半導体パッケージの構造改革

半導体パッケージの進化の歴史は、パッケージ構造の進化の歴史と言っても過言ではありません。パッケージの進化の中でさまざまなタイプの構造が生み出されてきました。ここでは、パッケージの構造が大きく変わったことでその性能が向上した例を紹介します。

チップの裏表を反転させた「FC-BGA」パッケージとは?
 

FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)とは、1990年代後半から普及し始めた半導体パッケージの一種です。チップの裏表を逆にして(Flip Chip)、ワイヤー~リードフレーム経由でマザーボードと回路接続するのではなく、はんだバンプ~パッケージ基板~格子状に配列されたはんだボール(BGA: Ball Grid Array)経由で接続する構造です。QFPとは構造や製造プロセスが大きく異なり、またマザーボードとは別に「パッケージ基板」という配線板が必要になります。

なぜ劇的な構造の変化が必要だった?
端末機器や通信インフラの進化で半導体パッケージに求められるデータ処理量が増大し、従来のワイヤー~リードフレーム経由の信号伝送では処理能力に限界が生じていました。そこでチップを裏返すことで伝送経路を短くし、かつパッケージの下面全体に格子状に配列された多数の接続端子を持つ構造が考え出されました。2020年代に入ってもFC-BGAはサーバーやルーター、車載コンピューターのCPUなどで多く使われています。 

パッケージの構造がぁ÷ことで、より多くの電気信号が流れることに

 

なぜマザーボードとは別にパッケージ基板が必要なのか?

半導体チップ内に形成されている回路の幅は1μm前後またはナノレベルですが、マザーボードの回路幅は100μm程度と、大きな差があります。また、チップとマザーボードの間の熱膨張率の違いも大きく、マザーボード上に直接半導体チップを実装するのは困難です。このため、半導体チップとマザーボードの間に中間層となる「パッケージ基板」を挟むことで、フリップチップ型のパッケージ構造を実現しています。パッケージ基板はマザーボードよりも微細な回路配線となっており、熱膨張率もチップに近づけた特性となっています。
 

微細なパッケージ基板が中間に入ることで、府リップチップ実装が可能に

 

先端の構造、2.xDパッケージとは?

2.xDパッケージとは、半導体チップとマザーボードの間に挟まれるパッケージ基板に加え、さらにその上位に「インターポーザー」と呼ばれる中間基板を配置した構造です。このインターポーザーは、従来のパッケージ基板よりもはるかに微細な配線を有しており、プロセッサーとメモリの間をマザーボード経由ではなく、極めて短い距離で直接接続することが可能になります。その結果、データ伝送経路が大幅に短縮され、処理能力の向上と消費電力の低減を同時に実現します。生成AIの普及によりデータ処理量が飛躍的に増加する中で、このような高密度・短距離接続を実現する2.xDパッケージは、従来のパッケージ構造を発展させた重要な技術となっています。

2.xDパッケージ

 

本当にそこまでの距離短縮が必要?
CPUやGPUのクロック周波数は5GHz(ブースト時)を超える場合もあり、クロック周期は約 50億分の1秒程度になります。このわずかな時間では、真空中の光でも約6cmほどしか進むことができません。実際の半導体内部の配線では、信号伝搬速度は光速の半分程度であるため、進める距離は数cm以下となります。このため、配線長や配置のわずかな違いが大きな影響を与えます。特に高性能CPU/GPUでは、処理能力そのものだけでなく、データの移動(配線・パッケージ・メモリ間)がボトルネックとなることが多く、これがチップレット化や高密度実装(例:HBM、2.5D/3D実装)などの技術開発の背景になっています。

インターポーザ―による距離短縮で、CPUメモリ感のデータのやり取りが拘束に

 

新たなパッケージ構造に対応したレゾナックの材料とは?

2.xDパッケージのような先端パッケージは、構造も製造プロセスも従来とは大きく異なるもので、それに対応した新材料の開発や既存材料の性能向上が必要でした。半導体後工程材料を多数提供するレゾナックは、共創を軸とする絶え間ない製品開発で半導体パッケージの進化に対応した製品を生み出し、世界シェアトップクラスの材料も数多く提供しています。

パッケージ用熱伝導シート

パッケージ用熱伝導シート
黒鉛フィラ―の垂直配向で、半導体パッケージ動作時の熱を効率的に放出

NCF

NCF
先端パッケージのHBM(広帯域幅メモリ)でチップを積層接着。高い接着性と信頼性を発揮

液状封止材

液状封止材
高い流動性で微細なはんだバンプ同士の隙間に浸透。バンプ周辺の熱応力も緩和

固形封止材

固形封止材
熱膨張率や弾性率を制御してパッケージ基板の反りを抑制。耐熱性も良好

パッケージ用基板材料

パッケージ用基板材料
独自の樹脂構造で低熱膨張率を実現し基板の反りを抑制

パッケージ基板用感光性フィルム

パッケージ基板用感光性フィルム 
高い解像度で微細な回路配線を形成

パッケージ基板用ソルダーレジスト

パッケージ基板用ソルダーレジスト
高い解像度で微細な回路表面保護パターンを形成