レゾナックナウ

宇宙は、化学でもっと近くなる。 レゾナックが「材料」と「共創」で描く未来。

2026年03月04日

夜空を見上げ、月を眺めるとき、皆さんは何を想像しますか? 「遠い憧れ」「神秘的な存在」……そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし今、その景色は着実に変わりつつあります。宇宙はもはや選ばれた人だけが到達できる場所ではなく、民間企業が新たな価値を生み出し、経済活動を広げる「産業の舞台」としての側面を強めています。
今回は、化学の力がどのように宇宙の未来を支えようとしているのか、そしてレゾナックが「共創」を通じてどのような挑戦を続けているのかをご紹介します。

宇宙産業の進展:探査から「活用」の時代へ

かつての宇宙開発は、国家主導でロケットを飛ばすことそのものが「ゴール」でした。しかし現在は、ロケットの低コスト化などを背景に、宇宙空間をいかに「ビジネスや生活に活用するか」という新しいステージに突入しています。

 

2035年、約270兆円の巨大市場へ

マッキンゼー・アンド・カンパニーなどのレポート(2024年)によると、世界の宇宙経済は2035年までに1.8兆ドル(約270兆円※)に達すると予測されています。これは現在の市場規模の約3倍。
それでは具体的に、宇宙ではどのような「価値創造」が期待されているのでしょうか?

どこでもつながる世界: 低軌道衛星を活用し、砂漠や洋上など、地球上のあらゆる場所で高速通信を可能にするインフラ整備。

宇宙ならではの物づくり: 無重力を活かし、地上では難しい高品質な結晶を生成。そこから画期的な新薬を生み出す試み。

空の上のデータセンター: 宇宙空間にサーバーを置き、膨大なデータを軌道上で処理する新たなコンピューティングの形。

つまり、宇宙は今、私たちの日常生活を根底から支える、新しい「フロンティア」になる可能性を秘めているのです。

出典:マッキンゼー公式サイト Space: The $1.8 trillion opportunity for global economic growth

※1ドル=150円として換算(2026年3月4日時点のドル円レートは約157円)

「材料の力」で宇宙の過酷な環境を乗り越える

宇宙空間は、人類にとっても精密機器にとっても極めて過酷な環境です。その壁を突破する鍵を握るのが、化学が生み出す「高機能な材料」です。
ここではレゾナックが培ってきた技術をベースに挑んでいる、2つのプロジェクトをご紹介します。

 

1. 放射線から「宇宙の頭脳」を守る

宇宙には、常に目に見えない「放射線」が飛び交っています。これが精密な半導体に衝突すると、メモリ内のデータが勝手に書き換わってしまう「ソフトエラー」を引き起こします。そのため、今までシンプルな構造の半導体が使われてきました。

将来、宇宙船の自律航行やAIによるデータ解析を実現するには、地上と同等の高度な半導体が不可欠です。そこでレゾナックは、半導体を包み込み、保護する「封止材(ふうしざい)」という樹脂材料でこの課題に挑んでいます。
独自の配合技術で放射線の影響を抑え、最新のテクノロジーが宇宙でも安定して機能する「安心」を創り出す。「地上の知能を、そのまま宇宙へ連れて行く」ための挑戦です。

封止材部分で宇宙線の入射エネルギーを抑制し、ソフトエラーを20%低減

関連ニュース:国際宇宙ステーションで、開発中の宇宙向け半導体材料の評価を実施
 

2. 月の砂(レゴリス)を資源に変える

月面基地を作る際、地球からすべての資材を運ぶのは莫大なコストがかかります。そこで注目されているのが、月面を覆う砂「レゴリス」の現地活用です。
月面での活動は、マイナス170℃に達する極寒の夜と灼熱の昼がそれぞれ約2週間ずつ続くという、極めて過酷な温度環境にさらされます。この激しい寒暖差を克服し、有人活動を維持するためには、いかに安定的にエネルギーを確保・管理できるかが鍵です。

この課題に対し、レゾナックは化学の知見を活かしたアプローチを試みています。砂そのものを変えるのではなく、レゾナックが培ってきた特定の樹脂技術をレゴリスと組み合わせることで、材料としての性質を書き換え、熱特性の大幅な向上に挑んでいます。
この技術が確立されれば、レゴリスは単なる砂から、エネルギーを制御する高性能な蓄熱材へと進化を遂げる可能性があります。

多孔体ブロック:レゴリスに樹脂をコーティングして固めることで真空熱伝導率が100倍向上

関連ニュース:月面での蓄熱・熱利用システムの研究提案がJAXAにより採択

「共創」で、宇宙を手の届く場所へ。

宇宙開発の現場は、常に未知の課題との戦いです。一つひとつのハードルを乗り越えていくプロセスは、決してスマートなものばかりではなく、泥臭い試行錯誤の連続です。
だからこそ、私たちは一社の力にこだわりません。システム全体の未来を見据え、異なる分野の知見を掛け合わせる「共創」の姿勢を大切にしています。
スタートアップ、研究機関、そして志を同じくするパートナーたち。多様な専門知を分かち合い、響かせ合うことで、一社では立ち向かえない壮大な課題にも突破口が見えてくると信じています。
関連ページ:共創の記事一覧

終わりに

化学メーカーが作るものは、ロケットのように派手な姿をしていません。多くは製品の中に隠れ、外からは見えなくなる材料です。
しかし、目に見えない素材の一つひとつに、技術者たちの並々ならぬこだわりが詰まっています。
最先端のテクノロジーを根底から支える「材料」の世界。その熱量に、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。もし、この記事を読んで「化学×宇宙」の可能性に興味を持っていただけたら、以下の関連ページもチェックしてみてください。

関連ページ:【セカイ経済】日本躍進のカギはどこにあるのか。進化する宇宙産業の最前線 

 

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