レゾナックナウ

サステナビリティを「みんなごと」にしたい【CSuO松古樹美】

2024年07月31日

※本記事は2024年7月発行の統合報告書「Resonac Report 2024」の転載です。

経営の根幹にあるサステナビリティ

サステナビリティはすでに「稼いでいる」企業がやるものであり、稼ぐ体制が整った後に取り組むもの。そんな見方が世の中では多数派かもしれません。しかし、私たちは今、「稼げる」レゾナックになるためにサステナビリティに取り組んでいます。レゾナックは、本気で「化学の力で社会を変え」ようとしている会社です。掲げたパーパスのもとに、正しく稼ぐ力を育て、皆で実現したい未来をつくっていくためには、経営の根幹にサステナビリティを据えることが必要不可欠なのです。

化学には、社会のさまざまな課題を解決する"光"の側面だけでなく、環境や社会に負荷を与える"影"の側面もあり、レゾナックにとって、サステナビリティはきれいごとでは済みません。稼ぐことと社会をより良い方向に変えること、そして光と影の両面があることは、互いに相反するものではなく、時間や空間を乗り越えて一致させていくものだと考えています。企業価値の向上も、私たちを取り巻く社会や環境の状態の改善も、その結果としてついてくる。そう信じて、私たちは日々サステナビリティに取り組んでいます。

そして、ステークホルダーの皆さまがサステナビリティに関して今、一番知りたいのは、例えば、CO2の排出量の絶対値や女性管理職比率といった一つ一つの定量的な結果や、非財務の取り組みが財務につながったのかの証明よりも、その課題の背景や、どう課題を乗り越えようとしているのか、稼ぐ力につなげられるのか、ではないでしょうか。

ここからのセクションでは、皆さまからの問いに対する私たちの今と、未来を見据えた取り組みの道筋について、仲間と共にお伝えしていきます。

課題の乗り越え方を試行錯誤する場をつくる

レゾナック正式発足の1年前の2022年に最初に取り組んだのがマテリアリティの特定です。ここから非財務KPIを設定し、長期ビジョンとも呼応させ、サステナビリティと経営を結び付けました。

非財務KPIは、ともすれば無味乾燥な「上から落ちてくる」必達数字になりがちです。私たちは、教科書通りのお手本はいったん脇に置いて、各部門が目指す2030年のありたい姿を議論した上で、2025年を目途として何ができていなければならないか、との観点で定性・定量の非財務目標をまとめました。そして定期的にモニタリングしながら、従業員が納得して取り組める内容か、KPIが本来やりたかったこととずれていないか、どんな取り組みが経営を強くし稼げるレゾナックにするのに効くのか、突然の価値棄損が起きないように対応できているか、などを振り返りながら進めています。

このようなグループ全体で取り組むべきテーマを議論する場が「サステナビリティ推進会議(通称サス推)」です。サステナビリティに対する共通言語をつくるため、2022年からCEO以下全CXOとBU長、そして各部門のサステナビリティー・パートナーが毎月、幅広いテーマを議論しています。2023年からは、各テーマに「モヤモヤ」「ドキドキ」マークを付け始めました。部門間の壁に阻まれて顕在化していない機会やリスクに対し、誰がどうリードすべきかや、将来を見越しつつ、今どう優先順位をつけどこまで取り組むのがいい塩梅なのか、「モヤモヤ」するならばオープンな場で"みんなごと"にしてしまおう、という趣旨です。「ドキドキ」は、先進的なお客さまの要望や先行する国際的な規制の動向を共有することで、サステナビリティへの対応が事業競争力に直結しつつある現状をみんなで理解し、次へ進むための提案です。

そもそもサステナビリティは「これができたら満点」というものではありません。社会や時代、自社の状況に合わせて変化して然るべきムービングターゲットです。それに取り組むことは、正解のない「レゾナックらしさ」を追求することでもあります。レゾナックが永続的に正しく稼ぎ、社会をより良い方向に変える力を持つために、経営陣、各部門にいるサステナビリティ・パートナー、そしてすべてのサステナビリティに取り組みたい仲間たちと共に、よりよいやり方を試行錯誤していきます。

組織についても、2022年に戦略部門の傘下にサステナビリティ部を立ち上げ、情報発信も含めた攻めの姿勢を打ち出しました。従来の法令順守や適時開示対応をする組織から、やること・やる人・やり方を変えてのスタートでした。

2024年には経営・事業戦略と袂を分かつのではなく、さらなる一体化を進めることを目的にCSuO体制がスタートしました。最高サステナビリティ責任者(CSuO)の私は経営会議メンバーとして「稼ぐことvs.サステナビリティ」といったヒリヒリした問いに対して、問いの設定自体を変える提案も含めて、どのように社会を変えサステナビリティで稼いでいくのかを、各々の役割を持つ仲間と共に知恵を絞っていかねばならないと思っています。

選び・選ばれる企業であるために

サステナビリティビジョン2030で掲げた2つの柱の一つは、「世界で仲間をつくる会社」であることです。世界中にいる同じ志を持った人、顧客、取引先に選ばれる、そしてレゾナック自身もそうした相手を選べる企業でありたいと思っています。統合報告書も、2023年12月に初めて行ったサステナビリティ説明会もそれを広く周知する意図がありました。

社内では「サステナビリティマインドの醸成」にも注力しています。たくさんいるはずの、サステナビリティを志向する社会を変えたい仲間をつなぎ、応援し、実現に向けたアクションに共に取り組んでいく。それらはいずれ「Resonac Pride」のような製品・サービスとして実を結び、レゾナックの稼ぐ力をさらに強めていくはずです。

レゾナックが目指すサステナビリティは「みんなごと」にして進めていくものです。自分ごととして捉えることのできる人を増やしつつ、一人・一部署では越えられない組織や収益の壁などを一緒に超えていきたいと思っています。きっとその先には、モヤモヤ・ドキドキを超えた、ワクワク、ウキウキする社会が待っているはずです。どうぞご一緒に。

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