研究開発・知的財産戦略

使命
「作る化学」「混ぜる化学」「考える化学」の共創型研究開発により、世界No.1技術・製品を生み出し続ける。「技術の染み出しによるイノベーションの実現」「事業本部を横断する技術開発のけん引」「社会を変える長期R&Dの推進」を実現する。

長期ビジョン実現に向けた戦略
新材料・新技術の注力領域
当社は、新材料・新技術の創出において、高速通信、パワー半導体、革新素材を2024年度の注力領域とし、光電融合、次世代通信、接合技術、環境対応など革新技術の研究開発を進めます。さらに要素技術となる、低誘電化、分散・混錬、熱マネジメントやその評価プロセス、背反特性解消技術を着実に深化させ、製品開発サイクルを円滑化させます。

社内外との共創
研究成果の顕現確率を向上させることを目指し、事業部各組織、社内組織、社外のステークホルダーと連携し、共創を進めています。2024年、半導体パワーエレクトロニクス戦略、新テーマ、新製品開発要素技術開発戦略立案を担う研究所戦略部を新設しました。半導体・電子材料セグメントと研究開発部門のさらなる連携を目指します。

知的財産戦略
当社は、全社の事業ポートフォリオを俯瞰し、グローバルな特許出願などを通じて、各事業に最も適した知財ポートフォリオの構築を追求しています。さらに、知的財産の積極的利活用をはじめとして、経営および事業に貢献し、競争力の強化と持続可能な成長を実現する知財戦略を策定し、遂行しています。
新規技術や半導体・電子材料関連技術をはじめとするコア成長事業及び次世代事業に関しては、業界をリードする強力な知財ポートフォリオを構築し、知財価値を客観的に向上する取り組みを進めています。さらに、当社事業の成長を牽引する積極的な知財活用方針として「攻めの知財」を掲げ、持続的な収益の向上を試みています。

IPランドスケープの事業への活用および知財価値評価
当社の重点テーマの一つである、計算情報科学のマテリアルズインフォマティクス分野に関する当社の保有特許の価値(PAI =Patent Asset Index: Lexis Nexis社の登録商標) は近年顕著な増加傾向を示しています。2023年度には当社の知財価値が他社平均の26倍に達しており、当社の競争優位性を示しています。
また、次世代半導体パッケージの知財価値も、2002年以降増加し2010年代以後一定レベルの価値を維持しています。今後、グローバル出願戦略をより精密化することで市場的価値を高めることに加え、重要な研究開発成果を「早期」かつ「多面的・重層的」に出願することを通して、当社の知財ポートフォリオを更に高質化していきます。

R&D TOPICS 2024
宇宙で活用する技術を従業員自主活動から創出
当社は、JAXAが募集した「太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・領域拡大に向けたオープンイノベーション」に、月の砂を利用した月面での蓄熱・熱利用システムに関する提案を行い、「チャレンジ型」枠で採択されました。この研究は、 REBLUC*に参加する当社従業員が提案したもので、2024年4月よりJAXAと共同研究を開始しています。
REBLUC:Resonac Blue Creators、レブルック:若手インフルエンサー育成を目的とした社内コミュニティ

カーボンニュートラル実現のためのシナリオ
2050年カーボンニュートラルに向けた技術開発シナリオを策定し、石油化学・化学品事業を皮切りに革新的な技術開発を進めています。このうち、CO2分離・回収技術では、既存材料と違うCO2吸着特性を有する分離剤を採用し、分離コストの低減を推進しています。世の中に先駆けて成果を社会に普及させることで、技術の汎用化・標準化において有利な立場を確立するとともに、知財戦略を推し進め、他社に模倣されない技術の優位性を訴求していきます。

EVパワー半導体関連の材料開発強化 ーパワーモジュールインテグレーションセンター(PMiC)がお客さまに最適な材料を提案ー
当社が2023年に開設したPMiC(栃木県小山市)では、パワーモジュール向けの高耐熱コーティング材料や高放熱冷却器といった関連材料をそろえ、お客さまの条件での材料評価を行っています。検証内容の共有によりお客さまに最適な材料を提案し、素材開発までさかのぼった技術革新の支援と開発期間短縮に寄与しています。2024年度中にお客さまとの共創スペース拡充やも新たな装置の導入も予定しています。
PMiCは、アプリケーション視点の共創プラットホームの場であり、パワーモジュールや電池評価、シミュレーションを中心とした計算科学、材料要素技術、分析を中心に関連する事業部との連携を強化しています。カーボンフットプリントの低減等、モジュール売り強化のための先回り提案を進めていくことにより、事業部を研究開発側面から支援します。


全方位的な共創視点による知財ポートフォリオの形成
当社は、新事業の着想段階から、共創に資する広範囲な知財ポートフォリオ形成に繋げる知財活動を心掛けています。これまでは、競合会社の排除や金銭的収入を目的とした知財ポートフォリオの形成と活用が中心でした。今後はこれに加えて、多様な企業、地域、顧客、サプライヤー、スタートアップ、アカデミアを含めた全方位的な共創視点を持って、知財ポートフォリオを形成・活用していきます。この全包囲的な知財ポートフォリオの形成により、新たなビジネスに関わるあらゆるステークホルダーとの共創を誘引するだけではなく、規格標準化といった新たな機会を見つけ出すことが可能となります。
具体的な取り組みとして、2023年には、環境技術に関する知的財産の登録を通じて共創を促進することを目指し、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する環境技術のグローバルプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナーとして参画しました。

計算科学を使用した共創事例
計算情報科学研究センターは計算科学(分子シミュレーション、構造・流体シミュレーション)、情報科学(AI*1、MI*2、画像解析、自然言語処理、データ活用基盤開発)技術を一カ所に集約する組織です。全事業セグメントのインフラとして、レゾナックを世界トップクラスの機能性化学メーカーとするミッションを担っています。以下に社内外の共創事例や成果を紹介します。
ディープラーニングを用いた画像解析を活用し材料検査の自動化を実現
計算情報科学研究センターの画像解析専任チームと、実際に運用する製造現場との共創により、材料検査の自動化と検査時間の大幅短縮を実現しました。

半導体材料メーカーで国内初、仮想現実(VR)を製品開発に活用
「分子レベルでの解析」を体感できることで、“材料開発の専門家”と“計算科学の専門家”のコミュニケーションを円滑化し、研究開発の加速につなげています。

AI・ディープラーニングを活用して材料の開発期間を大幅に短縮
過去の材料開発から蓄積された計算及び実験データを活用したディープラーニング技術を利用し、量子化学計算に比べて数千倍速く物性を予測することが可能になりました。

マテリアルズ・インフォマティクス共創:Matmerize社&Enthought社
2023年より、米国のスタートアップ2社と連携し、計算科学・AI・MIの活用に注力して、材料開発の迅速化を図るために共創を進めています。
