韓国特許10-2504140号、台湾特許I692503号 I737245号
お問い合わせ先
ブランド・コミュニケーション部 メディアリレーショングループ