台湾でCMPスラリー、プリント配線板用積層材料および感光性ソルダーレジストの生産能力を増強

-韓国においてもCMPスラリーの工場を新設し、拡大する需要に対応-

2020年12月08日
昭和電工マテリアルズ株式会社

昭和電工マテリアルズ株式会社(取締役社長:丸山 寿、以下、昭和電工マテリアルズ)は、台湾台南市の子会社Showa Denko Semiconductor Materials (Taiwan) Co., Ltd.(以下、SDSMT)における半導体回路平坦化用研磨材料(CMPスラリー※1)、プリント配線板用積層材料(プリプレグ※2)および感光性ソルダーレジストの生産能力を増強するとともに、韓国京畿道安山市の子会社Showa Denko Electronic Materials (Korea) Co., Ltd.(以下、SDMKR)にCMPスラリーの工場を新設することを決定しました。総投資額は約200億円で、SDMKRの新工場は2021年10月に、SDSMTでは2022年1月に順次CMPスラリーの生産増強を始め、2023年1月にプリント配線板用積層材料(プリプレグ)および感光性ソルダーレジストの量産を開始します。これにより、今後ますます拡大する需要に対応します。

近年、第5世代移動通信システム(5G)の実用化により、データセンターや移動体端末の需要は増加しています。さらに、人工知能(AI)や自動車産業におけるCASE(Connected, Autonomous, Shared & Service, Electric)分野での技術革新が進み、これらに不可欠な半導体の市場は年率5%※3を超える高い成長が期待されている中、昭和電工マテリアルズのCMPスラリー、プリント配線板用積層材料および感光性ソルダーレジストについても、旺盛な需要が見込まれています。

昭和電工マテリアルズのCMPスラリーは、スマートフォンやデータセンター等で使われている半導体メモリー※4および半導体ロジック※5の製造工程で使用されており、特にセリア系スラリー※6は、独自の砥粒※7技術により、研磨傷の低減を実現できる点が評価されています。近年、半導体メモリーは2次元から3次元構造へ、また半導体ロジックの高密度化・微細化により研磨層数が増加していくことからCMPスラリー市場はさらなる成長が見込まれています。

昭和電工マテリアルズは、SDSMTのCMPスラリー工場の能力増強およびSDMKRにおけるCMPスラリーの工場新設に計110億円の投資を行い、半導体デバイスの技術進歩に伴う高機能化ニーズの高まりおよび需要の伸長に応えるための製品供給体制を強化します。

昭和電工マテリアルズのプリント配線板用積層材料は、信頼性、そり特性、平坦性に優れ、主に半導体パッケージの基板用として使用されています。特に高い信頼性が必要なデータセンターで使用されるサーバー等の大型半導体パッケージや、電波変換、ノイズ除去などの機能を統合してスマートフォン等に搭載される通信モジュール用半導体パッケージに用いられており、今後高い成長が期待されています。

SDSMTでは、2020年5月にプリント配線板用高機能積層材料の工場を新設し、順次稼働を開始していますが、さらなる需要に対応するため、このたびプリント配線板用高機能積層材料(プリプレグ)の生産能力を増強します。

感光性ソルダーレジストは、半導体パッケージ用基板を保護する重要な材料として高い信頼性が求められますが、昭和電工マテリアルズの感光性ソルダーレジストは、半導体パッケージの中でも、特に高い信頼性が必要なデータセンターで使用されるサーバーや通信機器等で使われる大型半導体パッケージに用いられています。

感光性ソルダーレジストは、これまで日本国内でのみ生産していましたが、このたび台湾のSDSMTへ液状ソルダーレジスト(LSR)およびフィルム状ソルダーレジスト(DFSR)の生産設備を新たに導入し、需要の伸長に応えるための製品供給体制を強化します。

SDSMTにおいて、これら3製品の生産能力を増強することで、中華圏や東南アジア圏、韓国などのお客さまへ、よりタイムリーに製品供給できるとともに、他の生産拠点で災害などの緊急事態が発生した際においても、台湾から世界のお客さまへ製品を提供することが可能になります。

昭和電工マテリアルズは、5GやAI、CASE分野での技術革新に貢献する製品の供給体制を今回強化することで、情報通信分野において、半導体市場の伸びを上回る成長をめざします。

また、当社は、半導体関連分野において幅広い材料ラインアップを取り揃え、各種材料・プロセスを組み合わせた総合的なソリューションをお客さまに提供してまいりましたが、今後も昭和電工グループの一員として、引き続き多様な材料の提供と、素材設計から機能評価までの包括的ソリューションの提案によって高度な顧客ニーズに応えるワンストップ型の先端材料パートナーになるべく邁進してまいります。

CMPスラリー

プリント配線板用高機能積層材料

感光性ソルダーレジスト

SDSMT会社概要

(1) 会社名 Showa Denko Semiconductor Materials (Taiwan) Co., Ltd.
(2) 所在地 台湾台南市
(3) 代表者 村井 康裕
(4) 事業内容 半導体回路平坦化用研磨材料およびプリント配線板用積層材料の製造、および配線板用感光性フィルムの加工
(5) 資本金 702,797千台湾ドル
(6) 出資比率 昭和電工マテリアルズ株式会社 100%
(7) 操業開始 2012年

SDMKR会社概要

(1) 会社名 Showa Denko Electronic Materials (Korea) Co., Ltd.
(2) 所在地 京畿道安山市
(3) 代表者 金 晋龍
(4) 事業内容 配線板用感光性フィルムの加工、販売および機能材料の販売
(5) 資本金 630,000千ウォン
(6) 出資比率 昭和電工マテリアルズ株式会社 100%
(7) 操業開始 1995年
  • ※1 CMPスラリー:CMP(Chemical Mechanical Planarization:化学的機械研磨)とは、半導体デバイスの回路形成工程で発生した凹凸を研磨、平坦化する技術のこと。CMPスラリーはこの回路形成工程の研磨、平坦化に用いられる材料で、砥粒と液体で構成される材料。
  • ※2 プリプレグ:ガラスクロスを樹脂に含浸した材料で、樹脂としては半硬化状態のもの。
  • ※3 WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)調べ
  • ※4 半導体メモリー:半導体デバイスのうち、データ記憶を行う集積回路
  • ※5 半導体ロジック:半導体デバイスのうち、計算する役割を持つ集積回路
  • ※6 セリア系スラリー:酸化セリウム(IV)を砥粒として用いたCMPスラリーのこと。研磨傷が少なくかつ高速研磨が可能。
  • ※7 砥粒:研磨に使用する硬い粒子

以上

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